にゃんこフェスティバル開催! ~遭遇~その3
新たな仲間を引き連れて、素敵ニャンコ、大魔帝ケトスな私は今日もいく!
ビシ!
いやあ、新たな眷族も増えたからね~。
モフ毛もイイ感じに風に靡いている!
時刻はオヤツタイムと夕方の間。
場所は例のホープくんから聞き出した、敵さん達のアジト。
私達の誰も知らなかった、特殊バグフィールドだった。
名も知らぬ黒幕が、素敵な私達の目から逃れるための隠れ家に選んだのがココ。
奪った魔力に自分の人格をコピーし暗躍。
ダンジョン領域日本にバグを発生させて、隠しフィールドを作り出していたみたいなんだよね。
いわゆる次元の狭間。
ソシャゲ化された日本。
その初の大規模イベントが行われている裏。
現在、えらーいニャンコな私がいるのは、空間と空間の隙間ということである。
ここがおそらく今回の事件のラストダンジョン。
なんだけど――ん~……。
目の前には見慣れたダンジョン塔エフェクト。
……。
これ、絶対にあのダンジョンタワーだよね。鬼畜難易度のアレだよね?
まあ、私達も知らない新規ダンジョン塔だけど。
ともあれ!
バグ空間で歪む景色の中で、モフモフもこもこな毛玉が動く。
私の耳も動いていた。
にゃんスマホを握りニヤリと嗤う、その姿はまさに美の塊であったのだ!
◇
場所を確定させた私は、各所に連絡を送り。
現在、くははははは――と暗躍中!
我等の目を誤魔化し、いつのまにか顕現していた隠しダンジョン塔の前。
攻略準備をしていたのである。
敵さんの暗躍もなかなかのものだったが、私だって魔猫、暗躍は得意だからね!
にゃんスマホを操作しまくり、ぶにゃはははは!
包囲網をどんどん形成。
『――うん、そう。こっちは平気さ! じゃあ、そっちはそういう手筈で、うん、うん……だ、大丈夫だって! いくら私でも地球ごと破壊したりはしないよ!』
電話越しに、ワンワンキャンキャン――真面目モードなホワイトハウルに、くれぐれもうっかりで地球を壊すでないぞ? と釘を刺されて。
私はブスー。
ジト目をしてしまうのだ。
私……そんなに破壊しまくりな印象あるのかな?
い、いや、まあ実際。
何個か世界を破壊しているわけだが……それは、ほら……私じゃなくて相手が悪かったんだし。
セーフ中のセーフである。
内心で誤魔化し、過去を正当化する私もとてもかわいいのだが。
そんなニャンコのモフ耳を揺らすのは、どこか遠くで聞こえる反響音。
連絡した内の一人がやってきたのだろう。
「ケトスっちー! 聞こえてるー? この辺でいいの? あたしの方からだと、ぜんぜん見えないんですけどー!」
トンネルの中で響くような声だが、その主を私は知っている。
『あー、来たみたい! こっちは行動を開始するから。うん、じゃあ。ロックウェル卿と大いなる光にも連絡、よろしく! また後でね~♪』
ワンコとの電話を切り。
敵が逃げないように空間自体を檻に閉じ込めながら――っと。
異空間に響く声で、私は猫口を開けた。
『そこで合ってるよー! 悪いけど、君の方から空間を斬っておくれー! 私がやっちゃうと! たぶんー! 日本が真っ二つになっちゃうから―!』
「ちょ! ぜ、絶対に待ちなさいよ! いま、あたしがやるから! ――承認、あたしはヒナタ。日向撫子。神と女神と古の種に承認されし……ええーい省略よ省略! 聖剣! あんた! もうとっくにあたしを認めてるんだから、とっとと顕現しなさい! ともあれあたしは、真なる聖剣使いなり……っと! やぁぁぁぁぁぁああぁぁ! そーれ!」
聖剣を呼び出す条件を省略して、顕現させた様子のお相手は――。
私もよく知る女子高生。
『それじゃあ、目印をって……もう斬っちゃってるじゃん!』
「大丈夫だって! あたし、こういう時の勘は百発百中なんだから!」
呟く偉くて愛らしい私の前――空間を割ってやってきたのは聖なる輝き。
パァァァッァァァ!
