裏プロローグ 前編
■ケトスさまからのおねがいと、ごちゅうい■
ここから先は、ほんぺん終了後のせかいとなっております。
すでに読み終えた世界で満足!
読後感がかわってしまうのが苦手!
もう十分モフモフを味わったから、これ以上はいいや!
そもそも目的も果たしたし。
セカイが平和になって全部解決。
ちょうどいい場面で終わっただろう!
『ニャニャニャ! どう考えてもここから先は蛇足ニャ!
もっと性格の可愛い女の子を出せ!
残念じゃないイケメンを出して!
男も女も変なヤツしか、いないじゃニャいか!』
ででーん!
と――思われるかたも、それなりに多くいらっしゃると思います。
もうしわけありません。
ここから先は、そういう。
あいかわらず残念な本編後の世界が広がっております。
閲覧は十分にご注意ください。
『そっと閉じて。
ここから先を、「みなかった事」や「なかった事」
にしていただく選択も有りだと思います!』
■ケトスさまからのおねがいでした■
……。
さて!
『ゲームクリア後の裏モードを楽しみたい!
という、そこのあなた!
物語終了後の世界をみても問題がない!
もっとモフモフ極悪アニマルを眺めたい、そこのあなた!
さあ、どうぞ!
ここから先の裏ステージへお進みください!』
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【番外編】
ケトスさま! 日本へ行く! ~幸運値が高いって地球で有利~編。
開始となります!
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(記録クリスタル――オン)
魔王様お目覚めイベントも無事終了!
人も魔も神もグルメを通じて分かり合い、共に食卓を囲むようになった融合世界。
この私。
素敵ニャンコな大魔帝ケトスが住まう暗黒大陸は、すっかりグルメランド状態。
ラストダンジョンには、今日も愛と希望。
もふもふアニマル。
そして、煙までも香ばしいレストラン街で満ち溢れていた!
大陸の麓には、多種多様な種族が住まう新市街までできているからね!
あの冒険散歩の日々から時間にして――。
え~と……。
既に一年が経っている。
一年というのは短いようで、けっこう長い。
人間世界にも色々大きな変化が起きていた。
なにしろ、うん。
世界は平和になったからね。
神族の代表で主神の大いなる光。
そして、魔の代表である我らが魔王陛下。
両者が揃って調印――各国の人間達の王や皇帝、女王などと平和会談を行ったのである。
かつて行われたあの大戦。
魔王様が御眠りになった悲劇の日から、百年とちょっと。
魔王様のお目覚めと共に、世界は変革期を迎えた。
新たな時代に突入していたということだ。
ながーく生きるニャンコの歴史にも、また一ページが追加されたわけである。
そんなわけで!
訪れた平和を。これでもかってほどに満喫する最強ニャンコな私はというと!
魔王城でのんびり!
紅蓮のマントの送風機能を受けて、うにゃはははははは!
『ありあまる時間を使いまくって! 私はもっと。もぉぉぉぉぉぉぉおおおおっと! 魔導の極みを登るんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!』
ビシ!
素敵ポーズも完璧!
大魔帝としての地位は維持したまま、ネコちゃん暮らしを満喫しているのだ!
お仕事はどうしたって?
どうせまた、書類を大量にため込んでいるんだろう?
そう思われるかもしれないが。
ふっふっふ!
それは情報が古い!
ななななな、なーんと!
今の私は自由の身!
最大の強敵だった、書類への判子押しをする必要がなくなったのだ!
ででーん!
アレは魔王様の代わりに、魔王軍代表として印を押していたんだからね。
魔王様がお目覚めになられたのだから、当然、そういうのは魔王様がひとつひとつ――ちゃんと確認して判子を押すようになったのである。
部下達からはチェックが厳しくなったとの声も上がっているが。
気にしない。
むしろ今までがテキトーなチェックすぎたとかジト目で言われたが。
気にしない。
いやあ、魔王様がお目覚めになってくれて本当に良かった!
