第百十八話『新たな仲間』
「この者、人ではないですね。」
現在、芙蓉をアパートへと連れ帰り、約束通りルキフェルが記憶を覗いていた。ちなみにミシマの死体はディアーナがなんやかんやで捕食した。
「人より生み出された者ではありません。これは災害、いえ、星が生み出す自然現象と言った方がよろしいでしょうか。」
くるくると芙蓉の周りを歩くルキフェル。だが芙蓉は自分だけを見つめ続けていた。
「此処に帰るまでずっとオレを見てるけど、何か気になることでもあるのか?」
取り敢えず聞いてみる。
「あなた.......同類.....じゃない...嘘.....?」
どうやら先程説明した自分が創作物でない事が信じられないようだ。
「おれはルキフェル達やアンタとは違って此処の世界の住人だよ。」
もっとも降霊術師の件で勘違いをされて襲われもしたが。
「それでアンタは五人目になるのよね!此れからは仲間って事だから裏切らないでよね!」
カミーユが芙蓉の手を無理矢理握る。
「裏切らない.......でも....芙蓉....裏切ったら....殺す」
「望む所よ!」
にっと笑みを見せるカミーユ。
「芙蓉よ、其方は何が出来る?先程の手さばきを見るに対人術に長けている事は伺えるが。」
ブランチェが問う。
「記憶.....銀髪......見せた.....説明.....変わり.....して」
「私の名は明けの明星だと申した筈です。」
どうも話すことが余り得意ではないようだ。
「芙蓉、美女の形容としても知られる花の名。ですが人は皮肉を込めて彼女をそう呼びます。死を運ぶ華、されど屍の上に立つ眉目秀麗な女童子。」
「死を運ぶ華......」
「彼女の有する力は大きく分けて二つあります。先天的に有する能力としての〝色香”、簡単に言うのならば匂いによる相手への催眠、麻痺、そして死傷へと陥れる猛毒です。遥か過去にて人の里に忌み嫌れていた理由は芙蓉自身がこの能力を制御出来ていないかった為です。」
芙蓉と言う名をネッ卜で調べたのだが、花の写真しか出て来なかった為にそもそもの過去の話が分からない。もしかした彼女はマイナーな何か、それも文献などに記録された創作物なのかもしれないと青年は推測する。
「そして二つ目は呪術。此れは後天的に得た超自然的・神秘的なものの力を借りて、望む事柄を起こさせる技法の事。まじない、東方の魔法などとも呼ばれております。」
「その説明を聞くとあいつの使ってた降霊術に似た感じなんだな。」
すると芙蓉が自分の前へと立ちほっぺをつねる。
「呪術....降霊術....全然......違う....」
「いはい、ははしてふれないか?」
引っぱる頬を離し席へと座る芙蓉。ルキフェルは羨ましそうに自分の頬へと手を伸ばすが、それを叩き落とす。
「誰....一緒.....召喚....された?」
芙蓉はルキフェルら創作物を見渡し質問を投げる。
「どう言う意味ですかぁ?」
ディアーナがニコニコと笑みを掲げ返答を質問で返す。
「王冠戦争.....知ってる.....いっしょ.....召喚......一人.....数えられる....でしょ?」
そう言えばそんな規則もあったな。
「ブランチェさん方は一人とカウントする、と言うことになりますねぇ。召喚された折、この御二方は一緒でしたからねぇ。」
「えぇ、そうすると我々は四人と言う事になります。」
ディアーナとルキフェルは自分達の数を再認識する。
「賢者様と私って二人でワンペアーって事?」
「ああ、そう言う事になるらしいな。」
(命の灯火が連なっている事は伏せた方が良かろうな。)
ブランチェは仲間で有ろうとこの秘密、即ち隙を作ってはならんとポーカーフェイスを貫く。
「それじゃあもう一人、仲間に入れないと行けないって事なのか。」
青年はトントンと机を鳴らし皆へと言う。
「戦力的には必要が有りませんが上限が五名である以上は規則に則っとらねばなりません。」
「他......15人........3つ......別れて.....固まってる」
要約するに我らがアジア州に置いて三つのグループ(各五人)は出来上がり互いに牽制し合っていると事実だ。そしてルキフェル達は
チームの出来上がっていない野良と言う事になる。その内の一組のみが第三のフェーズへと移行する権利を有する事になる。
「既にグループは出来上がっているのか.........其れじゃあ何処からか引き抜くか、一人を残して皆殺しにする以外に方法がないな。」
フェーズ3に置ける州戦には五人のみが参戦をする事が可能だ。一年と言う期間が設けられている以上、早急にアジア州内の戦争に勝たなければならない。
「「「「一人を残して皆殺しにしましょう」」」」
ブランツェを除く四名が口を合わせてそう言葉にする。
(本当にイかれてるな、此奴ら。)
正直な話、一緒には行きたくない。痛いのはもう勘弁だ。ルキフェルの治癒能力が無ければ既に死んでいる身とは言え、戦場に何故自分から行く必要があるのだろう。
「なぁ、俺、やっぱり残って「「「ダメです」」」........さいですか。」
どうやら普通の日常と言う物から程遠いい星の下に生まれたのかも知れない。