相手を倒すべき悪と判断すると真の力を発揮する、聖剣の気配である。
その使い手である人間が、なにやら紙袋を抱えて――顕現!
「よーし! 楽勝ね! 空間渡りをこういう形でするとは、ゲーム化世界ってけっこう特殊なのね~。まあ、あたしが凄いからできるんですけどー!」
勝利のピースサインもなかなかに似合っているようだ。
事情を聞き、ヒーローのごとくやってきた黒髪の美少女。
聖剣使いの女子高生勇者、ヒナタくんである。
そして――。
私はうにゃ! っと瞳を輝かせる。
彼女の持つ紙袋に見覚えがあったのだ。正確に言うのなら、にゃんスマホの夢猫ネットで見ただけなのだが。
アンコとクリーム。更にちょっと特殊なビーフシチュー入りの――魚の形をしたお菓子。
多種多様なタイヤキさん!
にゃんこフェスティバルの会場で販売されている、グルメの一つだ!
タイヤキの濃厚で甘そうなアンコを頬に残しながらも、空間を切り裂いた聖剣を収納。
黒髪美少女はキシシシシっと愛らしい笑みを作る。
「はいはい。ちゃんとあんたの分もあるわよ。で、とりあえず事情を詳しく聞かせて貰えるかしら?」
『オッケー! じゃあこのタイヤキを食べながらでいいよね!』
ウキウキ、もこもこ♪
猫毛を膨らませて、私は分裂の魔術を発動した!
◇
隠しフィールドの内側から強固なネコ結界を張り。
更にホワイトハウル。
ロックウェル卿、大いなる光による外からの空間遮断――神々の防御陣で、逆に逃げる黒幕を閉じこめる形となった場所。
こちらの事情を説明し終えて。
ニャンコな私は、肉球についたビーフシチュータイヤキのソースをちぺちぺちぺ。
んーむ、美味しいには美味しいけど。
やっぱりタイヤキは甘い方がいいかな!
ヒナタくんが塔を見上げて、続いてこっちを見て。
更に、私の横。
タイヤキを抱えて、瞳を満足げに膨らませる私じゃない猫を見て。
じとぉぉぉぉぉぉぉ。
「なーるほどねえ。だいたいの話は理解したわ。で、一つ理解できないんだけど、いい?」
『なんだい? 頭を抱えて。もしかして、アイスのタイヤキでもこっそりと食べて、頭がキーンとしちゃった?』
チョコミントアイスとかをガッツリ大急ぎで食べると。
つ~んッと、なるよね~!
肉球を見せる形でネコ手を振って、笑ってあげたのだが。
「違うわよ! あたしが聞きたいのは、初めて目にするそのかわいいニャンコ! ニワトリちゃんワンコちゃんはちゃんと全部スパイを退治したのに……なんでケトスっち、あんたはいきなり仲間に取り込んでるの? どういう流れよ……」
『まあ私のカリスマのおかげだね!』
ドヤ顔をして、ネコ髯をピンピンとさせる私。
かわいいね?
