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ネコ無双ふたたび ~光の柱と勝利のマタタビ酒~その3



 我等が素敵なネコ魔獣!

 モフモフにゃんこの協力を得て――やっと追い詰めた、古き神!

 いやあ、長かった!


 ちゃんとした敵の姿が見えないままさあ?

 ずっと振り回されてるのってなんかイラっとするよね!


 あぁああああああぁぁぁ!

 これで、やっと落ち着けるし!

 光の柱をボキっちゃった責任も回避できる!


 そんなわけで――なんか謎な遺跡にて!

 遺跡の暗がりの中。

 大魔帝ケトスたる私は、すてきな猫毛を揺らして。

 ビシ――!


『さて、君の言い訳を聞こうじゃないか! ていうか! そもそも君は誰なのさ!』


 ネコ手を伸ばす、私の肉球がテカテカと輝いている。

 いわゆる決めポーズだ。


 目の前にいるのはポニーテールの純朴そうな少女。

 一見するとただのニンゲン。

 けれど――。

 村娘に扮している暫定女神は、自暴自棄になった様子で唇を歪める。


「あら、それはないんじゃないかい? 大魔帝ケトス――アンタは全てを知っていて、アタシを泳がせていた。今更誤魔化さなくてもいいさね」


 このまま村娘のフリをされると、体力のないヘンリーくんが到着するまで待機。

 死神名簿の登録で確認する必要があったのだが。


『ん? 自白してくれたのは助かるけど……泳がせていたって、なんのはなしだい?』

「とぼけるんじゃないよ! そこまでアタシをバカにする気かい!? 大魔帝、アンタのせいでアタシの計画はメチャクチャ! アタシを呼び出すためだけに学園を作り出し、世界に散っていた転移帰還者を引き寄せたことまで、ぜんぶ、もう分かっているんだよ!」


 青筋まで浮かべて、村娘女神が怒鳴る。

 一方的に怒鳴られるとムカっとするし。

 私のしっぽが揺れてしまうわけだが。


 んーむ。なーんか勘違いして、一人で納得してるっぽいんだけど。


『ふむ、どうやら私と君とで何か認識に差があるようだが。まあいいや――で? その装置を起動させると、どうなってたのさ』


 ネコ眉をうにゅにゅっとする私に、目の前の女神は眉を顰める。


「どういうことだい? 美しく完璧なこのアタシが大迷宮に逃げ込むのを防ぐために、光の柱を折ったんだろう!?」


 ん……?

 んん?


 心を読んでしまうのが手っ取り早いのだが、さすがに女神相手には時間がかかる。

 にょこっと顔を伸ばした私は、装置の方にネコの魔眼を発動させ。

 鑑定!


『あー、なるほど。これ、光の柱が魔術式の演算装置になっていて――大迷宮の最奥に逃げ込むつもりだったのか』


 おー! ラッキー!

 これさあ! 女神を逃がさないために、仕方なく光の柱を消滅させたって事にできるんじゃない?


 いや、むしろ最初から計画通りだったとか?

 そういうことにしてしまえば、お咎めなしじゃん!


「気付いてて柱を折ったんじゃないのかい!? じゃあ、どうして!」

『どうして――って難しいことを言われても困るんだけど……、矢飛ばしのスキルを試しに使ってみたら、壊れちゃったんだもん。仕方なくない?』


 私が正直に話している理由はまあ、単純。

 この場から逃がすつもりもないからである。


「そんなあり得ない話を――ああ、そう! なるほどね! そうやってすぐにバレる嘘をつく。あくまでも知らないフリをするって言うのかい! けれど無駄さ! アタシはもうアンタが全てを裏で操っていたと、その汚い尻尾の先を掴んでいるんだよ!」


 なんか妄想が激しいなあ、この女神。

 支離滅裂だし。

 しかし。


 ……。

 これ、使えるな。


 記録クリスタルを編集して、起動させてと。


『ふ……っ。バレてしまっているのなら仕方ない。そうさ、全ては私の計算の上で成り立った必然。君達は最初から踊らされていたという事さ。残念だったね――女神様』


 静かに語りながらも黒いモヤで周囲を覆って、瞳をゆったりと閉じる。

 むろん、ただの演出である。


 君達、と発言する事で仲間がいるかどうかのチェック。

 揺さぶりをかけたのだが。

 ちょっと露骨過ぎたかな?


