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魅惑のかつ丼 ~わんことニャンコとプリン頭~



 木漏れ日も穏やかだった教会の襲撃事件から、一時間ほどが過ぎていた。


 現在我等は場所を移し、とあるビルの一室。

 思ったよりもお間抜けそうな、犯人の取り調べを行っていたのだ。


 前回の事件で乗っ取った組織、メルティ・リターナーズの室内である。


 取り調べを行うメンバーは――。

 大魔帝ケトスこと私と、友人でワンコな白銀の魔狼ホワイトハウル。

 もふもふアニマルが二柱。


 そして、取り調べ対象は――、一人の少女。

 今回の事件の黒幕だった黒ギャル死霊魔術師、その名も金色のカナリア。

 プリンのような頭が特徴的な、異世界人である。


 簡易的に作り出した取調室には、刑事ドラマでお馴染みの空間が作り出されている。

 もちろん、作ったのは私!

 いやあ、地球に戻ってきたからドラマとかもちゃんと見たし!

 こういう、故郷くにのおふくろさんも泣いているぜ? 的な事をやってみたかったんだよね!


 メルティ・リターナーズの組織員、グレイスさんはこれは古いのでは?

 と、ちょっと困惑気味にツッコんでいたが気にしない!

 ともあれ。

 軟禁室に置かれた四角い机の上には、魔力照明が浮かんでいる。


 グラデーションの目立つ金髪を揺らしたカナリア嬢が、すぅっと周囲を見渡し。

 瞳を細め。

 うっわ、と引き気味に言う。


「ちょ! なーにこれ! マジうけるんですけどー! このセット! 次元を捻じ曲げて再構築するなんて主神クラスの奇跡っしょ? それを、こんなくだらない事のために使うなんて――ケトスにゃんってどんだけヤバイのよ!」


 バンバンバンと腹を抱えて笑いながら、机をたたき。

 今度は何がおかしいのか――机の上に足を投げ出し、ケラケラケラ!


 感情の起伏がよく分からないカナリア嬢の前。


 取り調べ担当であるワンコが犬耳をぴょこり!

 イケワン顔を尖らせて――恐ろしき犬の牙をギラり。

 渋い唸り声をあげた。


『我は白銀の魔狼――我の前でウソは通じぬ。娘よ、何故このダンジョン領域日本に攻撃を仕掛けてきたのか、素直に語るが良かろう』


 正体破りや嘘を見抜く、看破の能力が一番高いのはたぶん彼だろう。


 そんな理由で取り調べを頼んだのだが、カナリア嬢はワンコの鼻先を見て。

 困ったように言う。


「つーか、なにこのシベリアンハスキー? めっちゃヨダレだらだらだし、そんなにあーしのカツ丼が食べたいわけ?」


 たしかに。

 ものすっごい厳格な顔で事情聴取しているはずなのに、ワンコの犬歯からはヨダレがじゅるり。

 目線は机の上のカツ丼に注がれていて。


『た、たわけ! 我がこのようなシリアスな場面で、カ、カツ丼などに目を奪われるものか! おのれ、異世界の小娘よ! 我を愚弄するとは……ッ!』


 キャンキャンわんわん!

 唸るように吠えながらも、そのもふもふシッポは――バーサバッサバサ。

 ……。

 バササササササササササササ!


 あ、ダメだ、これ。


「いや、おもいっきし……目を奪われてるっしょ? そ、そんなに食べたいなら、いーわよ、あーし、ダイエット中だし……」

『わ、賄賂など! わ、我はけして受け取らんのであるのだからな!』


 赤き瞳を精悍に尖らせ、吠えながらも。

 じぃぃぃぃぃぃっぃい。

 その視線はパカりと開いたカツ丼さんの、輝く濃いキツネ色の照りに注がれている。


 お盆を引き寄せ、カナリア嬢が言う。


「そう? じゃあ、あーしが頂いちゃうからね~! うっわー、マジぱないわ、これ! うひゃひゃ! うっま! マジ、うっま! 衣サクサクでさあ、肉汁がヤバいわけよ? あーた、これを受け取らないなんて、人生の半分は損したっしょ? やっちゃったっしょ?」