もちろん。
そういった仕事の意味だけでなく、本当に嬉しいのだが――まあ口にださなくても伝わる心もあるからね。
私の他にもロックウェル卿と大魔帝ロック。
ホワイトハウルとブラックハウル卿。
そしてなにより大魔王ケトス。
かれらも当然、魔王様に甘えたい。
魔王城に頻繁にいるので、大人で心の広い私はちょっと遠慮している状態でもあるのだ。
できることなら肩に張り付いて、ずぅぅぅぅぅっと一緒に居たいのだが。
それはもう一年間の間で十分に満喫した。
それに私。
ネコちゃんだからね。
ちょっとだけツンも見せておいた方が、かわいさが増すのである♪
寝室で一緒に眠るのはニャンコの特権だしね!
んで!
今の私が何をしているかというと。
魔導メガホンを片手に、くわ!
部下を集めて、新たな作戦を実行していた!
『あー! あー! テステス! 大丈夫そうかな……? こほん! あー! ネコ魔獣諸君! 傾注せよ!』
我が配下のネコ魔獣たちが、耳をアンテナのようにピーンと立て。
ザザザザザザ!
ビシ!
とんでもない高レベルのニャンコ達が、整列!
魔王軍最強のモフネコ部隊が、私の言葉を待ちウズウズわくわく、喉を鳴らしている。
ここは既に秘密作戦が行われている研究所。
自室と魔王城内の新たな施設を、ネコちゃんワームホール――すなわち亜空間で繋げていたのである。
くはははははは!
建設した魔導研究所で、新しい転移魔術の開発中なのだ!
『君達! おいしいお菓子を食べたいか―!』
「にゃー!」
『我等のグルメをもっともぉぉぉぉぉぉっと、充実させたいかー!』
ニャァァァァァァァァァ!
瞳に闘志を宿らせ、ドヤ!
ネコ鼻を興奮気味に――すんすん!
我等、ラストダンジョンのネコ魔獣が一致団結し。
『さあ、新たなグルメを入手するために――いざ進めや転移研究! 地球との恒久的な巨大転移門をつくるため! 頑張るのニャァァァァァァァァアァ!』
おぉぉぉっぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉお!
ケートースさま!
ケートースさま!
液状ちゅ~ヌ! 液状ちゅ~ヌ!
既に異界のネコおやつの味を知っている猫魔獣大隊が、私の宣言に反応。
世界を揺らすほどの大ゴロゴロ♪
ネコ達が喉を鳴らし。
ビシっと、力強く肉球をかかげていた!
『全ては液状オヤツ! ちゅーにゅのために!』
高らかにもう一度宣言!
うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっぉぉ!
猫ゴロゴロと声援が!
暗黒大陸を魔力で揺する!
いやあ、実は今――魔王様に異界召喚を見張られているからね。
ようするに、だ。
異界召喚をあまりできない状態なのである。
当然。
天然モノの異界オヤツが手に入らなくなってしまい……。
既に、在庫は空。
魔術による、分裂モノの養殖オヤツしかなくなっていたのだ。
だから賢い大魔帝ケトスな私と大魔王ケトスは考えた。
異界召喚じゃなくて、直接大量に買いに行けばいいじゃない!
と。
まあ、理由はそれ以外にもあるのだが……。
ともあれ!
賛同者も、もちろんネコちゃん!
ラストダンジョンに蔓延る最強ネコ魔獣軍団だったというわけである。
地球の日本にワームホールを繋げる研究をしながら。
我等はすばらしき歌を口ずさむ。
『ちゅーにゅ、ちゅーにゅ♪ にゃ~、ちゅーにゅ~♪』
『ちゅーにゅ、ちゅーにゅ♪ にゃ~、ちゅーにゅ~♪』
ネコ魔獣たちが、わっせわっせ♪
私の指示に従い、様々な魔導素材を運んで。
モフモフしっぽを揺らして、わっせわっせ♪
猫魔獣が協力しているのだ。
もちろん。
大騒動を起こした、例のラスボスもいて。
儀式の波動を受けながら、ギラギラギラ!
魔導研究所に魔術閃光が広がる。
黒ニャンコと白ニャンコ。
ふたつの大魔族が、モコモコモコモコ!
猫毛をふわふわさせながら――魔杖を振りかざしたのだ。
『其は魔導の深淵を覗きし者。我はケトス! 大魔帝ケトス! 異世界の扉を思考するもの也!』
『其は魔術の頂きを眺めし者。我はケトス! 大魔王ケトス! 異世界の窓を思案するもの也!』
ブオブオブフォォォォッン!