 薄目を開けてみてみると――おお、大丈夫そうだ。


 目の前の女神は、ぶるりと身を震わせ――。

 まるで化け物を見る顔で、怯えていた。


 しかし。

 憎悪や悔しさが勝ったのだろうか――彼女は顔を崩して叫んでいた。


「やっぱり……そう、そこまでの存在だったなんて……っ。大魔帝ケトスッ! 貴様という存在を軽視したまま動いていた、アタシたちがバカだった、そう言いたいんだろう!? ああ、そうさ! バカさね。あの男と、白銀の魔狼。あの二柱がいなくなった地など、簡単に落とせると思っていた! それを、それを、それをぉぉ……全部台無しにしてくれやがって、許さない!! アンタだけは絶対に!」


 身を乗り出し。

 はぁはぁ……と、汗で濡れた肌を震わせ女神は叫んでいた。


 ぶぶぶ、ぶにゃはははははは!

 なんかしらないけど、悔しがっているのなら私の勝利ということだ!


 ここは嗤ってはいけない。

 あくまでも紳士に冷静に。


『そう――私は全てを覗く者。闇の中から窺う、死を運ぶケモノ。見られていたと気付かず足掻いていた、君達の失策さ』


 なんとなくそれっぽい台詞を言えば。

 たぶんまた勝手に誤解してくれるだろう。


 生まれた心の隙間を覗きこみ。

 そして――。

 私はへぇっと尻尾を膨らませた。


 心を辿り、逃亡劇の記憶を読んだのである。


 なるほど、あの襲撃事件の関係者か。

 やはり仲間もいる――場所は大迷宮の最奥。本来なら光の柱の演算により、転移装置を使い逃げる筈だった場所。


 この女神はそのまま逃げ込み、助けて貰うつもりだったらしいが。

 ……。

 私の予想だと、おそらくこの女神は捨て駒だ。


 今回の事件の裏で糸を引いていたのも、そっち。

 ここでこの女神をどうにかすれば、残るボスはそいつで終わりだろう。

 後はみんな――魔王城で石化ミュージアムになっているのだから。


 私は目の前の女神を睨む。


 古き神々による魔王城襲撃、その共犯。

 そう。

 この女は悪い女だ。

 だって。

 魔王様を殺そうとしたのだから。


 それはとてもイケないことだ。


『さて――だいたいの事情は掴めた。魔王陛下を襲おうとしたその罪、償って貰うよ』


 空気が変わったと悟ったのだろう。

 女神も最後の矜持を振り絞り、足元に魔力を這わせて瞳を開く。

 姿が――変わっていく。


 村娘の姿から変貌し、現れたのは――。

 真珠色の肌をした、見た目だけは美しい女神。


 妖艶で怠惰な色気を放つ女は、赤い唇をギヒリと蠢かす。


「アタシは女神クレア。在りし日の楽園を取り戻す者! さあ、失った同胞と、仲間のためにアンタをここで足止めしてあげようじゃないか!」

『君程度の力で? どうやって?』


 小馬鹿にして言う私に、女神はふふっと微笑する。


「こういうことさ! さあ、来な! 我等が信徒、ローカスター!」


 言われて遺跡の闇の隙間から現れたのは、枯れ木のような昆虫人間。

 先ほども倒した魔物である。

 強さは正直よく分からないのだが、雑魚なのは間違いない。


 ただ、ちょっとした違和感のある敵である。


『ふむ、見覚えのある魔物だね、たしか……どこかで――』

「当然さね。女神リールラケーを滅ぼしたアンタなら知っているだろう? それとも、ああそうか! わざと忘れたフリをしているんだね?」


 うわ、まーた始まったよ。

 この勘違いおばちゃん。黙っていればまたペラペラと喋ってくれそうである。

 じっと待っていると、ほら動いた。


「じゃあ、教えてやるよ! そう、こいつらは元人間さ。お優しい大魔帝様には殺せないわよねえ!? だって、かつては人間だった魔物なのだから、ふふふ、ふははははははははは!」


 勝ち誇った顔をなさっていたのだが。

 思い出せた事で、ニャカニャカにゃきーん!


 喉の奥に詰まっていたつかえが取れた顔で、私はニンマリ猫笑い!