『グゥッゥゥゥゥゥゥウ! ガガガガルゥ、グゥゥゥゥゥゥゥッゥ!』


 私はペチンと猫の眉間に肉球をあててしまう。

 こりゃあ失敗だった。


 こういう時って、かつ丼が必要だって聞いていたからさあ。

 お蕎麦屋さんのダシ汁が美味しい、衣サクサク、中はじゅわ~な本格カツ丼を用意していたのだが――。

 完全に裏目に出てしまった。


『わ、我はカツ丼さんなど! 知らぬ! ケトスに与えられた役割をだなっ!』


 ワンコな涎と唾を、くわっと飛ばしながら――。

 ウゥ……ワン! ウゥ……ワン!

 と、吠えるホワイトハウル。


 そのシッポは、とっても切なくしゅんと垂れ下がっている。

 まるでこの世の終わりのように……。


 項垂れる彼に向かい、私は部屋の外から音声を流す。


『はい、ストーップ。あー、出前を取った君の分は、こっちにちゃんと、十人前は置いてあるから……終わったら思う存分食べていいから……まじめにやっておくれ』

『おー! そうかそうか! そのような大事な事は先に言わぬか! ところで、ケトスよ! ちゃんと沢庵のお新香しんこと、あつーい豚汁はあるのであろうな?』


 キリリと尖るイケワン顔。

 こいつ、本当に私と一緒だと急にダメ犬になるんだよなあ……。


『ちゃんとそっちも十人前はあるから……あー、悪いんだけど事情聴取を再開してくれるかい?』

『グハハハハハハ! よかろう! さあ娘! ケトスもああ、言っているのだぞ? 我の前で、その罪を全て打ち明けるとよかろうなのだ!』


 ビシっとワンコ肉球を突き付けるホワイトハウル。

 その身は超神速で分身。

 取調室の中をぐーるぐると駆けまわる。


『カツ丼である! カツ丼である! カツ丼である!』


 駄目だこりゃ。

 まだ厳格モードに戻っていない、もふもふ尻尾がぶんぶんぶん♪


 無駄にホンモノの神聖な獣だから、そのワンコ肉球で踏まれた床は――神聖な領域に上書きされる。

 はすに似た、神獣花が咲き始めてるし……。


 私とカツ丼の影響で、完全に駄犬である。


 さすがの黒ギャルなカナリア嬢も、これには困惑を続行。

 サクりとカツ丼の分厚いお肉を、やわらかく噛み切りながら――ぼそり。


「てか、あんたらどういう関係? 友達なの?」

『無論である! 我はケトスの親友ぞ!』


 鼻息を荒く、わぉぉぉぉんと唸るホワイトハウルは完全に暴走している。

 そんなダメワンコを見て。

 なぜかカナリア嬢は毛先を指で遊びながら……ふぅと、気怠い息を漏らしていた。


「ふーん。友達、ねえ……」

『否! 親友である! 盟友である! 魂の友である! なぜならカツ丼を用意してくれているのだからな!』

「カツ丼で友情を保てるなら……楽でいいわよねえ。ほんと」


 おや、なんだろうか。

 僅かに視線を落とし、長い髪を耳の後ろに流しながら彼女は言った。


「まあいいわ。どーせ大魔帝からは逃げられないんっしょ? このカツ丼ってのも美味しいし、いいわよ。答えられる事なら、答えてあげてもいいわ。で、あーしに何を聞きたいわけさ?」


 その言葉に嘘はない。

 私もある程度、人の心が読めるからね。


『ほう、我の偉大さに平伏し素直に語る気になったのか。良い心がけであるな』

「あ、でもストップよ!」


 ワンコの鼻先に指を押し当て、彼女は言う。


「ワンちゃんの偉大さはともかく。あーしが信用しているのは悪いけど、あの黒猫、大魔帝ケトスにゃんだけ。一応、あの時? あーしを救うように、戦いを邪魔してくれたみたいだからね。つーわけでー、ようするに……あんたはチェンジ! チェンジつったら、チェーンジ!」


