第百十二話『宝クジを当てよう!』
「ルキフェルさぁんって確かぁ未来視が出来るのですよねぇ?」
カミーユ、ルキフェル、そしてディアーナは三人でレースゲームをプレイしていた。そしてその最中、ディアーナが唐突にルキフェルへ質問を振る。
「えぇ、ある程度は指定をして見る事は可能ですよ。」
完璧にとまではいかないが、ある精度はかなり高いとルキフェルは言う。
「宝くじ、ご存知ですかぁ?」
何時も以上に頰を釣り上げ歪な笑みを浮かべるディアーナに疑心の表情を向けるカミーユとルキフェル。
「ルキフェル、こいつまた変な事考えてるわよ?」
カミーユの言う通りこの様な表情を取る時は大概ロクでもない事を考えているのがディアーナだ。
「まぁ、失礼ですねぇ♪私の心は清く正しくあろうとする聖女其の物ですよぉ、ふふ。」
「在りし過去に縋り付いてはなりません、ディアーナ。」
ゲーム内でバナナを設置しディアーナの操縦する機体をコケさせる。
「い、言うじゃあないですかぁ。」
ピキリと音を立てコントロールを強く握りしめるディアーナ。そしてゲーム内にて甲羅をルキフェル目掛け放つが軽々と避けられてしまう。
「残念でしたね、ディアーナ。私の勝利は揺るがない。」
「む、勝負は最後まで分かりませんよぉ!」
「ディアーナって煽り耐性がないわよねぇ。」
「カミーユ、それはブーメランと言うのですよぉ?」
『『あぁ!?やってやろうじゃない(やりましょう)!!』』
機体をぶつけ合うカミーユとディアーナ。ルキフェルはその隙に更に順位を伸ばす。
「どっちもどっち、ですね。」
ルキフェルが1着でゴールをすると勝ち誇った顔で二人へとそう言い渡した。
(ルキフェルにだけは言われたくないわね。)
(ルキフェルさんにだけは言われたくないですねぇ。)
コントローラを離し背伸びをするカミーユ。
「あーもう!私もジョン達と買い物に行きたかったわ !賢者様にだけ贔屓すぎるぅー!」
そう、今は青年とブランチェは家にいない。
(失念していました。ジョン副団長、些か、私に対して最近冷たいのでは?)
本来であればブランチェではなく私が共に行くべきだと主張したのだが軽くあしらわれてしまったのだ。ピキリと音を立てコントローラーを強く握るディアーナ。ルキフェルもディアーナ同様に同じ感情を感じている。このままでは私のみならず、彼らまでジョン副団長を襲いかねない。勿論、性的に。
「先程の続きなのですがぁジョンにプレゼントをすれば私達への対応がより良くなると思うのですよねぇ♪」
「其れがその宝くじだと。」
大金を貢げば人間は誰だって喜ぶ。だが反面、金銭面での援助は人を堕落させる。
「堕落は罪。人は自らの力で己の道を切り開かなければなりません。」
宝くじでの不正行為を拒絶する。青年は清く真っ直ぐといて欲しいと願うルキフェルの切なる思いから承諾をする事はできなかった。
「それではルキフェルさんはジョン副団長が新たなバイトを始めてもよろ「やりましょう!」
だがその考えは即座に変わる。共にいる時間をこれ以上減らされたくないが為だ。真に堕落しているのは熾天使の長であるルキフェルに他ならない事は確かだろう。
「_____ふぅ。」
以前回収した袋(例のトイレ事件のアレ)を開け匂いを嗅ぐルキフェル。そして落ち着いた表情へと戻る。
「...........あ、あんたってかなり変態よね。」
変態ではなく慈愛深いと言って貰おう。其処が分からぬからこそ彼女は人間であり私が天使であるのだ。
「どうしたのだ、顔色が悪いぞ?」
ショップングセンターにてカートを引くブランチェが青年を心配する。
「いや、ちょっと寒気を感じただけだ。」
「宝くじを買いに来たけどあんた、お金はあるの?」
ルキフェル達は目的の物を手に入れるために近場のショッピングモールへとやって来ていた。大概こう言った場所に宝くじ売り場が置かれていたりするからだ。
「ふふ、勿論ですよぉ♪」
何を隠そうディアーナはヘソクリを隠し持っていたのだ。お金の管理が甘い青年から少しづつと微収した結果、四〜五万程は貯める事が出来たのである。
「もう着いたし、ルキフェルを起こしても良いわよね!」
夢を見させる為に道中ルキフェルをおぶっていたカミーユ。そしてルキフェルをフードコートにある椅子へと下ろすと肩を揺する。
「起きなさい、ルシファー!」
「...............おはようございます。」
静かに瞳を開け辺りを見渡す。
「数字選択式の宝くじの方は購入しましたか?」
ルキフェルがまず確認した台詞はそれだった。
「ふふ、今からですよぉ。」
ディアーナは嬉しそうに購入売り場へとスキップをする。
『いらっしゃいませ〜』
ディアーナは一万円を取り出し、ロ●6なる宝くじを何枚か購入しようとするがルキフェルにより止められる。
「ルキフェルさん?」
「一枚で構いません。」
無駄な出費は抑えろという。
「保険は掛けなくて良いんですかぁ?」
「ええ、私には六つの正確な数字を記憶しておりますので。」
自信満々に言うルキフェル。
「ね、ねぇ、本当に当てちゃったら、わ、私達、に、2億を当てる事になるんでしょ!!?」
一等である宝くじの賞金を恐れるように口にするカミーユ。
「当てちゃったらではなく当てるんですよぉ、ふふ♪」
「それって好きなご飯をジョンにお願いし放題って事よねぇ。」ゴクリ
ディアーナは彼女の慎ましい願いに思わず微笑が出る。
(真の目的はアジア州内を旅する為の資金。王冠を手にいれるにしても先ずは支度金が必要となるでしょう。ルキフェルさんも私の意図に気づいると良いのですが。)
宝くじへと数字を記入をするルシフェルへと視線を向けるディアーナ。
(ふふ、この大金を与えればジョンは喜ぶ筈です。そして共に様々な行事を行う事が可能ですね。そう、でぇとをしたりお出かけをしたり、 学び舎帰りに高級な洋食店に行くのも良いですねぇ。夢が膨らみます。)
だがルキフェルの思考内は如何に青年と時を過ごすかに割かれていた。端的に言うとお馬鹿なのである。
(王冠を巡る戦い、即ち聖戦における被害者数は半数を超えている。そして残す期間は五ヶ月と二十日。ジョンを連れて行くのは確定として、啓示を受ける創作物の一人を捕まえなければ他の創作物達を見つけ出す事が出来ません。出来ればこの国を発つ前に一人確保をしなければならなかったのですが、降霊術師は殺してしまいましたね。)てへぺろ
「とは言え、五人目の方を急ぎ探さなければなりませんねぇ。」