『ああ! いたいた! 元人間で女神信仰の行き着く果てに狂った連中、こんな魔物もいたねえ! うんうん! なんかさっきも魔物をふっ飛ばした時に、見たことある枯れ木だな~、って思ってたんだけど。そっかー、古き神の仲間なら同じ手を使ってきてもおかしくないよねえ!』


 のほほーんと猫口を丸く揺らす私に、女神がキリ!


「減らず口を――! さあ、やっちまいな!」


 命令に従い、枯れ木のような昆虫人間の瞳がギラリと蠢き輝く。

 ネコちゃんに向かい集団リンチをしようと飛びかかってくる。

 が――!


 嗤う私の影からネコの幻影が伸び。

 べり♪

 ローカスターの首を次々と刎ねていく。


『はいはい、成仏成仏。冥府へはちゃんと送っておくから、せいぜい来世ではまっとうに生きるんだね』


 スパンスパン――!

 ボボボボボ。

 影が刈って、闇の炎がその身を焦がし焼いていく。


 本来なら成仏も転生もできない存在となり果てた彼らだが。

 これで、まあ一応道は繋がった。


 アレらは今頃、私の肉球と魔力を通じ――カナリアくんの冥界に運ばれている筈。

 まあ、彼女なら古き神の魂も同居しているし――罪あるローカスターの魂だとしても、うまく転生させてくれるだろう。


「な――……っ!? どういうこと! かつてニンゲンだったものよ!? なんでそんなにあっさり惨殺できるんだい!」

『いや、自分でけしかけておいて、何言ってるんだか。それにさあ、おばちゃん! ちゃんと来世までの切符はつけたわけだし。私、悪くないよね? ていうか、もはや救いのなくなった存在に未来を作ったわけだから。むしろ善行だし!』


 今回の件に関しては、言い訳でもなんでもなく本当に唯一、彼らの魂を救う道なのだ。


「おばちゃん! ……ですって、このアタシを!?」


 おお! 効いてる!

 ビシっと指差し、私は言う。


『それに――どうやら君は本当に勘違いをしているようだね。私は大魔帝ケトス、憎悪と戯れの中で生き続ける魔性さ。自らニンゲンを捨て、魔物として生きる道を選んだモノに容赦などするわけがないし? そもそも普段、私が人間を殺さないのは――人々が過度な悪さをしていないからってだけさ。悪さをしているのなら、人間だって目障りだから消すし、容赦はしない。それと同じ事だろう?』


 外道な作戦であっても、相手に通じるとは限らない。

 今回はそういう例だろう。

 中には元人間ってことで攻撃できない! って、めんどうなことを言いだすパターンもあったんだろうが。

 そうはならなかった、それだけの話である。


 ローカスター全ての魂を浄化し、来世へ導き。

 ぷにょん!

 肉球を踏みしめた私は、女神に歩み寄る。


『これで、君の罪も増えた――もう遠慮する必要もないし、とっとと消したい所ではあるが。まだ利用価値があるかもしれないからね、しばらく眠っていてもらうよ』


 告げて私は影猫魔術を発動。

 女の足元から伸びる無数のネコの影が、その身を戒める。


「っく……、アタシをどうするつもりだい!」

『ああ、そうか。君は転移の授業に参加していなかったから分からないのか』


 女神を転移させるほどの魔力をウニュニュニュ!

 力を操作する私の瞳が赤く染まる。


 いつのまにか、周囲は無数のネコ魔獣に囲まれていた。

 彼らが思う事はおそらく一つ。


 ――これで、ふわふわ肉まんをゲットだニャ!


 ちゃんと全員に配るからと尻尾の先で合図をすると。

 ギンギラギーン!