 ゴテゴテしたネイルの先で指差されたホワイトハウルは、細長い犬顔をシュッとさせ。

 空気を変える。

 凛々しき主神としての顔を見せ、朗々とした声で問うたのだ。


何故なにゆえだ。何故に我が盟友、ケトスを信用する――娘よ。汝の答えを聞かせよ』


 冥府魔狼の眼光で、不意にホワイトハウルが厳かに告げる。

 むろん、ギャップが凄い。


「え!? ちょ! なーに、このワンコ、いきなしまじめになって。それにこの魔力、まさか、あんたもなんかヤバい存在なわけ?」

『なるほど、我を知らぬのか? 異界のモノならば――それも致し方あるまいか。よかろう、ならば聞かせてやろう娘よ。我の名はホワイトハウル。白銀の魔狼、裁定の神獣。全ての罪を平等に裁く、審判の獣である』


 シリアスモードのままで名乗りを上げる、その白銀の獣毛が輝き始めた。


 カツ丼で暴走していた獣にはとても思えない風格。

 そして、尋常ならざる魔力の奔流が発生している。


「ホワイトハウル……ホワイトハウル、その名もどこかで聞いた覚えが……って!?」


 ビシ……!

 ホワイトハウルの名にも覚えがあったのか、ごてごてネイルを震わせながら――仰天。


 バンと机をたたき、カナリア嬢は喉から声を張り上げる。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!? ま、まさかあの、ある意味で大魔帝ケトスよりやべえって伝承されている、あのホワイトハウル!? 公明正大で厳格。その裁定にかかったものは、どんな小さな罪さえ暴かれ神罰をくだされるっつー! あの、遭遇したら即行逃げろで有名なホワイトハウル!?」


 うわあ、ホワイトハウル。

 異世界ではそんな風に伝わっているのか。


『ほぅ、我の伝承を知りながらもその不遜。なかなかどうして気丈な小娘よ。それとも、よほどの愚者であるか』


 あ、声は穏やかだが……これはマズい。

 ワンコの額には、それはもうでっかい、怒りマークが浮かんでいる。


 私が慌てて、手をクロスさせてダメ! っと制止したので、グゥゥゥゥゥゥっと唸るだけで済んでいるが。


 我らの高尚なやり取りに構わず。

 長いプリン頭に指をつき入れ、カナリア嬢が絶叫する。


「あぁぁっぁっぁぁぁぁぁぁぁ! つーか! なんなのよこの世界!」


 叫ぶ声には魔力も含まれているが、ここでは封印されている。

 いきなり死霊魔術を使われても困るしね。


「ド田舎で、魔術もスキルもほとんどないって話はウソだったの!? なんでこんなにやばい、世界を肉球で踏みつぶせるレベルのアホ強い神獣が、よりによってコンビなんて組んで行動してるのよ! インチキよ、インチキ! こんなのズルじゃない!」

『ほぅ、つまりウソをついた者がいる、それすなわち――貴公の他にもまだ仲間やそれに類する存在がいるという事であるか?』


 ワンコに問われ、カナリア嬢は腕を組んで考え込み。


「ねえ、マージで、ケトスにゃんと変わってくれない? 聞かれた事にも答えるし。逃げたりなんかしないから」

『なぜ、我ではダメであるのか? やましい事でもあるのか? 答えよ、娘よ』


 真剣に問うホワイトハウルに、少女も真面目な顔で応じる。


「いや、あーたさあ……シリアスモードだけど、ヨダレ、ダラダラよ? これでこっちにもシリアスやれってのは、さすがに無理くない?」


 ホワイトハウルは自分の足元をちらり。

 涎からも、神聖な花が生まれ始めていて――さながらここは桃源郷。

 それは見事な、神による聖なる桃の木が生えている。


 こいつ、本当に無駄に神聖な獣でやんの……。


 ま、たしかに。

 今のうちに一回、カツ丼を与えた方が良さそうである。

 私とホワイトハウルは交代することにした。


 ◇


 カチャカチャ、カチャッ――がーつがつがつ!

 ……。

 ムシャムシャムシャ♪


 ワンコがガハハハハと笑いながら、カツ丼を喰らう音がする中。


 私は猫ちゃんモードのまま、椅子にジャンプ!

