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第百四十五話『青年の決意』

”インド共和国の首都デリーにあるインディラ・ガンディー国際空港で12月21日午後1時半ごろ、ターミナル内に仕掛けられた爆弾が爆発し、インド内務省によると、少なくとも一般客ら90人が死亡、340人が負傷したとの事。爆発の規模は大きく、現場から数百メートル離れた複数もの建物のガラスが割れ、職員らが軽傷を負ったとの報告も受けております。”


ラクナウのホテルの一室にてテレビの報道へと眼を通す一同。ラクナウとは、インド・ウッタル・プラデーシュ州の州都である。


「凄い数の人が死んだ...........其れをやったのは俺たちだ。」


頭を抱え嫌な汗が身体から出る。人殺しを直接したわけではないが、事の問題には関与している。


「畏れる必要はありません。死傷者は90、多少の犠牲で済んだ事に変わりありません。」

「えぇルキフェルさんの言う通り、たかだか90人程度。ジョンが殺したのではなく、私が犯した事なので気を病む必要はありませんよぉ♩そもそも要因を作ったのはあのクソホモ勇者ですし。」


90人もの言う人間を巻き添えに殺してしまった。殺してしまったのだ。


(あぁ、現実に引き戻される........)


長らく平和に暮らしていた所為か忘れていたが、この二人は創作物達と競い合わなければならない宿命にある。それに超常を超える能力らがぶつかれば周りの人間が死に至るのは必然。眼を瞑り頰をパチンと叩く。


「..............そうだな、オレが落ち込んでも問題の解決にはならない、よな。先ずはこれからどう動くか、だな。」


冷静に物事を見極める。罪の重さは重々承知だ。だが、王冠を自分達が手にしなければ危険な思想を持つ創作物によりこの世が黙示録に変えられるかも知れない。ブランチェから送られてきた敵の概要が其れを物語っている。何よりもカミーユや芙蓉の蘇生が第一だ。


「ふふ、貴方のそう言う冷静な一面も好きです、ジョン。キスしましょう?」

「しません。」


そもそもな話ではあるが、自分はこの場に来る必要はなかったのだ。もし自分がもう少し強気に出ていたのならばカミーユ達とルキフェル達は別行動を取らず、王冠戦争を早期に解決出来たかも知れない。


(そう、俺がしっかりとしていれば.............カミーユと芙蓉は死ななかったのかも知れないのにっ!!)


ぬるま湯に浸かり過ぎたのだ。此奴らならやってくれる。絶対に死ぬ筈はないと信じていた。


(少し横になろう。頭を冷やさないと、自分への怒りでどうにかなりそうになる。)


椅子から立ち上がりベッドへと横になる。


(此れからどうする。空港で襲ってきた彼奴は絶対にまた来る......)


それにルキフェルの発言からこの国には勇者ともう一人の創作物がいると言う。


(インドネシアにいた時は寝ている時に二人が早急に片付けた、けれど今回の敵はディアーナに憎しみを持つ強大な敵だ。いつ襲撃を受けても可笑しくはない。)


もちろん二人には察知能力はある。だが、相手はディアーナ以上のポテンシャルを持つと言われる最強の勇者。成長限界はなく戦えば戦う程強くなる化物だ。相手はディアーナを知っている。故に対抗策は練ってくる筈だ。


(っ.............それにルキフェルは必ず自分を守るように側に残るはず。)


身体をずらしテレビへと顔を向ける。


(二人で戦闘をすれば簡単に終わるのに、だ。)


とことんこの戦の重荷になっている事に頭が痛くなる。あれ程置いていけと言った手前、ついてきてしまった。もちろんルキフェルが単体で現状の勇者と戦えば瞬殺出来るかも知れない。だが、ディアーナはユーノのことを譲らないだろう。


「なぁ。」


二人へと話を掛ける。


「..............やっぱり俺は、日本に帰った方が『『ダメです』』


パソコンを即座に閉じ此方へとやって来ると凄い剣幕でそう言われた。


「なんでだよッ!!」


若干視線が怖い。ハイライトの様な物がない気がするし。


「貴方の立場はなんですか。」

「保護者が一番正し「私の遣いであり番でもありますね。」


ルキフェルが台詞の途中で遮る。


「私の眷属であり、伴侶でしょうかぁ♩」


闇の眷属という響きが妙にかっこいい気はするがあえて言わないで置こう。


「はぁ、何度も言う様だが、俺が此処にいるとアンタらが十全な力を振るえないんだ!分かってくれ!!」


ルキフェエとディアーナはお互いに目を合わせため息を漏らした。


「私には貴方が必要なのです、と何度も言っているでしょう。」

「思考停止は良くありませんよぉ、ジョン。貴方は私達にとっての精神安定剤の様なもの。其れは即ち一緒に居てくれるだけで私たちは100%の力が振るえると言う事です。」


思考停止をしているのはお前達の方だと言ってやりたい。まるで親元から離れられない雛鳥の様な依存度だ。


「勝手に帰ると言ったら「「帰れると思いますか?」」


こ、怖い、妙に眼力が強いし.........と言うか近い気がする。ベッドにて横になる自分の左右に密着して睨んで来るのだ。


(..................ルキフェル達には必ずカミーユ達の無念を晴らして貰いたい。だけど自分が足枷になっている。二人は精神安定剤だとかほざいていたけど事実、二人が共闘して戦えないのは近くにいる自分の所為だ。)


ならば俺が出来ることは一つしかない。二人が自分を返さないと言うのであれば自分の身を守る程度の力を会得すれば良い。


「俺って加護やら瘴気やらを勝手に付与されてるんだよな................」

「はい。其れがどうかしました?」


ルキフェルとディアーナは自分の顔を凝視する。今から口に出す言葉はかなり馬鹿げた事かも知れない。だけども共に在るには必要な事だ。


「__________俺に扱い方を、教えてくれないか?」


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