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第二百十話『合流』

バロール、乙姫、そしてウォフ・マナフがこの戦いにて戦死した。残すはエレンミアとエルミアのみ。


「________お姉様方を止めなければなりませんわね。」


狂気が収まり通常時へと戻るエルミア。その隣には青年が共に歩く。


「私を置いていけと言っただろう。」


重症故に、青年に背負われる蚩尤。どうにも気恥ずかしいのかその場で降ろせと言う。


「ルキフェルとエレンミアがまだ暴れてるんだ、今の状態で置いて行けるかよ。」


蚩尤の申し出を拒絶する。二人の戦闘は激化している。蚩尤を余波の影響下に置く訳にはいかない。


「其れにオレが近くにいれば絶対に安全な筈だ。」


ルキフェルとエレンミアは青年へと攻撃の波が及ばない様に繊細の注意を払っている。その事に薄々と青年本人も気づいているのだ。


「無駄なお喋りは其処までです。お仲間の方が殺される前に急ぎましょう。」

「はは、殺されるか。ルキフェルも舐められたものだな。」


苦笑を見せ、エルミアと共に走り出す。


「お姉様が本気をお出しになられればこの星ごと、いえ一銀河系すらも無へと一瞬で葬り去る事が出来ましょう。其れの意味がお分かりですか?」


凄い力だと思いつつもルキフェルやブランチェ、ディアーナも条件によっては可能であるので珍しいと言う訳でもない。


(エレンミアの力に対して、絶対的な信頼を置いているな。まぁ人のことは言えないけどさ。)


自分も同様にルキフェルたちの力を信じている。


「そんな力を持ってる姉妹を最後には裏切るつもりだったんだろ?」

「裏切る.........ただ、願い事をお姉さまよりも少しばかり先に口にするだけですよ。」


それを裏切りと言うのだ。


「もっとも、その願い事はしなくても良さそうになりましたけどね。」


青年の頬へと手を当てはにかむ。エルフ故に整った容姿だ。青年は若干顔を赤くするが、左右に顔を振る。


「話を戻しますが、裁定者は星の破壊を是とはしません。」


距離をとり真剣な顔へと戻るエルミア。彼女は裁定者がエレンミア以上の存在だと明言している。


「裁定者。その名前は処どころと耳に入るな。創作物らが手を取り合えば勝てるんじゃないのか?」


ルキフェルには例の起動鍵がある。ブランチェには古の剣で上限なく己を強化出来る。ディアーナは全力解放すれば星の生命全てを死に追いやれる。


「全能神ゼウスを瞬殺し、対となるテュポーンを沈めた。裁定者に並みの創作物がいくら集まろうと勝てはしませんよ。」


凄い名前が挙がる。そんな連中らも顕現していたのか。


「そして驚かないで聞いてください。裁定者は7人います。その内の一人が単騎でお二方を無力化したのです。」

「七人、ね。区分別に一人、監督役って事か。」


王冠戦争は区分毎に戦場が分かれている。区分外へとは出れないと規定された故に各区分に裁定者が配置されているのだろう。二人の戦闘がこれ以上拡大すれば裁定者の介入が入る可能性がある。早期に終結しなければ危険だ。


「人間......言い忘れていたな。星の宝玉を除き、生き残っている創作物の一人にギリシャの怪物も含まれている。」


蚩尤が口を開く。


「ギリシャの怪物。」


先程話に上がったデュポーンの事だろう。


「彼は裁定者に怯えて隠遁している。その伴侶であるエキドナも共にいる。しかし何やら北欧神どもと接触しているとの報告があったのだ。」

「北欧の神々と手を結んだと言う事ですか?」

「さぁな。私らの関係は冷めた物だったからな。精々がプシューケーやあの吸血鬼と会話をする程度だ。」


複雑なものだ。一人はディアーナに吸収され、もう一人はエルミアの姉であるエレンミアが殺害している。


「着いたか。」


蚩尤がそう呟く。上空にて激しい戦闘が交わされている。青年も蚩尤同様に顔を上げた。


「_______は、はは。なんつー戦いしてんだよ」


まさにアニメで見る様な戦闘が其処にはあった。巨大な巨人、武器群、光線、高速戦闘、権能同士のぶつかり合いはまさに圧巻と言うしかなかった。


(これでも全力を出してないって言うんだもんなぁ。)


興奮が抑えられない。憧れた光景、そして設定がこうして目の前に存在する。中二病心に日がつくというものだ。


「あぁ、これが見たかったんだ。」


口元が自然と釣り上がる。エルミアと蚩尤は青年へと鋭い視線を向けた。


「貴方_____」

「ジョン!」


エルミアが青年へと何かを言おうとしたところ、ブランチェらが、此方へと声を上げやって来た。


「ブランチェ、ディアーナ!無事か!」

「其れは此方の台詞です!私がどれ程心配したかお分りですか!其れにお怪我はありませんね。」


ディアーナは憤怒とした様子で自身の身体を弄る。そして怪我がない事を幸いに一息を吐いた。


「これからは私の側を離れないで下さい。」


どうもいつもと様子がおかしい。余裕然とした態度、其れに粘ついた様な話し方が消えている。


「.......ディアーナは本当に大丈夫なんだよな。」


ブランチェへと問う。


「生命には支障はないが精神の一部が帰化しているな。」


治るのか、と口に思わず出しそうになる。


(____________聖女としての側面に戻っているのか)


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