追放!追放!また追放! ~巨獣人たちの国~ その2
色んな宿から追放されて――。
プリンの海は夢のまた夢。
まったく新大陸グルメを堪能できていない、今日この頃。
大魔帝ケトスたる異世界邪ネコ神な私は、それでも元気に活動していた!
まず行ったのは拠点づくり!
かつてとある異世界の平原に作った、魔猫王城で籠城中。
宿がないなら拠点を作ればいいじゃない!
と、空いていた領土に、勝手に我が城を顕現させてやったのである。
正直、このままこの世界は滅んじゃっても、しょうがなくない?
となりかけているが、私は気の長いニャンコ。
まだまだ心には余裕がある。
別にこの大陸のグルメをあきらめたわけではないのだ!
さて!
では今、どう動いているかというとだ。
魔力でコーティングされた肉球を伸ばし! ニョキニョキっと磨いた爪も伸ばし!
身体も伸ばし!
全身全霊をもってして――!
待機中。
俗にいう連絡待ちなのだ。
いやあ、あの巨獣人族達。
どうも排他的というか、まともな会話が成立しないのだ。
あきらかにフラグが立っていない……いわゆる、一定の条件を満たしていないと、NG。
まともな交流もできない種族のようなのである。
で、そこで行ったのが召喚。
一時的に助っ人を呼ぶ事にしたのだ。
託された魔導書から顕現した彼女は、いま、街で情報収集をしてくれている。
そろそろ帰ってくるはずなのだが。
待つって、結構退屈だよね? だからソファーで、寝そべる私はカッカッカッカ!
魔導書を読みながら首筋を掻き、大あくび。
冷房モードの紅蓮のマントから流れてくる冷たい風を浴びて、涼んでいるのだ!
『ああ、魔王様を讃える礼拝堂をもっと作った方がいいかなあ~』
クッションをあんよでモミモミモミ♪
両手を前に伸ばし、ぐぐぐぐ♪
くわぁぁぁぁっと欠伸をしながら、差し入れのアップルパイを丸かじり。
のんびり休憩中の猫口に溶けるのは、濃厚な林檎の甘さとわずかな酸味。
絡み合う二種の旨味が、これまたジューシー!
パリパリでサクっ♪ としたパイ生地に包まれたダブル美味いが、喉の奥に蕩けながら落ちていくのだ!
しかも林檎のひんやり感と、ホットな生地との温度差も絶妙!
これって、ちょっとした天国だよね!
実際。
天界名物のアップルパイなので、天国の味ともいえるし!
ちなみに、これは市販品ではなく手作り!
製作者はとある元聖女で、私もよく知る天界の幹部の一人。
聖女騎士のカトレイヤくんだった。
情報収集協力者に連絡を取った時に、一緒に女子会をしていたようで――こちらのグルメゲット失敗の事情を知り。
もう、仕方ないわねえ……、どうせ休憩中で暇してるし、作ってあげるわよ! と。
焼き立てのアップルパイを、転送してきてくれたのである。
なので! 悪いけれど私の独り占めなのだ!
一応、ヒナタくんに分けようともしたのだが――ヒナタくん本人に、ものすっごい顔をされて。
いや……。
これはさすがに、あんたが一人で食べた方がいいわよ……?
