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第百話『バイトの時間です』

中編スタートでぇす♪

(バイト..............する羽目になっちまったなぁ。)


今月はルキフェル達の所為で無駄な出費が多すぎたのだ。母に頼る訳にも行かず、近所にあるコンビニで働き始めたは良いが従業員が全て女性なのは何故だろう。


「ジョンくん、分からない事があれば私に聞いてね。何でもしてあげるよ?」


近いし耳元で話さないでもらいたい。


「セクハラだよ店長!!ジョンさん、今度何かされたら先輩である私に言ってね!!守ってあげるから!!」


お前も近いし離れて欲しい。店長と同僚に挟まれる形で仕事をしているのだが、煩わしい。何処に行くにしても付いてくるし誰か助けてください。


「........あの、男性従業員の方のシフトについて聞いても良いですか?」

(なるべくその方々と合わせてもらいたい、切実に。)


品物を並べながら店長へと聞くととんでもない返しが返って来た。


「ん?あ〜言ってなかったけ。みんな辞めさせたー。」


「は、い?」


「ジョンくん入ったし、他の子要らないでしょ?」


早急にバイト先を変えた方がいい気がして来た。


「いやいや、それじゃ現状、俺と先輩と店長で回すって事になるんですけど!?」


「はは、大丈夫だって。うちのコンビニ二十四時間営業じゃないし。あぁそうだ。ジョンくんって、大学卒業したらどうするの?決まってないなら家くる?養ってあげるよ。全然ヒモしてくれて構わないし。何なら今日から住む?」


何言ってんだこの人.............


「え、それは........」

「はは、冗談じゃないから考えといてー」


冗談じゃないのかよ。すると同僚が自分の隣へと立ち、耳打ちして来た。


「私はまだ高校生だけど、絶対にジョンさんを幸せにして見せるから待ってて欲しい。」ボソ


この女もこの女で何を言っているのだ........


「............秋山さん(同僚)なら素敵な人がきっと見つかりますよ。まだまだ若いんだし、冒険しなくちゃ損ですよ?其れに店長だって気さくな方だ。必ず近い将来、僕よりも相応しい人が現れます。」


優しく微笑んだ表情で言うと二人は顔を赤くし、蕩けた表情で青年へと熱い視線を送る。


「ジョンくん、今晩空いてるかな?」

「ジョンさん、今日家に誰もいないんです。」


頭が痛い。頼むから普通に接してください。










深夜12時に差し掛かった頃、ようやく自分のシフト時間が終わった。今日はやけに女性客が多かった気がするが、気にしない事にしよう。


(レストラン系の厨房に転職しようかな........)


正直な話、店長と同僚がかなり怖いのだ。身の危険を感じる。事故に見せかけてのボディタッチも多いし気が気ではない。


「はぁ..........帰ったら彼奴らの相手もしないといけないし、疲れる。」


憂鬱な気持ちだ。だが、出来ればブランチェは起きていて欲しい。今の自分にはモフモフ成分と言う癒しが必要だ。


(あぁ頼むから騒ぎだけは起こしてないでくれよぉ。)


青年は暗い帰路を一人そんな事を考えながら歩いていた。すると数メートル先に離れた電灯の下に一つの影が在る事に気づく。電灯は壊れたように点滅を繰り返し道路はホラー映画に出る様な背景と化していた。


(........誰か、いるのか?)


少しづつとその影に近づくとそれが人間である事を確認出来た。


(何でこんな夜遅くにあんな所で立ってんだ?)


まるでホラー映画序盤に殺される脇役の様な心情になる。だがあの電灯を超えなければ自分のアパートへとは戻れない。


「あぁもぅ!通るしかねぇーだろ!」


冷や汗をかきつつ警戒度を高める。そしてその人影からかなり近い距離へと近づいた。容姿も明確になり青年はその場へと立ち止まってしまう。


(明らかに普通じゃない........)


人影の外見はタキシードを身につけており、頭にはマジシャンの様なロングハットを被っていた。そして顔には右目部分だけが割れた仮面が付けられている。何よりも恐ろしいのは蜘蛛のように細身で高身長なのだ。2m近くはある。


(そ、創作物ッ........走って逃げるしか、ないッ!!)


ルキフェル達が近くに居ない今、襲われれば一溜まりもない。逃げる為に後ろへと振り返くと電柱の下に立っていた筈のタキシードへとぶつかった。


「うわッ!?」


青年は驚きの声を上げ後ずさると前にいたタキシードが消える。


「ど、何処に消えた!?」

(くっ、早く逃げないとっ!!)


そのまま走り逃げようとするのだがタキシードの身体へと再度ぶつかり尻餅をついてしまった。


「っ、一体どうなってんだよ..........うぐっ、なんだよ、これ!!?」


左腕から突如、尋常ではない痛みを確認すると肘より上が消失して居た。そして血が地面へとぶち撒かれる。


「うぐわああああああああああああぁぁああああ!!!」


余りの痛みに叫び膝をつくが決してタキシードからは視線は絶対に離さない。それを観察していたタキシードは感心したように自分を見下していた。


「てめぇ.......はぁ.....はぁ........誰だぁ?」


割れた仮面部から鋭い眼光が覗く。そしてステッキを何も無い場所から出すと一礼をして名乗りを上げた。


「降霊術師ヨハンネス・トリテミウスと、名乗ろうじゃあないかね。」


額にはステッキが当てられ、身動きが取れなくなる。そして揚々とした口調でタキシードは言った。


「______覚えなくとも良い。死に逝く定めだ。」


青年は万事休すかと眼を閉じる。


「くそ.............」


だが待てども何も起きない。


(................何が起きて)


額に触れていたステッキの感触が無くなった。眼を直ぐに開け目の前を確認すると帽子を掴み上げられ首筋に剣を突き付けられているタキシードの姿があった。


「遅くて心配だったから迎えに来たけど正解だったようね!誰よ、此奴!殺しちゃうわよ?」

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