 遺跡中の闇の中から、赤い瞳が輝き続ける。


 一匹でさえ強力なネコ魔獣に囲まれ、女神はさすがに観念したようだ。

 あきらかにその力が弱まっていた。


『君には”いしのなか”で反省して貰うよ。なぜヒナタくんを知っていたのか、その辺りの事情も聞きたいからね。けれど、それは今じゃない。私はこれから大迷宮に潜り、君の仲間に会いに行く。彼だか彼女だかは知らないけれど、私の計画通り、光の柱を折られて演算ができなくなった君達は……この世界から逃げることができない。そうだろう?』


 ここで計算通りだったアピールをもう一度。

 むろん。

 後でこの場面を魔導資料に添付して、誤魔化すための演出である。


「あの人は強いわよ? ふふふ、ふはははははは! せいぜい、やってみるといいわ! 魔術転移でこの世界に入り込んだアンタは知らないだろうけど、あの迷宮に入れば誰しもが平等! 全てのレベルがリセットされる! いくら今が最強であっても、アンタは所詮ネコ魔獣。絶対に、辿り着けないし、辿り着けたとしても――無惨に殺されるだけ!」


 狂ったように嗤う女神。

 しかし、ほんとうによく勘違いして、しかも勝手にペラペラと情報を漏らすオバちゃんだよなあ……。

 レベルが初期化されるのは、まあ今までのパターンでもあったから想定していたけど。


 ふつうさあ。自分からバラすか?

 ここで罠だと思うかもしれないが、心を読む限り……何の裏もない。


 そう。

 私がこの女神を今、ここで消さない理由は単純。

 いしのなかに置いておいて、情報を引き出す方が良さそうだからである。


 じゃあ、わざわざいしのなかに送るなんて面倒な事をしないで。

 力を削いで、軟禁しておけばいいと思うモノもいるだろうが。

 それもダメ。


 女神の言葉に人間は騙されやすい。

 万が一、迷宮国家クレアリスタの民が女神クレアの電波を受信して、助け出そうとしてしまう。

 なーんて面倒な展開はごめんなのである。


『それじゃあ――さようなら、また今度、話を聞きに行ってあげるよ』


 私は一瞥をくれてやりながら、肉球をぎゅっとした。

 キィィィッィィンと、光の渦が発生し――魔術は発動。


 女神は、いしのなか。


 さて、皆と合流して作戦会議という名のご飯にしよう!


 協力してくれたみんなに、約束のグルメを振舞わないといけないしね!


 ◇


 そんなわけで!

 回復効果もある私の手料理が、国中に広がった。

 ネコ魔獣と亜人を含む人間達、そして冒険者に振舞ったのだが――。


 これから名も知らぬ黒幕対策と、大迷宮探索について話をする筈なのに。

 ニンゲンたちは私に媚びへつらい、ザ・土下座。


 辮髪べんぱつモンク僧のカイン君なんか、もう狂信者かってぐらいに顔色を変えている。

 チラっと全員を鑑定したのだが。

 あー……やっぱりネコ汚染が発生してるね。


 ようするに、ネコ魔獣に心の底から魅了されているのである。


 そりゃ、一晩で灰から死者を蘇生させるわ。

 大迷宮から溢れた魔物を退治し、人間を助けるわ。

 騒動で食料補充が困難になりかけていた時に、全員の食事を用意するわ。


 控えめに言っても神対応!

 いやあ、さすがは私!

 異世界でも信仰されちゃってるねえ!


 ちょっと信仰され過ぎて、各所に黒猫像が作られそうな気もしているが。

 まあいいや。

 勝利の盃、マタタビ酒を味わって――ごっきゅん♪


 この中で相対的にまともな青年、残念王子のヘンリー君が私に言う。


「光の柱を折ったのも計算だったって部分以外は理解したよ。なるほどね――やっぱりあのヤンキー女は駄猫教師を調査しに来てたってわけか」

『いやいやいや、光の柱も計算だし。君さえ黙っていれば分からないし?』


 爪をにょきにょきさせて脅す私に、ヘンリー君はふっと頬に汗を流し。


「ま、まあ結果として女神の逃亡と黒幕? とやらの異世界脱出を妨害できたのは良かったんじゃないか。ボクもそう思うよ、うん、本当に。だからその目と爪、やめろって、怖いんだよ!」

「女神クレアですか……負けしらずのクレア。たしかに、いつも逃げてばかりで情報収集だけは得意な方が、楽園にいらっしゃいましたね……。逃げ続けるので負けない、その神性と能力もケトス様の豪運の前では潰されてしまったのでしょうが。ああ、可哀そうに――そうですか、彼女はいま、いしのなかですか」


 ふふふふっ――と、なんか怖い笑みを浮かべるのは大いなる導き。


『ど、どうしたんだい? ちょっと邪悪なオーラがでてるけど』

「クレアさんはあの方を追放した時にいた心無い神の一人。そして……あの方の兄君、冥界神レイヴァン様を謀殺した方々の仲間でしたので……。ふふ、わたくしも、あまり――好いてはいなかったのです」


