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第百二十七話『一方で....』

「あああああああああもう!!!!」


遡る事数時間前、カミーユは空港にあるトイレの個室にて叫んでいた。


(ジョンがいないなんて考えられない!夜どうするのよ!眠れないじゃない!)

「ズルイッ!!!」


ディアーナとルキフェルに対しそう感じる。


ゴンゴンゴン


すると自分の入る個室へと何者かがノックをして来た。


「カミーユよ、もう時期に搭乗時刻だ。」


どうやら賢者様であるブランチェの様だ。


「おい......早く.....でろ......うんこ.....か?......」


芙蓉が煽る様に急かして来る。


バンッ!


「うんこじゃないわよ!!」


個室のドアをバンと音を立て開くと、私は芙蓉へとそう言った。


「臭い.....うんこ.....だろ.....流せ」

「うんこじゃないって言ってるでしょうが!」


ニヤケ面でバカにして来る芙蓉に苛立ちを感じる。


「どっちでも良い。急ぐぞ。」

「どっちでもは良くない!」


賢者様は私達を引きづる為に首根っこを掴み搭乗口へと向かっていく。



「_______それでは良き旅を」



搭乗口にてパスポートとチケットを見せ機内へと移動をする。


「ねぇ、私窓側座って良いかしら?」

「ダメ.....芙蓉......座る。」

「は?」

「あ?」


互いにメンチをきりあう。そのせいか後ろには列が出来、詰まっていた。


「はぁ、お主らは落ち着くという事を知らぬのか。」


ドスンと二人が争っている間に窓際の席へと腰を下ろすブランチェ。


「ジョンがなき間、吾輩が汝らの面倒を見るよう頼まれたが、こうも赤子の様に叫ばれていては敵わぬな。」


ため息を吐き外を見るブランツェ。二人はその姿を見ると申し訳なさそうに空いてる席へと座る。


「もう、あんたのせいで賢者様に怒られたじゃない」ヒソヒソ

「ワンワン......激おこ......可愛い....」ヒソヒソ


二人はコソコソと話す。


(ジョンよ、早期に合流せねば吾輩の身が持たぬぞ。)


目を瞑り青年へと念を送る。だが届くはずもなく眠りへと付く事にするブランツェだった。














「目覚めたくはなかったな。」


モンゴルの広大な平原にて夕焼けの空を見渡す【英雄】。


「くく、だが悪くはないだろう?」

「あぁ、協力者の内の一人が貴様でないのであったならばな。」


英雄の隣をクスクスと笑うように徘徊する【悪魔】。英雄は苦虫を噛み潰したような表情を取る。


「それは実に残念、くく。あぁそう言えば彼は未だにインドネシアにいるのかな?」


その台詞を聞き英雄は手を腰に付け遠い地平線へと視線を向けた。


「一応は停戦協定を敷き、同士の関係だ。異形とは言え、意思疎通はできたのだからな。あの者の力、アレは自然

の具現、いや、炎を司る神と言った方が良いのだろうな。いつ地上を焼き尽くしてもおかしくない程に強大な力を宿している。だからこそ、彼女達以外の創作物ならば一人で対処出来るだろう。」

「あぁ、あのエルフの超越者達か。忌々しい。とはいえ、あの蛸、くく、いや彼だったか、利用するに値するのだろう。あぁ言い忘れていたが、あの蛸がおとなしいのは一度、星を焼こうとして裁定者に制裁を喰らっている身だからだ。」


ドス黒い眼を細めて笑う悪魔。英雄は鼻を鳴らし馬へと跨ると悪魔へと告げた。


「戯は終いだ。王冠の戦が終焉を迎える時、私は貴様を討つ。その事を努努忘れるな。」


悪魔は口元を更に吊り上げ去っていく英雄の背を鋭い目つきで見る。


「噂に名高きゲシル・ボグド殿に言われては恐怖で怯える日々になりそうだ。」


モンゴル神話における【英雄】の名を口にする悪魔。


天の神 (99天に分割された天界の99柱のテングリの一人 カン・チュルマス・テングリの息子。最高神デルクエン・サガンの孫。


「くく、実に奇怪な事よな。忌まわしきデルクエン・サガンの血を流しし者に合間見え共闘する事になろうとはな。これも運命力と言うものか。」


モンゴル神話に置ける最高神の名を歓喜をするが如く口にする【悪魔】。


(此の世に降臨した者らは我ら同様に異質な者達だ。中には我らに並ぶ巨大な力を有する者もいる。その証拠がインドネシアの諸島に存在する我らが同士の異形、インドの火鳥、そしてラオスのエルフが良い例だ。)


「王冠戦争、一筋縄ではいかない事は確かだが我らが最強の布陣である事には変わりはない。」


一人ぶつぶつと独り言を呟く悪魔は夕暮れに浮かぶ太陽へと手を伸ばす。


「先ほどボグド殿は我を討つと申したが、其れは逆だよ。全てが終わるとき、全てが始まるのだ。」


【始まりの悪魔】、モンゴルのボリヤド民族の伝承で、原初からの神の敵対者と呼ばれる『エルリュング』は開いた手を太陽を握り潰すように閉じるのだった。


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