発動するのは――巨大転移門の魔術テスト。
もふもふモコモコな猫毛を更にふぁっさ~♪
魔力風で揺らし。
芝生のようにシッポの毛まで靡かせる我等は――猫目石の魔杖と壊れた世界を固めて作られた魔杖を翳し!
ドガドガドゴゴォオォォォォッォォォォン!
うっかり世界を大混乱させるほどの世界干渉魔力をコントロールしながら。
ドヤ顔。
にゃふ。
にゃふふふふふ!
あー! やっぱり魔術っていいねえ! それを操る我等の姿も、とってもかわいい!
なんて美しさ!
『実験終了――、いったん、術式を解除するよ~!』
『了解!』
あ、なんか亜空間で魔力大爆発が起こってるけど。
……。
まあいいや、みなかったことにしよう。
転移門を閉じて――。
私は白い同胞にニャハり!
『ねえねえ! 大魔王な私! こっちもちょっと見てくれないかな? この魔術式を拡張して、次元と時空を固定、地球に接続したままにしようと思っているんだけどー!』
『えーと、ちょっと待ってねえ。ふむふむ、ぶにゃにゃ! ねえ……これだと転移の最中にアイテムリストをロストしちゃうんじゃない?』
指摘された部分を見直して。
私はネコ毛を、ぶわ!
『ぶ、ぶにゃ! た、たしかに! えー、じゃあ組み直しかなあ』
『ワタシたちって猫だからね~。こういう細かいミスが、いつまで経っても無くならないんだよね~♪』
苦笑しながらも大魔王ケトスが、魔導ペンを肉球でむぎゅっと握り。
魔術式のミスを直し、修正。
にひぃ!
私もにひぃ!
一度、魔術を停止させて。
互いに見つめ合い。
『こんな魔術式を組めちゃう私達ってさ!』
『まさに最強コンビにゃのである!』
肉球でハイタッチ♪
『いえーい!』
くくくく、くははははははははははははは!
魔王城に哄笑がこだまする!
そう!
大魔帝な私と大魔王なワタシは、ものすごーく、相性が良いのである!
こう言っちゃなんだけど、私。
自分が大好きだからね?
まさに理想の美しい猫が、私とは違った角度の異界知識で別アプローチをしてくれながら!
魔導研究に力を貸してくれているわけで!
研究が捗ること、捗ること。
世界のどこをさがしたっていない最高の助手と、尻尾でもハイタッチ!
『にゃはははははは! さーて、このまま地球グルメを回収する偉大なる計画を進めるのにゃ!』
『おー! って、あれなんか……ものすっごく強力な神の波動が近づいてきてるけど……にゃんだろ?』
肉球を猫アゴにあてて考える大魔王に、私は言う。
『まあ、魔王城に直接転移できるモノなんて限られているから、関係者だとは思うんだけど――なんか、下からきてるっぽい感覚があるね』
『下からっていうと、ああ……あの残念な冥界神か』
二人のケトスが、うにゃん。
かわいく首を傾げて――魔力の発生源をじぃぃぃぃぃぃ。
魔王城の底――。
冥界の淵から昇ってくるこの波動は、黒き翼をもつ自称伊達男。
主神クラスの冥界神で間違いない。
ニャンコ魔導研究所に顕現したのは、やはり魔王様の兄。
レイヴァンお兄さんだった。
◇
暇そうな世界最強クラスな神様は――モフモフ猫魔獣たちを眺めて。
デレー♪
ピッと、大きな手を上げて挨拶をよこしてくる。
「おー! やってるな――極悪アニマルども!」
『やっぱりレイヴァンお兄さんだったね。で、どうしたの? 魔王様ならまだ会議中だけど。寂しいからって、またウチの猫魔獣大隊からモフモフっこをレンタルしに来たとか?』
このお兄さん。
昔から超優秀な魔王様と比べられていたからコンプレックス……というか、苦手意識がけっこうあるみたいなんだよね。
そんなアンニュイな部分を吹き飛ばす笑顔で、お兄さんはキシシシシ!
「アイツじゃなくてお前らに会いに来たんだよ! なーに企んでやがるんだ、この極悪共! おら、おら! 撫でてやろうじゃねえか! まーた、世界を壊しかけてるんじゃねえだろうな。なははははははは!」
『くははははははははは!』
撫でられてしまうと、反射的に声が出てしまう!