 取り調べ室で厳かに黒毛を輝かせる私も――にゃふふふふふ!

 やはり美しい!


 大魔帝たる私、ここで本領発揮である!


『さて、じゃあまず君のちゃんとした名前から聞こうか。君はどこの何さんなんだい?』

「だーかーらー、あのときに名乗ったっしょ? あーしの名前はカナリア。金色の死霊使いっていうのも本当。あーた達の世界を襲っていたのも本当」


 ホワイトハウルの方を向くと、ご飯粒を頬につけながら頷いている。

 嘘ではないという事だ。


『ここが田舎とか言っていたけど、なんでまたそんな田舎なんかを襲ったんだい。本当に、君達にとって田舎でしかないなら、征服してもそんなに意味もないだろうに』


 問う私に、彼女はふふん。


「それはね、あーしが真なる女王になるための試練だからっつーか。修業的な? 最終試練っぽい感じ? みたいな」

『いやいやいや、真なる女王って、王族じゃあるまいし……恥ずかしくないの?』


 うわぁ、と。

 ちょっと引き気味に言う私に、彼女は瞳をきょとん。


「あれ? 言ってなかったっけ? あー、そっか。あーたらは、金色の死霊使いカナリアの名を知らなかったわけだし、そっかぁ、うん! そういう世界もあるってことか! オーケーオーケー♪ たしか、あんたらウソを見抜く能力もあるんよね? じゃあ、そのモフ耳の穴をかっぽじって聞けっつーわけよ!」


 言ってプリン頭な黒ギャルカナリアは、ふっと顔を引き締め。

 胸元に指をそっと置き。

 まるで皇女のような威厳に満ちた顔で、口を開く。


「あーしの家名はヴァルロワ。ヴァルロワ王家が長女、カナリア=ド=マルシェ=ヴァルロワ。第一王位継承者にして、次代の女王的な? これでも王族なんだから、もっと褒め称えてもいいっつーか? 平伏せ的な? もっと敬意があってもいいんじゃない?」


 ……。

 もっとも、その言葉は威厳に満ちてはいなかったが。


 くだらない嘘をと私は鑑定の猫魔眼を働かせるが……、あれ?

 ……。

 あ、マジだこれ。


 念のためホワイトハウルの方を向くと、器用に豚汁のカップを犬手で握りながらワンワンと頷いている。

 お椀を犬手で掴む姿がちょっと、かわいいかもしれないが。


 私の世界のヤキトリ姫とかもそうだったけど――王族の娘って、なんでこう、微妙に残念な感じな娘が多いんだろうか。

 まあシアンくんみたいな、男勝りだが性格も行動もイイ子ってタイプもいるにはいたけどさあ……。

 ともあれ。


『えー……? 君、王女様だったの。マジで?』

「そ、王女よ王女。まじもんのロイヤルっつーか? お姫様的なアレよ、アレ!」


 偉そうに胸を張る彼女に、私は言う。


『まあ王族でもなんでもいいけどさあ。そんなに珍しいって訳でもないし、よく出逢ってるし。そもそも私の方がネコちゃんなんだから、偉いんだし。それで、なんでまた異世界の王女様が、日本を征服なんてしにきたのさ。その答えを聞いていないんだけど』


 眉を顰めて彼女は、ん? っと大きな瞳をぱちくり。


「だから、言ったっしょ? 女王になるためよ」

『だから、そこでなんで日本が選ばれたのかを聞きたいって話なんだけど』


 なかなかどうして、話が通じないタイプである。

 本物の王族なのだ、きっと今までは家臣の方が流れを読んで――会話をあわせていたのだろう。


「そりゃ決まってるっしょ。どーせ滅びる世界なんだから、その最期を看取りに来てあげたんよ。寄る辺もないまま滅ぼされ、消えてしまうのなら――せめて女王に見送られながら逝けた方が、幸せというモノでしょう?」


 告げてプリン頭の少女は姿を変貌させる。

 そこには本当に威厳に満ちた、ロイヤルな姿の淑女が一人。


「あなた達は知らないようだけれど、ヴァルロワ王家とは冥府の番人。あたしたちは、死神の血族。冥界の住人よ」

『なるほど、それが君の本当の姿だってことだね』


 そこにいたのは、冷たい美貌の死の女王。

 そんなイメージの、漆黒色のカクテルドレスが優雅なプリンセスである。

 おー!