そんな素敵な大魔帝の目の前。
新たな魂を手に入れたホープくんが長い尾と、猫耳をピョコピョコさせながら言う。
「吾輩は感謝しておりますよ。我が主、ケトスさま。さて、吾輩の本体はこのダンジョン塔の最上階に基地を作り隠れております故、退治するには攻略は必須。さあ、誰を連れてまいりましょうか? お嬢さんもどうか一緒に、我が主のためにお考えくださいませ」
猫状態でも慇懃なホープくんを、ヒナタくんがじぃぃぃぃぃっと見る。
彼女の目線にあるのは――。
妙にイケメン風な黒白模様なハチワレニャンコ。
「で? なんでこの新参くんは猫になってるの? あたしが相手にしたスパイは、アマゾネスって感じの女性戦士だったんですけど?」
『そりゃホープくんの格は魔力そのもの。形も簡単に変えられるからね。だったらもっとも素晴らしい種族である猫魔獣になって貰った方がよくないかい? 本人もこれがイイっていってるし、トウヤくんとまったく同じ姿だと困る場面もでるだろうし。だから魂を授ける時に魔猫としての魂を付与したんだけど、問題あるかい?』
「吾輩が猫で、問題ありまするか?」
私がこてんと首を横に倒すと、ホープくんも真似して顔を横に倒す。
いわゆる。
ダブルかわいい攻撃である。
まあ猫になって貰っているのにも訳がある。
魂というモノは器の影響を受けやすい。魔力を変形させた猫魔獣の器と魂ならば、邪悪な存在になってしまうリスクをかなり軽減できるのだ。
なにしろ、いちおう。
切り離された端末とはいえ――今回の件で暗躍しまくっている黒幕と、元は同じ存在だからね。
本人のためにも、魔猫化して貰った方が安全なのである。
それに、猫って魔王様に寵愛される文句なしの最上位種族だしね!
二匹のニャンコに見つめられ。
「い、いや――駄目じゃないんだけど。っく、二匹で猫顔を向けてくるのは反則だっての……っ! ああ、もう! まあいいわ!」
ぐぬぬぬと顔を愉快に曲げた後、彼女は少し真面目な表情で問う。
「ようするに、よ――この塔を攻略するために、あたしを呼んだってわけでいいのよね? でも……ここさあ、なんかめっちゃ大変そうじゃない? しかも、他のダンジョンタワーと一緒で、入った時にレベルも所持アイテムも初期化される――あの鬼畜難易度設定のままっぽいんですけど?」
そう。
ダンジョン領域日本の一部、この空間を乗っ取られているわけで。
当然、ダンジョンタワーも鬼畜設定のままなのだ。
つまり。
モフ毛をモコモコに膨らませた私は、目をギンギラギン!
うにゃうにゃっと少し鼻息を大きくし――。
猫口をぶにゃ!
『いやあ! 困ったねえ! でも、やりごたえがあっていいじゃないか! 今回の問題はここを解決すれば終了! これで世界崩壊が食い止められるかどうかは分からないけれど、転移帰還者の誘拐事件の方は解決するからね!』
「あんたねえ……地球が滅ぶかもしれないってのに、本当に、もう……。まあ、わざと能天気さを前面にだしてさあ。ぶにゃはははは笑いでシリアスを隠しているってのは、なんとなく分かるけど。はぁ……あたしとかじゃなかったら、不謹慎だって誤解されるわよ?」
まあ、確かに。
あまり周囲を心配させないように、道化っぽい立ち位置を演じている部分もあるにはある。
しかーし!
楽しみなのも、また事実!
ダンジョンタワー突入の前に、塔を背景に記念撮影!
えーと、夢猫ネットにアップロードして、と。
イケメンにゃんこ二匹と、聖剣使いで有名ダンジョンランカーの女子高生が、誰も知らないダンジョンタワーの前でピースしているのだ。
こりゃあ、イイ一枚である!
おお! さっそくイベント限定隠しダンジョン発見かって話題になってる!
今回の攻略が終わったら、さっそく準備!