と、忠告されたので、御言葉に甘えているわけである。
更にちなみに。
この世界の主神、シュラング=シュインクと紅の聖騎士カーマインくんは、魔猫王城を見学中。
私の眷属魔猫の執事ネコくんに連れられて、魔王様像を拝んでいる筈である。
魔王様信者のシュラングくんは、魔王様像と魔王様を崇める礼拝堂に歓喜。
かなり目を輝かせていたりもする。
が。
カーマイン君にとっては、別。
異界の魔王様についての知識がないからね。
ちょっと微妙な反応をしていたのだ。
更に、更に――ちなみに。
ヒナタくんは魔猫王城に新設した、ヒナタくん専用ビップ室で勉強の真っ最中。
魔術や武術ではなく普通のお勉強。
いわゆる、受験勉強をしているようである。
今も大人しく勉強を……と、考えていた私のモフ耳がぶわっと揺れる。
爆音がしたのだ。
「だぁああああああああああああぁぁぁ! 何よこの問題! ただのひっかけじゃない! こういうひっかけ問題を作る教師って、絶対性格悪いわよ!」
……。
順調かどうかは謎である。
ともあれ。もうちょっと先の話だろうが。
そのうち彼女も現実の時間軸に戻って、大学にいったりするだろうからね。
勉強はいい事だ。
ダンジョン領域日本は、あくまでも夢と現実の狭間の世界。
いつかは覚めてしまうゲームなのだから。
ヒナタくんの未来がどうなるか。
あの勇者のように不幸な運命を辿らないで欲しい。
そう、願う私の耳が、ピンと立つ。
ヒナタくんの問題集への罵倒ではない。
協力者の声が聞こえたのだ。
「おーい! ケトスさまぁぁぁぁぁ、起きてるかい? こっちは終わったよ! 勝手に城に上がってるけど――問題ないだろう?」
『おー、帰ってきた!』
ダタタタタタタっと、猛ダッシュで散らかった部屋を掃除。
広げ散らかしていたくつろぎセットを亜空間に収納し、代わりにティーセットを召喚!
労う準備を一瞬で整えたのだ!
魔猫王城の内部は見た目に反して、超広い。
寛ぐ私の部屋に来るには、高難度ダンジョンを攻略するぐらいに時間がかかるので――出迎えが必要だ。
私は魔猫王城全体に伝わる声で、魔力音を放つ。
『おかえり~! いま、ここに召喚するから! ちょっと待っててね!』
言って私は、転移陣を形成。
一瞬で、帰還した彼女を部屋に召喚したのだった。
◇
整理整頓された部屋が、いかにも緊急に掃除をしました!
てな空気を放っていたが、気にしない!
たぶん相手も、超急ぎで掃除したと気付いているだろうが、気にしない!
ティーセットから香る蜂蜜の匂いを感じながら。
私は静かに目を伏せる。
部下を労う素敵上司! 紳士ネコの顔で感謝を示し、頭を下げたのだ。
『すまなかったね――突然呼び出したりして』
「問題ないさ」
目の前で跪いていた彼女は、すっと立ち上がり。
ははははは!
「あんたには一族が世話になったからね。いついかなる時、どんな時にだって呼んでもらって構わないって言ってるだろう? それが夜の添い寝であってもね。なーんて、ははははは! まったく! 女の口からこんな事まで言わせるんじゃないよ!」
と、豪快に笑うのは、女海賊や女盗賊の首領を彷彿とさせる女傑。
紅葉色のドレスに身を包んだ女性。
いつかの事件で知り合った、巨人族の族長巨人さんである。
巨獣人族達には巨人族。
まあ簡単な解決方法を選んだのだ。
『諜報活動なんて頼んじゃって、悪いなあとは思ったんだけど……事情が事情だけにね。君に行ってもらうのが最適だったんだ。大丈夫だったかい?』
「この通り、無事に帰還さ。ま、ヤバくなったらあんたが授けてくれた転移の魔導書で逃げ帰るつもりだったし。問題はまったくなかったよ」
はははははは!
と、やはり彼女は豪快に紅葉色の長い髪を揺らしていた。
巨人同士でなおかつ、彼女はこの世界の巨人よりも背が高い。
舐められる事はないだろうという判断だ。
彼女も元からそれなりに強かったし、魔王軍所属になってから力を増しているからね。
単独で行動しても問題ない強さかつ、グリモワールから即時召喚できるというのも呼んだ理由である。
まあ忙しいから、頼んだのは情報収集だけだが。
自信と成果に満ちた顔に目をやり、私も微笑んでみせる。
『その顔を見る限り、成果はあったみたいだね』
「ああ、ばっちりさ。巨獣人族についての情報は、こちらの魔導書にまとめてある。詳しくは後で確認しておくれ。自分でも探検はするつもりなんだろう?」
『そりゃあね。なんかこのまま帰るのも負けた気分になるし? せっかくだったら、堂々とお偉いさんに会いに行きたいのさ』
そして!
この偉い私を追放した! その愚かさを教えてやるのである!
ふふーん! 完璧な計画だ!
勝利の下克上を妄想する私の頬が緩む。
にゃは~!
