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第百十六話『学生帽と童子』

「面白い事してんじゃねぇーか!俺も仲間に入れてくれよぉ?」


図々しく此方へと近づいて来る学ラン服姿の男の前にカミーユが立ち塞がる。


「貴方も私達と同じでこの世界に召喚された『創作物』?」

「あん?んなもん見りゃあ分かるだろうーが。」


カミーユへとメンチを切る学ラン。容姿は不良的言動とは違い生徒会に所属するような印象だった。しかし、容姿とは裏腹に真紅の瞳からは闘争心と言うものがひしひしと伝わってくる。


「それじゃあんたって私達みたいな奴がいる場所を感じるってことね!当たりじゃない!」

「ん?あぁ、夜になりゃあ大まかな居場所が頭に入って来るがお前らもそうだろう?とは言え、今となっちゃああのいけ好かねぇ降霊術師の所為で数は大分減ったがな。」


ルキフェルが覗いた降霊術師の記憶は正確のようだ。


「けど俺は付いてるぜ..........こんな馬鹿正直に喧嘩を売ろうとする奴が残ってやがる!!てめえらみたいなのがまだ日本にいるその事実が俺を燃えさせるぜぇ!!」


剣を抜刀し、刃がカミーユの首へと向かう。


「あぁ、貴殿の様な者がまんまと罠に嵌った事を幸運と思おう。」ガキッン


ブランチェがカミーユへと放たれた斬撃を自らの剣技で叩き落とし右足で地を踏む。


「______大地よ、吾輩に従え。」


すると学ラン服の男の丁度真下の場所に位置する大地が大きく盛り上がり、その男を拘束する様に蠢いて行く。


「んだこりゃ!?」


驚いた様子ではあるが学ラン服の男は何事も無かったかのように大地の拘束から逃れていた。


「やはり貴殿も何かしらの異能を持つか。」


ブランチェはその男を見定める様に鋭く睨みつける。


(..........彼奴の特徴を検索したいけど。クソ、やっぱし樹海の中は園外かよ。)


携帯のアンテナを覗き検索不能である事を確認する。


「だが、所詮は人。吾輩らには敵わぬ。汝らの手助けは不要である。」


剣を学ラン服の男の胸元へと軽く付け小さく微笑を見せるブランチェ。


「んんっ!獣の姉ちゃん、良いねぇ!!あんたは強そうだ!!!」ガシ


興奮する様に鼻息を荒げる学ラン服の男はブランツェの剣を素手で握る。掴んだ手からは血がツーと流れるが気にした様子は無い。


「離せ。吾輩がこの剣を引けば貴殿の指なぞ容易く切り裂く事な」ガン


学ラン服の男は刀をブランツェの頭部目掛け振り下ろす。刀はブランチェの頭部へと直撃した。


「その動き、”視”えてるぜ。」


その際、ブランツェは剣を引いた筈なのだが、学ラン服の男の指は健在であった。


「そうだな、確かに貴殿の動きは理解した。」


刀が頭部を直撃した筈なのだが無傷のブランチェ。


「あ?」


学ラン服の男は身体を回転させ再びブランツェを斬りつけようとする。ブランチェは其れを受け流す為に剣を構えるが其れをあざ笑うかのように刀は再びブランツェの身体へと直撃した。


「おい...........何で刀身を浴びて無傷なんだよ。」


ブランチェからは一滴たりとも血は流れない。


「唯の武器では吾輩を傷つける事は不可能だ。神造、そして星自らの意思が創り出した武具で無ければこの肌は通らんよ。」


学ラン服の男は剣を振り鞘へと戻す。


「はぁ、クソみてぇな能力しやがって。この世界に召喚される奴らはどうしてそんな規格外の能力ばっかしてやがんだよ。純粋な戦闘を楽しめねぇーだろうが。ならアンタはどうだ、一戦交えてみねぇーか?」


つまらないと唾を吐き標的をルキフェルへと切り替えようとする学ラン服の男。


「やめておけ、確実に殺されるぞ。あの者は吾輩程優しくは無い。」

「チッ、うるせぇな!!」


悪態をつきながらもルキフェルの元へと向かう。


「______同情する気は無いがやめといた方が良いぞ。」


青年もブランチェ同様に学ラン服の男へと忠告をするが再び鞘から剣を抜いた。


「色男は黙ってな。この女だか男だか知らねー奴を潰してから相手してやるよ。」

「待ってくれ。先ずは少し話し合いをしない...........か?」ザクッ


急いでルキフェル達の間へと立つ。だが学ラン服の男は刀を間髪入れず青年の脇腹へと突き刺した。突き刺してしまったのだ。その光景を目にした三者は勿論_____


「「「(しましょう)(す)(しますねぇ)!!!」」」


先程まで嗤って見ていたディアーナまでもが殺意に満ちた顔で学ラン服の男を睨みつけ攻撃体勢に移行する。


「てめぇら全員グルだったのかよ!?くっ、良いぜ!!全員まとめて相手してやるよ!!!」








言うまでも無いだろうが其れから数秒も経たずして決着はついた。


「ブハッ....ぅ....オエッ」


血塗れで地へと倒れる学ラン服の男。口からは血を吐き出し青年は同情した目でその姿を見ていた。


「ダメです、この男は。」


ルキフェルは記憶を読み取ると首を横に振り五人目としての実力に値しないと言う。


「名前は『ジン・ミシマ』。先行的な能力として3秒先の未来を見る事が可能です。そして奥の手に斬撃を相手へと届かせる【刃風刄】なる技を持っているようです。先程、ディアーナの魔物を屠ったのはこの攻撃方法でしょう。」