世界をアップデートして、本当に隠しダンジョンを配置しておこう♪
「このハチワレホープくんも連れて行くって事でいいのよね。それで、結局今回の黒幕ってなんなのよ。誘拐犯ってことだけしか情報がないじゃない。ケトスっちはもう聞き出したんでしょ?」
犠牲者がでていることに、ちょっとムッとした様子でヒナタ君が言う。
彼女に答える形で、ハチワレホープくんが頭を下げてみせる。
「過去の事に関しては――吾輩も記憶に御座います。まああくまでもトウヤ様の魔力である吾輩に、その記憶と自我が埋め込まれた存在ですので、厳密に言うのなら吾輩が行った所業ではないのですが――それでも、やはり反省しなくてはならないのでしょうね」
しゅんと耳と尻尾を下げるハチワレホープくんに、ヒナタくんの顔がうぬぬと歪む。
ちょっと反省ポーズをするニャンコを撫でたいのだろう。
「吾輩は元、異界の神にございます。もちろん、吾輩自身は分霊、いわゆるコピーでございますが。本体は世界を一つ支配していた、それなりに力のある存在で御座いますよ」
ヒナタくんの瞳が尖る。
「元って、どういうこと? その世界、滅んじゃったって事?」
「はい、我が主。大魔帝ケトス様の手によって、既に――いやはや……その復讐と力を取り戻すため、わざわざ遠き青き地球に寄生していたのですが。まさか、吾輩の世界を滅ぼした方に助けられ、拾われ、こうして……配下の末席に加えて頂くことになるとは――」
そう。
どうやらこのハチワレホープくんの本体さん。
トウヤくんが召喚され、戦奴隷として使役されていた――あの世界の主神っぽいんだよね。
しかし、世界を破壊している部分をヒナタくんに追及されると面倒だ。
話題を変えるように、誤魔化しの話術スキルを発動させた私は――こほんと咳払い。
シリアスな顔をする。
『そういや君の名前ってなんていうんだい? ホープくんじゃなくて、本体の方ね』
「名前でございますか。いえ、隠すわけではないのですが――ちと難しいのであります。特定の名などなく、多種多様に、好き勝手に呼ばれておりました故……これといった名は――。ただ、そうですね。この地球の観測者からは、たしか、そう! アン・グールモーアと呼ばれておりました!」
モフモフな毛並みを靡かせて、ホープ君は思い出したように言ったのだが。
はて。
昔――まだ人間だったころ、世紀末な占い本にそんな名前があったような。
なかったような。
「アン・グールモーア? 聞いたことのない神の名前ね」
「え? いや、そうですか? 結構名前が知り渡り、全国の子どもを恐怖に陥れたと――魔力の噂で耳にしていたのですが。ご存じないと?」
「ご存じ……ありませんねえ」
あ、ホープくん……自分の事を有名人だと思っていたようで。
フサフサ尻尾とモフ耳を下げてしょんぼり――。
ちょっとガッカリそうである。
『まあホープくんの本体については、塔を登りながら話を聞こうじゃないか。早く退治して、夜のお祭りゲストライブまでには帰りたいからね。さて、メンバーの事だが。ホワイトハウルとロックウェル卿、そして、大いなる光は――もしも何かあった時のために不参加。それぞれ主神モードで目をギンギラギンにしてもらっている。私達が塔の攻略を失敗した場合、その脱出や次元干渉。敵がインチキしないように、監視もして貰う手筈となっているからね。戦闘にはでてこられない』
私のネコ口を指先でつんつんしながら、ヒナタ君が言う。
「ねえ、ちょっと疑問なんだけど。この場でさあ――こう……この塔をドバドバドバ! って、いつもみたいに吹き飛ばすわけにはいかないの? 別に人質を取られているわけじゃないんだし、情報が知りたいならさ? 黒幕さんから独立したホープちゃんに聞けばいいんだし。わざわざ塔を登らなくてもいいんじゃない?」
もっともな意見である。
『おー、私と同じことを考えるんだね! やっぱり、魔王様に育てられた存在だから、うんうん、こういう部分は似てるのかな~! なんか親近感がわくね!』
「それ、褒められてるのかどうか微妙なんですけど……って、ケトスっちも思い浮かんでいたのに実行していないってことは――」
話が早くて助かる。
『そういうこと。ま、やってみせた方がいいか』
言って、私は並列式の十重の魔法陣を無数に展開。
レールガンを撃つように、プラズマ状の魔力流を生み出して。
っと。
ドガドガドギィィィィィィィッィィイイイイイイイイィィッィイン!