髯も耳も口も膨らませた私の鼻先を、族長巨人さんの指がつつく。
「そりゃ楽しそうで、結構だねえ。しかし本当にイイのかい?」
『ん? なにがだい』
もこもこ部分の獣毛を膨らませて首を傾げる私。
とってもかわいいね?
「このまま残って手伝っても、こっちは問題ないんだってことさ。あんた、最近は魔王城にリソースを使いたいのか……あまり魔王軍の部下は使っていないんだって聞いたよ?」
ああ、なるほど。
『みんなは、いつでも力を貸してくれるっていってくれてるし。気持ちはすんごい嬉しいけど。やはり私兵として使うのは、ちょっとね』
「魔王陛下は偉大な御方。全力を尽くしてお仕えするさ……でもそれと同時に、あんたの力にもなりたいと思っている者は多い。たぶん陛下も――もうちょっとあんたに、甘えて欲しいんじゃないか。そうお考えになっているんじゃないかって、思うけれどねえ」
百年支えた魔君の顔。
魔王軍最高幹部としての顔で、優しく私は猫口を動かす。
『それでもけじめは大切だ。それになにより、君たちは優秀だからね。巨大建設にも長けた君達ネフィリム巨人族は、平和となったあの世界で重要な役割を担っている。こっちの世界への干渉はあくまでも私の趣味と暇つぶし。どちらを優先するべきかは、答えが出ているだろう? 私情で、優秀な君を長時間拘束はできないさ』
いつも巨人族は働き者。
魔王軍のために動いてくれている彼女は、思う所があるのか。
私をじっと眺めて、苦笑してみせる。
「あんたは相変わらず魔王軍第一なんだねえ。もうちょっと我儘を言っても、誰も文句は言わないだろうに」
『魔王軍最高幹部として、どこかで一線を引いておかないと……いや、ほら、私、猫じゃん? 一度わがままをすると、どんどん際限なく図に乗っちゃう自覚があるからね。自分でもラインを引いているのさ』
謙虚だねえ、と。
族長巨人さんは大笑いしているが。
その声が大きかったからだろう、強大な気配が声につられて転移してきてしまった。
「なにやら賑やかな声に釣られて来てみれば――また異界よりの客人か」
まあ、シュラングくんなんですけどね。
◇
族長巨人さんが私を守るように、前に出て。
防御結界を展開。
私の領域に侵入できる実力の持ち主だと悟ったのか、彼女の瞳がギロっとシリアス色に変わる。
「なにものだい……!」
「ほう、異界の巨人族か。なかなかどうして、美しく気丈そうな顔立ちではないか」
紅葉色の髪を揺らした族長巨人さんが、瞳を尖らせ戦斧を召喚するが。
ネコ手を伸ばした私はスゥっとそれを制止する。
緊張は崩さず、彼女が私に目をやった。
「魔王城じゃ見ない顔だね……敵かい?」
『大丈夫、敵じゃないさ。今のところはね』
言葉を聞いた族長巨人さんが武器を下げる。
魔王様像に祈りを捧げていた筈の主神で、垂れ目で、ワイルドな蛇男。
シュラング=シュインクくんである。
しかし、なにかいつもと反応が違う。
どうせセクハラをするのだろうと、お仕置きハリセンの用意をしていたのだが。
男は垂れ目で、ネフィリム巨人族の魂を覗き込み。
「そなたの気配……どこかで……」
蛇状態だった下半身を人間モードに戻し、じぃぃぃ。
なにやら気付いたのか。
主神は驚嘆した様子で言う。
「これは驚いた……! 巨人の娘よ。そなたは、人間との愛を選び追放された楽園の者達、堕天せしあのネフィリム族の末裔か!」
「そうだけど……なんだい、こっちのナーガラージャは。ケトス様、あんたの旅の連れかい?」
族長巨人さんに問われて、私は言う。
『ああ、この世界の主神さ』
「主神様って……ケトス様。あんたまた、世界規模の事件に首を突っ込んでるってわけかい……」
感心と呆れの混じった顔。
いわゆる淑女の苦笑に、私も苦笑で返してしまう。
『これも体質みたいなもんさ。私は勇者の資格保有者にして強大な闇の眷属。どうしても、世界を揺るがすほどの因果を引き寄せてしまう。事件が私を手放してくれないんだろう……ね』
勇者の性質に話が逸れるのは好ましくない。
私は二人の顔を交互に見て、ネコ髯を揺らしてみせる。
『と、それはまあいいとして。いま、この世界の生き物は大混乱中。主神様の我儘なのか、暴走なのか――この世界の人類の座とか人類後継者を巡って、まあ色々と騒動になっているんだよ。で、今はちょっとした休戦状態でね――、次に敵対するまでだけど、とりあえず行動を共にしているのさ』