 そう、いしのなか。

 ですか……と、ふふふふふふふ。


 女神の中でも派閥みたいなもんがあったのだろうが。


 女神様って、やっぱりちょっと怖いよね。

 と。

 私とヘンリー君が顔を合わせて、頷いている。


 話題を逸らすようにヘンリー君が言う。


「とにかく、大迷宮を攻略する必要があるってのは分かったよ。なあ、駄猫。いっそその遺跡の転移装置を直す……正確に言うなら光の柱みたいな演算装置を作って、再起動させればいいんじゃないか? なにも面倒な迷宮探査をしなくても、もう事件は解決、最奥に隠れているヤツを捕まえるだけだろ?」


 おっと、意外に賢い。

 しかし悪くはないが、情報が抜けている。


『大迷宮の最奥に転移することはできるよ。けれど、情報が確かなら私達はレベル一の状態で、いきなりラスボスの所に転移される。勝てると思うかい?』

「いや、だってアンタならレベルリセットぐらいレジストできるんじゃないのか?」


 それも普通ならそう思うが、更に私はチッチッチ!


『あのゲーム結界が異世界魔王様の残した魔術だというのなら、私もおそらく完全にはレジストできない。事実、君の世界でも遥かに格下であるはずの君の部下のゲーム化魔術の影響を受けた。ズルをしようとしたらアウト、たぶん私でも本当にやられちゃうだろうね』


 もちろん、不死だし。

 なんらかの理由で滅んでも、ラストダンジョンでリポップするから問題はないのだが。

 レベル一のまま捕獲されてしまう、となったら困る。


「ふむ……なら大迷宮を攻略するとして、なあカインさん達。あんたらは迷宮の情報をある程度もっているんだろう? それを提供して貰いたいんだが――」


 と、既に行動を開始しているヘンリー君を見て。

 私は穏やかな笑みを浮かべていた。


 そんな、ほんわかネコちゃんを見て。

 ふふふっと黒く微笑していた大いなる導きが一転、美しい笑みを浮かべて言う。


「彼、本当に成長なさったようですわね――ケトス様が、つい笑顔になってしまうほどに……」

『君のおかげでもあるけどね』


 女神と黒猫。

 なんかイイ感じの会話である。


『さて、今のうちに確認しておきたい。女神クレアと共に行動しそうな古き神に、心当たりはあるかい?』

「そうですわね……具体的にだれといえるほどの方はいません。ただ、言い方は悪いですが彼女は女性に嫌われていたので、行動を共にしていたとなると――男性神の可能性もあるかと」


 ほほぅ。

 なるほどねえ。


 なら、問題ない。


「どうなさったのです? ニヘェっととても怖い顔をしていますけど」

『いやあ、女性神が相手だと遠慮とか手加減とかしちゃうからさあ! ちゃんと実力がだせないパターンばっかりだったからね! でも相手が男性神なら、うん! 遠慮なんて要らないし? 久々に大暴れできるかなぁって!』


 ウキウキるんるん♪

 大迷宮攻略に心躍らせる私に、大いなる導きとヘンリー君が目線を合わせ。


 斜めに視線を落としながら、おろおろと大いなる導きが呟き。


「ほ、ほどほどにしてくださいね? ケ、ケトスさまが大暴れなさるとなると……その、世界そのものが……」

「そうだぞ、駄猫! おまえ! 結果的に問題なかったけど、既に光の柱をブチ折ってるんだからな! 少しは自重と反省をしろ!」


 ヘンリー君が、くわっとお怒りの声を上げる。


 んーむ。

 なんだかんだで、この二人。だいぶ仲良くなってきてるよね?



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― 新着の感想 ―
[一言] ケトス様の傍にいる人って大体「ケトス様の保護者」みたいな称号が生えていそうな人ばっかだしね…そりゃ仲良くなるよ
[良い点] 女神の石詰め出来上がり《*≧∀≦》 [一言] 女神さんの連れは男神?ですか…。《*≧∀≦》 完全敵キャラとして出てくるとしたら初かもしれませんね!Σ( ̄□ ̄;) 魔王様は別としてレイヴ…
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