大魔王のケトスと大魔帝なケトスな私を交互に抱えて、ワーシャワーシャワシャ!
ナデナデもふもふ。
またもう一度、お兄さんはキシシシシと笑う。
「おまえらが今使った魔術、冥界にまで振動が届いてやがったぞ? いったい、なにをやらかすつもりなんだ? なあ、なあ! いいじゃねえか。ケチケチせずに、話に混ぜろよ!」
魔王様がお目覚めになってから、こんなテンションなんだよね。
目覚めは嬉しいが苦手は苦手。
なんとも複雑な兄弟関係なのだろう。
大魔帝な私と大魔王は目線を合わせ。
ドヤを我慢し私の方が言う。
『別に、ただ――いつでもどこでも、だれでも地球に行ける魔術転移装置を開発してるだけだよ?』
「地球に行けるだと?」
褒めろー!
褒めろー!
そんなオーラを受けながらもお兄さんは考え込み。
眉間のしわをワイルドに尖らせ。
翼を、ばさり。
「地球……青き遠き星――だったか? あいつが転生する前に住んでいた世界で、おまえたちも住んでいた未知の領域。俺様も知らない娯楽のある世界、か……。ふふ、ふははははは! なあ、ちょっと詳しくその話を聞かせろって!」
口を開かなければ精悍ハンサムさんなその頬が、でへーっ。
まあ、別にいいけどね。
色々と欲に溺れて、威厳を捨てまくっている冥界神に――。
私は、こほん。
『君も大概、欲に弱いよね……』
「まあ、そういうなって! いいじゃねえか! 世界が平和になったからわりとマジで暇なんだよ! それに、ま。あいつとおまえたちの故郷ってところも、ちょっと気になるしな。で、なんでまたそんな所に空間を繋げようとしてるんだ」
銜えタバコをピコピコさせて、ちょっと真顔でお兄さんが言う。
話の先を促しているのだろう。
『うん、いやあ……実はさ――ネコ魔獣たちの間で深刻な食糧問題が起こっていてね』
「そんなに、ふとっ……違う。デ……いや、あー……その、なんだ。艶々の丸々なのにか?」
と――我等モフモフ、ネコ魔獣大隊を眺めて言うお兄さん。
嘘を言っても仕方がないし。
肉球を傾け――十重の魔法陣を展開。
在庫切れ状態の、液状ネコちゃんオヤツの映像を映し出してやる。
『魔王様に不要不急な異界召喚を禁止されちゃってさあ。向こうの液状オヤツが手に入らなくなっちゃったんだよ。魔王様にちゃんと許可を得て、専用スキルで異界から商品を取り寄せてるフォックスエイルも、なぜか日本からの商品召喚ができなくなってるって言ってたし。魔王様に内緒でこっそり召喚しようとしても、キャンセルされちゃったし。なーんか、日本で異変が起こってるっぽいんだよねえ』
そう。
なんか知らないけど、通信異常が起こっているのである。
原因は不明。
まあこの世界と直接関係ないから、どーでもいいって言ったらどーでもいいわけだが。
うん。
どーでもいい、筈、なのだが――。
くわっとネコ目とネコ口を開き、私は言った。
『あの魅惑のオヤツが召喚できないなんて、一大事だよね!?』
その通り!
ネコ魔獣大隊から大きな声が上がる!
憤怒と心配。
さまざまな感情に、我ら猫魔獣はシッポの先まで膨らませ。
私をじっと見る。
ボス猫としての言葉を待っているのだろう。
私はふっ……と息を漏らし。
イケニャン顔で言う。
『安心したまえ、君達には私と大魔王がついている。かならず、かならずっ――! 日本の液状オヤツだけは守り切ってみせる。大魔帝として、約束しようじゃないか! これは私達ネコ魔獣に与えられた試練なのだろう! どうか――私を信じておくれ!』
シリアスな私の言葉に、皆が心を打たれたのだろう。
ズズズっと鼻をすすり。
感動の涙を流すモノまでいた。
なぜかレイヴァンお兄さんは額に手を当てて、残念そうな顔をしていた。