休戦を肯定するように、勝手に椅子に座って、勝手に紅茶を口にして。
ズズズズズ♪
主神は感嘆とした息を漏らす。
「うむ、文章として定めてはおらぬが休戦の約束は違わぬ。そもそもだ。上には上がおる、何事にもな。さすがの我とて、無策で大邪神ケトスと勝負をする気にはならんわ」
たぶん、異界産の蜂蜜が気に入ったのだろう。
紅茶にドボドボと蜂蜜が注がれていく。
男は存外に優雅な仕草で、カップを摘まみ――族長巨人さんに向かい言った。
「あまり気を張るでない。ここで戦ったりなどはせぬ――ケトス殿の庇護対象となっている巨人族の女性と戦う気など起こらんしな。関係なき者を、聖戦に巻き込みたくもない。そしてなによりそれは不躾、紳士の所業ではないと……ジェントルマンな我は知っておるでな!」
「ジェントルマン、ねえ」
男のセクハラ体質に気付いているのか。
族長さんはわりとジト目である。
「さて、真面目な話だ。巨人族の娘よ、この場においては確約された休戦。我は戦わぬと約束しよう。その点だけは我を信用してくれて構わぬぞ」
戦う気がないという再アピールだった。
魔導契約にすら近い、言葉の制約のオマケつきである。
緊張が解けていく。
『おや、優しいじゃないか。彼女にしてみれば私を守らないといけないわけで――気を抜くことができなかった。それを解消してあげたのかい』
「当然であろう。その者の持つ魔導書からは情報の香りがする、巨獣人族の情報を持ってきてくれたのだろう? ならば、この時だけは――我の味方でもあるわけだ」
バカなくせして、こういう所はなかなか賢いんだよね、この主神。
しかし、この男。
残念主神のくせして、ネフィリム巨人族の誕生の話を知っているのか。
族長巨人さん達の先祖の話なのだが……私も聞いただけなので詳しくはない。
ただ、ある程度の状況は把握している。
簡単に説明するとだ。
人間との許されない恋をした楽園の住人が、人間と共に楽園から追放され。
堕天。
都合よく見つかった新大陸で営みを続け、愛を育み、生涯を終え。
その子孫が巨人族となり現在まで残り続けていた……それが彼女達。
ネフィリム巨人族なのである。
その都合よく見つかった大陸というのが、実は彼らのために用意されたもの。
魔王様の兄上である、レイヴァン神が手を打っていたりもしたのだが……。
シュラングくんはどこまで話を知っているのか、ちょっと気になる。
いやあ、だってさ。
追放した側の勢力だった可能性もあるわけだしね?
そうなったら、結構おおきな問題なのだ。
たぶんレイヴァンお兄さんとは敵対関係となっている筈。
いつかの事件の時のように、お兄さんによる復讐――楽園住人の魂の抹殺と封印。
残党狩りの対象になっている可能性もあるわけだからね。
探るように私は言う。
『ていうか、シュラング君。ネフィリム巨人族誕生の背景や、楽園追放の経緯を知っていたのかい』
「うむ、追放された友を哀れに思った魔兄レイヴァンが、慈悲の手を差し伸べていたこともな」
だいぶ詳しく知っているようだが。
これ、やっぱり敵対関係だったのかな。
しかし――だ。
心配の種が増えてげんなりする私の前で、彼は、酷く昔を懐かしむ顔をして。
意外にも、穏やかな顔で唇を動かしていた。
「魔兄め、あやつもバカな男よ。友のためにと大陸まで生み出しおったのだから、昔から奇特な奴だった。そのせいで、くだらない連中の、よからぬ目をつけられてしまったのだろうが……いや、語るまい。もはや、手のひらから零れた滴、全ては終わった楽園の残滓。詮無き事よな」
『あれ? もしかしてレイヴァンお兄さんとは、仲が良かったっぽい?』
問われて彼は複雑な顔をして。
まるで主神のような顔で、眉を下げると同時に口角をつり上げた。
「さあ、どうであったか。もはや時さえ忘れた過去の話であるからな……」
思い出をなぞるように瞳を閉じ。
シュラング神は言った。
「ただ、嫌いではなかっただろうよ――少なくとも、あの魔兄が殺されたと知り、涙を禁じ得なかった程度にはな。っと、すまぬな。ネフィリム族の経緯を知っているかだったか。我もあの男に頼まれ、大陸創造の手助けを多少はしたからな、よく覚えておるとも」
『へえ、エンドランド大陸誕生に君も関わっていたのか』
この時だった。
ふと賢い私の頭脳に、ピピーン!
