第百十九話『四人目も変人ってどゆこと?』
この者達は美しい。翼を持つ天人、魔性の深淵、大地の賢狼、純真爛漫な町娘、 そしてそれらが好み付き慕う青年。こちらの住人でありながら異界の者達と同じ美しさを持つ人間。あれは神に愛されている。各創作物達にそれとなく付き慕う理由は何かと聞くとみんなは口を揃えて言った_____安心するのだと。
(深淵の具現は親愛以上の愛だとも言っていたな、確か。)
翼を持つ天人は長々と説明を受けた気がする。あまりの力説に目を開けたまま眠ったのはここだけの秘密だ。青年だけの話だけでなく集団としての結束力もかなりの物である。最早、血が繋がった家族と表現をしてもいい程に彼等の関係性は深い物へと昇華していた。芙蓉を集団で襲って来た奴らには信頼関係などなかった。延命する為に仕方なく手を結んだ浅い関係。王冠戦争に参戦する以上、信頼など普通は生まれはしない。いつ背中を刺されても可笑しくないからだ。それを彼等は容易く結んだ。創作物の人物像はネッ卜で調べられる。ちなみに芙蓉はネッ卜カフェで寝泊りをしてたおかげである程度の現在知識は身についている。
お金はどうしていたのかって?勿論、呪術の応用、色香もろもろと入手する方法はたくさんある。お風呂は銭湯、または呪術で自らの身体を清めていた。
「芙蓉、何してるんだ?」
青年が話を掛けて来た。
「............記録......つけてる。」
舌足らずな言葉で本当に申し訳ないと思う。欲にいうコミュ障って言う奴だ。
「日記かぁ。以外に豆なんだな。」
何故か芙蓉の頭を撫でる青年。子供扱いが少し不服だが不思議と不快な気持ちを感じない。此れが欲に言うイケメンにのみに許される所業なのだろう。
「内容は........アンタ、脳内ではこんな性格をしているのか。」
ちょっぴりドン引きした表情を見せる青年。だがその表情が何とも愛くるしい事か。保護浴に駆られるとはこの事を言うのか。
「変.......?」
まるで女性器を露出させ感想を聞かせようとする女の気持ちを感じる。
(こいつ、ヤバイ奴だ。)
興味本位で日記を覗きこんでしまった事を後悔する。
(なんか色んな性癖とか他人がどうのこうのって内容がデ●ノート並に書き記されてる。しかもその中に自分の似顔絵っぽいイラストがあって事細やかに何処が良いのかが箇所事に書いてある.......其れも官能小説がごとく。)
そっと日記を閉じ芙蓉へと返す。若干彼女の表情が可笑しかった気がするが余り追求したくないのでその場を後にした。
「ふふ.........あの表情.........たまらない」
股間部に手を当て目をトロリとさせる芙蓉。
(女子高生にエロ本やエロ動画を見せて様子を楽しみたい気持ちが分かったかも知れない、うん。)
日記を抱き締め貰い受けた部屋へと向かうために廊下を歩く。ちなみに住んでいるアパートの階層を全て買い取り繋げている。宝くじで当てたお金で買い取ったらしい。
「あらぁあらぁ芙蓉さぁんちょうど良いところに、今、お暇ですかぁ?」
「暇.....じゃない.....自●....おほん......大切な.....こと....してる」
「オ●ニーなら後でしてくださぁい。」
「...........」
(めっちゃ蔑まれた目で見られてる。けどそれがいい!)
芙蓉を無理やり引っ張り連れて行くディアーナ。
「このゲーム、協力プレイじゃないと攻略出来ないんですよねぇ。ルキフェルさんを呼ぼうとしたんのですが芙蓉さんがいたので芙蓉さんにしまねぇ♪」
「ルキフェル.............呼んでこい」
「メンドくさいです♩」
アクションRPG、Radianceシリーズ最新作。てかこいつの原点だよな?既に発売から半年が過ぎているにも関わらず未だに人気が衰えない超大作だ。正直に言うとやりたい。うん、やろう!
「其れにぃ芙蓉さんって何処となく私と似ている気がするのですよねぇ、ふふ♪」
(何を言ってんだ、こいつ?にてねぇーだろ。頭湧いてんのか?)
「.........」
「否定はしないと言う所にぃ好感が持てますねぇ。」
(否定したいけど、お前の圧が怖いんだよ!)
生憎にも芙蓉もまた魔に連なる者だ。深淵其の物であるディアーナに少なからず恐怖を覚える。とは言え根本的な場所で酷似しているのも確かなのである。
「もう!何で私を巻き込むんですかぁ!?しっかりと敵兵へと標的を定めてくださいよぉ!」
「難.......かしい.......げえむ.....した.......ない」
知識はネカフェ時代に得ているが実際には手に取りやった事はない。常に金欠だった故に。
「其れじゃあ私達と出会う前迄の娯楽は何をしていたのですかぁ?」
「書物....読ん........でた。」
正確には漫画とネットサーフィンだが。
「あら、勤勉なんですねぇ〜ふふ♪」
何だろう。少し小馬鹿にされた様な気がする。
「ちょっと、ディアーナ!!そっちにハード持ってかないでよね!私がゲーム出来ないじゃない!!」
カミーユが乱入してきた。
「ふふふ、今は私が使っておりますからぁ、カミーユは深夜にでも楽しめば良いのではないですかぁ♪」
「はぁ?私はアンタと違って良く寝る子なの!夜更かしは肌に悪いってテレビで言ってたわ!もっともディアーナやルキフェルは歳をとらない爺さん婆さんだから関係ないでしょうけどぉ!!」
「な!?ルキフェルさんはともかく、私はまだ二十代前半でぇすよぉ!」
ディアーナがコントローラーを離し抗議をする為にソファーを立つ。
(今の隙にこの場を離れよう。うん、そうしよう。うん。)
芙蓉はその隙に部屋を出るのであった。