次元に穴が開くほどの高出力。神すらも屠る威力の魔術砲撃を行ったのだが。
しゅぼん♪
間抜けな音と共に、砲撃が途中で消えてしまったのだ。
まともに顔色を変えて、ヒナタくんが叫ぶ。
「え! なにこれ!? 塔に届いてないじゃない!」
『そうなんだよねえ。たぶんこの塔、領域の範囲を少し拡大して設定されちゃってるのさ。本当なら塔に入らないとレベル制限やアイテム所持制限がかからないんだけど、ここは違う。塔の周囲が既に制限領域に指定されているのさ。つまり』
げんなりと肩を落とし、黒髪の先を弄りながら彼女は言う。
「遠距離攻撃で楽々破壊! なーんてしようとしても、攻撃そのものがレベル制限に巻き込まれて消えちゃうってことね……うわぁあ、なんかケトスっちみたいに搦め手が得意そうな敵じゃない」
褒められているのかどうか、微妙な所である。
ともあれ、私は猫笑い。
『だから地道にちゃんと攻略するしかないってことさ。まあ私達の魂はロックウェル卿たちが保護しているからね、塔の中で死んでも問題ないけど――レベルとかは地道に一から鍛える、いつものコースになるだろうと思うよ』
「しゃあないわね。この世界でゆっくり遊ぶにしても、ここに隠れている誘拐犯をとっ捕まえてからじゃないと落ち着かないしね、やるっきゃないか。よーし! いくわよ、ケトスっち!」
なんだかんだで新しい塔が気になるのだろう。
ヒナタくんも目を輝かせているが。
『他の参加メンバーが到着してからね。確実にクリアしたいし、メンバーを厳選してあるんだよ』
「あ、なるほど! あはははははは、ごめんね~! ちょっと早まっちゃったわ。で? で? 参加メンバーはどこにいるのよ!」
この子、魔王様の血が濃いなあ……。
新しい事への興味が凄い。
『ありがたいけどね、君の到着が早すぎるんだよ。空間を斬ってやってくるにしても、もっと座標を慎重に測るだろうと思っていたし……』
「なにごとも先に片付けておきたいのよ、あたしは! だってやっぱり、先に問題を解決して、おもいっきり遊びたいじゃない!」
キシシシシと美少女の顔に、無邪気な笑みを浮かべるヒナタくん。
その顔は、まあ……。
たしかに、人を惹きつけるカリスマがあるかもね。
『んじゃ、残りのメンバーが到着したら出発ってことで! 買ってきたフェス限定グルメを食べて待とうか!』
私とヒナタ君、二人は亜空間から買い込んだグルメを顕現させて。
バークバクバク。
時間を有効活用していたのだが――。
ハチワレホープくんが、ゆっくりとタイヤキの頭を齧りながら。
ぼそり。
「あの、人間と猫魔獣って、これほどに食事を必要とする生き物なのでありまするか? 吾輩のデータでは、これは食べ過ぎなどというレベルを超えた、異次元領域の大食いと表示されているのでありますが」
問われたヒナタ君と私は目線を合わせ。
ハチワレニャンコに目をやる。
『これが普通だよ? みんなこれくらい食べるさ』
「ええ、これが普通よ?」
よーし、言い切った!
「にゃるほど、吾輩も早くふつうを覚えないといけませんな~」
言って、私から手渡された鯛焼きを受け取り。
ぱくり。
初めてのアイスタイヤキの味が新鮮だったのだろう。
ネコ耳の先からしっぽの毛先までぶるりと震わせ――くわ!
ハチワレホープくんは、むちゅむちゅむちゅ。
「我が主。むちゅむちゅ。美味でございます! が、なぜこの魚は凍っているのですか? 吾輩、鯛焼きとは温かいモノだと認識していたのですが」
『甘いお菓子を凍らせて食べる食文化もあるのさ。これからいっぱい覚えるグルメがあるから、頑張って記憶しないとね! 私も一から、協力するから!』
そう、一からちゃーんと!
グルメを教えてあげる口実に、各所の露店を回るチャーンス!
私達はしばし、穏やかな時間を過ごした。
さて、ここが本当に誘拐事件のラストダンジョンになるだろう。
全てが解決したら、夜のゲストライブ!
後顧の憂いなく思いっきり遊ぶために、全力で悪者退治なのじゃ!