電流が走った。
……。
もしかして、あのエンドランド大陸にいた、ちょっと残念な性格のニンゲン達ってさ。
元からいたわけでもなく。
レイヴァンお兄さんが作ったわけでもなく、この残念神が創造した人間達だったんじゃ……。
虫人ローカスターになった、あの連中である。
結局、ローカスターになり果てた元人間は、私の手により滅ぼされて。
全滅したわけだが。
まさかね。
「どうかしたのか? 奥歯に餡子が詰まったような顔をして……神たる我の慈悲をもって、取り除いてやるべきか?」
『いやいやいや、詰まってないし。ちょっと考え事をね』
まあ、真相は分からないが。
どちらにしても、もう終わった話か。
ネコと族長さんとが目配せして、彼女がすっと前に出る。
「我等種族の始祖と関わっていたのなら、感謝を述べないといけないね。貴殿にネフィリム族を代表して、最大の感謝を……えーと」
『シュラング=シュインクくんさ』
私の言葉を受けて、女傑は跪き。
頭を垂れる。
「シュラング=シュインク神よ。我等が先祖に代わり、今ここにあの日の温もり、あの日の慈悲に報いる祈りを捧げます。我が祈りは貴殿の力に。その慈悲に永久なる輝きを……」
信仰の光が、シュラングくんに贈られる。
主神として光を受けた男は、セクハラのセの字も無い端整な顔立ちで。
静かに告げた。
「かつて愛に生き、故郷を追われても尚――その心を貫いた者。我が友の子らよ。ひとつだけそなたに問いたい。楽園を追放されたあの者達は……愛に生き、幸せになれたのだろうか」
「我等がこうして繁栄していること、それが答えでありましょう」
「そうか、そうだな……それは良かった」
はにかんだ様子で、男は優しく微笑んだ。
どうしようもない相手だと思っていても、こうして接するとまたイメージも変わる。
良い部分も悪い部分もある。
彼にも彼の物語があるのだろう。
安堵した様子で苦笑する主神には、神としての貫禄が滲んでいたのだが。
なんだかなあ。
もしこの後、敵対する道を歩んだら……ちょっと戦いにくいでやんの。
◇
さて!
そんな意外な一面も見た後で、私達は次の行動に移る事となった。
帰還した族長巨人さんから貰った資料をもとに、行動を開始することにしたのである。
今の私は獣人モード!
いつもの神父人間状態に、麗しきネコのモフ耳とモフ尻尾を生やしている状態だ!
メンバーだが、落ち着くまでは私一人。
どうやら彼らはなかなかに排他的な種族。
巨人か獣人――どちらかの性質がないと、基本的に受け入れる事はないらしい。
ならば獣人にもなれる私が、単独行動をすればいい!
巨獣人族の里で名声を稼ぎ活躍!
積み上げた知名度をもとに、お偉いさんとの謁見を叶えようという寸法なのである!
まあ正直――会うだけなら力尽くで済む話なのだが、それもねえ?
そんなわけで! 次の目的地も決まっていた。
力や名声がなによりも評価されるこの大陸にある、階級の基準ともされる施設。
戦闘員ギルドである!
ヒナタくんが、あんた一人で行動したら何をするか分からないじゃない!
カーマイン君が、我が主に報告ができないじゃないですか!
と、二人共が抗議してたが。
気にしない!
シュラング神の監視はカピバラさんがいるし、問題なし!
私の一人旅なのだ!
ふっふっふっふ。
戦闘員ギルドかあ……、これって無双の予感じゃニャいだろうか!?