能力だけを聞くと結構強そうに聞こえるがいかんせんルキフェル達のスペックが高すぎる。ディアーナに至っては捕食をしようか迷っている程だ。


「純粋な肉弾戦に置いてはかなり強いんじゃ無いのか?」


限定的だが未来視が出来ると言う事は相手の手がわかると言う事だ。弱い筈がない。


「いえ、我らのような神域の速度を持つ相手では対応も出来ずに相手にやられてしまうのです。この男、『ナックルファイターズ』と言う対戦型格闘ゲームを原作としたラスボスです。しかしながらこの世界に降臨してから連戦連敗。あの降霊術師には一度殺害されかけています。」


高圧的な態度は元の世界の名残だろう。だがこの世界に召喚されるのは数多の作品の猛者達。中には戦闘向けではない者もいるのかも知れないが運がなかったのだろう。


「うるせぇよ.....」


ジン・ミシマの視界は真紅の瞳以上に赤く染まり視界がぼやけて見えていた。


「弱者の癖にぃ生きが良いのが悪いんですよぉ?大方私達の前に姿を現したのだって彼奴なら勝てるかもなどと言う軽い気持ちが生んだ行為なのでしょう?」


ねぇねぇ悔しい?辛いでしょう?と満身創痍のジンを嗤いながらつつくディアーナ。


「ですが貴方の信念には感服しましょう。」


だが意外な事に褒める点があると言うルキフェル。


「この者、全ての共闘の誘いを断っているのです。己の意思で戦い己で勝利を手にする事が格闘人生においての全てだと己の魂に誓っているようです。」


と褒めつつも槍を心臓へと振り落とそうとするルキフェル。


「待てまて!殺すな!!」


青年の言葉で槍はスレスレの位置で止まった。


「..............何か彼に言いたい事があるのですか?」

「せっかくおびき出せた相手なんだぞ。利用しないでどうする?」


まるで殺人犯同士の話し合いだが今は気にしている場合ではない。既に満身創痍で早く治療しなければ死んでしまう。


「アンタ、此処で死ぬのか俺たちと来るか選んでくれないか?」


青年はジンへと近寄り提案の言葉を口にする。


「はっ!お断りだぜ........俺は孤高に生きる格闘家だ。誰ともつるまず一人で覇道を行く。其れは負けても変わらねぇ俺の生き様って奴だ。」


既に視界は閉じうつ伏せに倒れる身体を仰向けへと変えた。


「望み通り介錯をしてあげましょう。」

「............」


何も言わないと言う事は死を受け入れているのだろう。ルキフェルが息の根を止める為に槍を振り落とす。


バシュッ!!

「此れは...........」


だが槍は頭部へとは刺さらず地面へと突き刺さった。


「ふふ、綺麗ですねぇ♩」

「綺麗ではないだろ。」


何故ならばジンの頭部が突如として弾けたからである。彼の頭部部分は完全に消え失せ花の様な血痕が残っただけであった。


「.............入れて」


誰かに裾を掴まれる感触を感じ後ろを振り向く。


「ん?ってうわ!?」


黒い着物を見に待とう黒髪の少女がいた。自分の驚く声に気づいたのかカミーユが即座に黒髪少女へと超速の突きを放つ。だが合気道の様な技で軽く流されカミーユは空中で一回転させられた後、地面へと強く振り落とされた。


「ぐはっ!?」

「...............入れて」


カミーユから手を離すと再びクイクイと裾を引っ張ってくる。ルキフェルとディアーナ、そしてブランチェは先ほどの時とは違いかなり本気の表情で警戒をしていた。


「入れて..............入れない?..........殺す?」

「何を言って」


呪印の様な紋章が彼女の触れる手から体全体へと広がって行く。其れを視認した青年は黙り彼女の目を捉えた。


「入れてって言うのは性的な意味でか?其れとも何かしらの暗号なのか?」

「阿呆.........仲間......決まってる....」


若干顔が赤くなったが依然として無表情を突き通す黒髪少女。青年は彼女の意見を受け入れるべきか視線をルシファー達へと送る。


「記憶の提示を容認するのならば受け入れましょう。力は申し分ないでしょうし。」

「吾輩は構わぬ。何やら同類の匂いがしてならぬからな。」


警戒していた割に以外にも賛成的であることに驚く。


「うぅ、いてて、冗談じゃないわよ!私は反対よ!」


立ち上がったカミーユは御立腹とした様子でフンっと顔を背ける。青年はその姿を苦笑して見ているとその少女の容姿が以前見た事がある事に気付く。


「アンタ_______この前ぶつかった着物の女の子か?」


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