 これならシリアスを維持できそうだ!


 魔術が広がった世界には大抵、冥界やら地獄やら奈落やら、そういう裏世界があるからね。

 そっちサイドの人間だったのだろう。


 なんだ、やるじゃんカナリアくん! 最初からこっちのモードになってくれればよかったのに!

 と、私が目をギンギラギンにさせていると。


「どっちも本物。けれど、どうやらあなたたちはオフなあたしではなく、王族としてのあたしと話をしたがっているみたいだから――はぁ、もう、でもマジ無理。この服もうっざ、これだからこの格好は嫌なんよねえ」


 ガバっと淑女ドレスを脱ぎ捨て、元の女子高生っぽい姿に戻った彼女は言う。


「だいたい、この世界からは一時的に冥界の神が不在になってたっしょ? だから不真面目で修行不足な姫様でも、簡単に入り込めるっつー話だったのに。あいつら、情報収集をしくじりやがってさあ。なーんでかなあ、いつのまにか冥界の神は戻ってるし、あんたらみたいなバケモノ級の神までいるし。だぁぁぁぁぁぁぁ、マジ! どーなってんのか! こっちが聞きたいくらいっしょ!」


 部下や家臣をなじる彼女。

 その姿はまあ言われてみれば、我がままお姫様に見えなくもない。


 しかしだ。


 ふと賢い私のモフ耳がぴょこん。

 脳裏に、電流が走る。


 ん?

 あれ、これもしかして……。


 私が、ペンギン大王の故郷を蘇らせるために暗躍した影響で……冥界が一時的に不在となり。

 それを空き家だと勘違いした彼女や彼女の家臣が、冥界の存在として発見。

 その最終試練とやらが、異界の冥界の力を手に入れるとか、そんな感じのパターンだった場合。


 これ。

 私が冥界を利用して、閻魔大王とかを召喚していたせいで発生したイレギュラー。

 本来ならあり得ない冥界神の不在。

 その一瞬の留守を、本当に偶然、なぜかタイミングよく調べてしまった異界の従者たちがカナリア嬢に報告。


 よっしゃあ! 空いてる冥界なら楽勝っしょ!

 と。

 うるさい部下達にいわれるままに、乗っ取りに来ているってオチなんじゃ……。


 いやいやいやいやいや。


「ねえ、ケトスにゃん。ここの冥界がさあ。なーんかゴタゴタ? よくわかんないけど、混乱してたみたいっしょ? あんた、なにか理由知ってる? あーしも、あの謎の現象さえなければ、ここなんて選ばなかったんだけどさあ。これじゃあ、まるであーしが、騙されて罠に嵌められたみたいだし。試練はどこだっていいから、本当は別の異世界に行くつもりだったんだけど……んー、なーんか運命操作系の能力者が介入している気がすんのよねえ」


 はい、確定。


『ふぇ? な、なんにもしらないよ?』


 肉球に汗をジトジト。

 背中のモコモコ猫毛をぶわぶわっとさせ、私は何の違和感もなく答えていた。

 膨らんだ尻尾が、さゆうにゆれる。


 これ、ぜったい。

 私が原因じゃん。

 絶対、前回の事件から派生した新しい道だねえ。


 大魔帝ケトスとして、運命を搔き乱す能力で新たに生まれた可能性を手繰り寄せちゃったねえ。


 えぇぇぇぇぇぇっぇぇ!

 でも、私。

 あれは百パーセントの善行だったから、今回はセーフだよね!?



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― 新着の感想 ―
[一言] デデーン♪ ケトス様アウト! わんこ!ヨダレ自重www
[良い点] あの子死神っ子でしたか(。-∀-) [一言] 次から次へとトラブルばっかり(。-∀-) 一体この世界どんだけ滅びに魅いられてんだよ! ((o(^∇^)o))
[一言] またやらかしたせいで起こった事件だな笑
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