第百二十五話『旧支配者』
現在、青年一行が滞在をしようとしている地、インドネシア、ロンボク島では今年に入ってから頻繁に噴火が起きていると言われる。リンジャニ山は美しき山なのだが、近頃、この様に災害を引き起こす為観光で訪れる客が低下していると言われていた。そして山の最下層にてゆらりとマグマと溶け込む異形の者こそが今年度に入ってから噴火の頻度を引き上げた張本人なのである。
【クトゥグア】と呼ばれるクトゥルフ神話出身の旧支配者、神をご存知だろうか?
顕現の際に「生ける炎」の姿をとると言われ、現在はリンジャニ山の最下層にて無限の触手を蛸の様に蠢かせていた。此れこそが噴火の要因である。クトゥグアはナイアーラトテップの天敵であるとされ、かつて地球上に召喚された際にはナイアーラトテップの地球上の拠点であるンガイの森を焼き尽くしたと神話には記載されている。 簡潔に言うのならば炎のやばい奴である。その原典を知らずにルキフェル一行は立ち向かう事になるのだが、予想打ににしない事が起きるのは此れから語られるであろう物語で知ることになるだろう。
____スンギギに到着し、宿泊施設であるリゾートホテルへと来ていた。
「圧巻だな。」
ビーチリゾートの光景に興奮を隠せないでいる青年。庭園が美しくバックグラウンドに広がる海も合わさって最高の景色を見せていた。
「チェックインを済ませましょうか。プライベートシェフ付き豪華設備のビーチフロントヴィラを用意させる様、予約を入れてましたのでぇ、期待していてくださいねぇ♩」
ディアーナが自分の手を引きロビーへと向かう。ルキフェルはむすっとした表情で後を追う。
「Selamat siang. Welcome to our resort hotel.」
(ようこそ、我がホテルへ。)
ロビーで受付をするお姉さんが挨拶をしてくれた。
「Hi, we have a reservation. And my name is Diana.」
(こんにちは。私たちは予約をしております。)
流暢な発音で受付を済ませていくディアーナ。こう言った場面では本当に有能な人物なのだが、普段がルキフェル同様に自堕落的な性格な為に残念に思う。
(二人が元は上に立つ人物だったと言う事をついつい忘れてしまうな。)
「そう言えばさっきパスポートを見せてもらったんだけど、ルキフェルがルーシーって名を使ってる事に驚きなんだが。」
記憶が正しければ、ルーシーと呼んだ折、物凄くお怒られた記憶があるのだが。
「それは.......」
以前の私であれば此の名を使用する事に反対の意を持ったでしょうが、今となっては愛おしい愛称と変わっただけです。
「.........貴方を愛しているからですよ。」
よくわからない返答が帰ってきたと感じる青年。
「お、おう。」
面と向かって言われると照れるものがあるな。
「む、私もジョン副団長を愛しておりますしぃ!愛称をつけて下さってもいいですしぃ!ルキフェルさんだけズルいって思っておりませんしぃ!」
ディアーナが叫ぶ。
「ふふ、そう怒る事はありません。私とジョンとの長き関係なのです。愛称などつけられて当然でしょう。」ムフン
「ふ、ふふ」ムカ
ドヤ顔をしているところ悪いが、否定的だったよね、最初。
「まぁ話は戻すけどさ、カミーユとブランツェはどんな苗字を使ってるんだったけ?」
長い間共に過ごしてはいたが、名前でしか呼ばない為に登録してある苗字を知らない。
「カミィルは勇敢を意味するGirardを使用しておりましたよぉ、確か?」
「ブランツェは確か、恒久的な、永続すると言った意味を含むDurandと言う性を記入していた筈です。」
カミーユ・ジラード、そしてブランチェ・デュランと言う名が戸籍やパスポートに記載されている事になる。
「いい名前だな。意味合い的にも。」
芙蓉も気になるが、其れは食事の席にて話題に出す事にしよう。
「ふふ、それではそろそろ私達の部屋へと向かいましょうか♩」
キーを貰ってから庭園を少し歩き回っていたのだが、そろそろ部屋へと向かう事にしよう。




