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ラスボスが仲間になると強い、その4 【SIDE:女虜囚・王国聖騎士シアン】後編



【SIDE:女虜囚・王国聖騎士シアン】


 冷たい監獄砦に突如現れた闇の魔獣。

 ふふん、とドヤ顔を浮かべ。

 大魔帝を名乗るネコは、クハハハハハハと闇の中でふんぞり返る。


 褒めろー!

 褒めろー!


 そんな圧を受けながらも、聖騎士シアンは傷ついた身体で立ち上がり。

 周囲を見渡す。


 聖女も聖職者見習いの子どもたちも結界で守られて、無事。

 助けられたのは間違いない。


 気丈な騎士の口からは、思わず安堵の息が漏れていた。


 警戒を解かずに。

 けれど限界まで感謝を示すように笑みを作り、頭を下げる。

 謝辞の姿勢を維持し、騎士としてシアンは言った。


「すまない、どうやら――助けられたようだな。ありがとう、大魔帝ケトス殿……、名前を騙られていると言っていたが、あの大魔王ケトスとは別人、なのだな?」

『当然さ。まったく、有名税って言葉もあるけど、いい迷惑だよ――』


 ジト目をしながらも、魔猫は太々しい顔をキョロキョロさせ。

 モフっと立った耳をピコピコ。


『敵がまだ潜んでいるね。さすがに騒ぎ過ぎたか――。ともあれ、私が来たからにはもう安心さ! 助けを求める君の声が聞こえたよ――よく頑張ったね。君は聖女も子どもたちも守り切った。結果としてだけどね。それでも脆弱なる人間にしては上出来さ、褒美にこの私が、大魔帝ケトスが! 褒めてあげようじゃないか!』


 ビシっと変なポーズをとって、猫はドヤァ!


 この我が褒めてやっているのだ!

 そんな顔で、ドドドドドヤァァァァァァァァァァァァ!

 ん? ん?

 と偉そうにモフ毛を膨らませる――その姿は、愉快な猫魔獣だが。


「あ、ありがとう。偉大なる魔猫の君。ああ、本当に――助かったよ」


 礼を述べるシアンは困惑気味に猫を見る。

 昏く湿ったこの場所。

 死の匂い漂う監獄で、こんなにも堂々と胸を張る猫など見た事が無かったのだ。


 ――な……なんだろうか、この世界観が違う魔獣は……まあ、まちがいなく異世界の住人、だろうな。


 しかし。

 ごくりと、氷よりも冷えた息を呑み込んでもいた。


 ギャグみたいな存在だが――とんでもない強者だ。

 明らかに器が違う。

 聖騎士シアンは、猫の操る結界内で眠る聖女と子どもに目をやった。


「無様な姿を晒したうえで、更に厚かましく願い奉るアタシを嗤ってくれていい。けれど、どうか――彼らを助けたいんだ、協力しては……くれないだろうか?」


 ぶにゃっとモフ毛を震わせて、魔猫はうんうんと上機嫌で頷く。


『おー、ちゃんとお願いできるっていうのは良い事だ! まあ最初から、そのつもりさ。少なくとも――自分はどうなってもいいから、子どもと女性を救いたい。なーんて、健気に祈る娘を見捨てられるほど、私は狭量な紳士ではないつもりだ。ようするに、さっきも言ったが、既に味方だよ。うん! 君はとても運がいい、この私の力を借りられるんだからね! 大船に乗ったつもりでいるといいさ!』


 隔離された世界で祈りは天に届かなかった。

 けれど。

 ネコには届いていたようだ。


 精一杯の笑みを作り、シアンは痛む身体で傅き。

 握手を求め手を伸ばす。


「よろしく。頼りにしてるよケトス殿」

『思う存分頼るといい! なんたって、私はあの大魔帝ケトスだからね! 結構強いよ! 百年前に勇者を噛み殺した存在って……そういや、大戦時の私の伝承って――この大陸だとどういう扱いになってるんだろ……まあいいや。ともあれ皆は私を畏れと敬いを込めてこう呼ぶ――殺戮の魔猫とね!』


 ぷにゅっとした、ふっくら肉球。

 獣の手で握手に応じ、告げる猫はやはりドヤ顔。

 キリ!

 キリリリリ! 褒めろー! 褒めろー!

 と、その顔の毛までもがモフモフに膨らんでいる。


 ――大魔族と言っていたけど……よ、よく喋る、陽気なニャンコだね……。いったいどこの変わった異世界の住人なんだろうか。しかし、ありがたい事に違いはない。


 ゆっくりと瞳を細め。

 シアンは場違いであると分かっていながらも、僅かに眉を下げる。


「殺戮の魔猫か……こんなにかわいいのに、随分と猛々しい二つ名だねえ」

『あれ? 知らないって事は――やっぱり大魔帝の伝承がこっちには残されてないのかな……えーと、待ってねえ、いま皇帝君からの味方だっていう魔導証明書を見せるから……って、あれ、あれれれれ、ぶにゃ! ど、どこにしまったかな……!』


 亜空間の中に顔を突っ込み、ファッサファッサ!

 尻尾とおしりをフリフリしながら猫は、ガサガサゴソゴソ。

 何かを探しているのだろう。


「いや信用しているから大丈夫だよ。しかし……皇帝君って、まさか! 聖帝国のイプシロン帝かい!?」

『そうそう! あのイケおじ君さ。彼に召喚された、勇者たちが今、っと、ここじゃないな……この大陸を、取り戻そうと! 行動、を、開始しているんだ、よっと。私は勇者ってわけじゃないけど――! 巻き込まれて呼ばれて、ね、あー! あったあった! ほら、これだよ、これ! これが証明書! 皇帝さんからの依頼を受けて味方をしているのさ。分かってくれたかな?』


 亜空間の中。ようやく証を発見したのだろう。

 ジャムの汚れでべっちょりと濡れた証明書には、確かに皇帝の署名がされている。


「じゃあ、本当に……帝国は勇者召喚に成功していたんだね。そうか――、良かった」

『そんなわけで安心したまえ、損得抜きにして私は君の味方だよ。弱き者を守る姿ってのは、いつの時代でもいいもんだねえ! よ! この猫のココロを奪った名誉騎士! いやあ、女騎士の人って心まで強い人がいるから部下に欲しくなっちゃうよねえ~』


 なぜだか魔猫は上機嫌で、ゴロゴロゴロゴロ喉を鳴らしている。

 よほど、子どもと聖女を守るために戦った姿に感心しているようである。


 シアンはぎゅっと唇を噛み締める。

 泣きそうだったのだ。

 涙をこらえる聖騎士から自然に顔を逸らして、大魔帝ケトスは結界で包む聖女と子どもたちを――ちらり。


『さて、とりあえず――君も含めて全員を回復しちゃおっか』


 言って、バササササササ!

 大魔帝を名乗るネコは、翳す肉球の上に神々しい聖書を顕現させ。

 周囲を回復属性の優しい光で満たしていった。


「治りそうかい?」

『ああ、精神についた傷は……まあしばらくかかるだろうけど。傷の治療は完全にできるよ。回復させたらイプシロン聖帝国に転移させちゃうね。向こうでは既に保護された捕虜がいっぱい送られてるから、ここで完全に回復させちゃって、と!』


 片手で結界内の聖女たちの回復。

 そして右手でシアンの傷を治療し、魔猫は黒い毛並みを回復の波動で輝かせる。


 聖職者にも含まれる聖騎士。

 さまざまな治療の使い手を見た事のあるシアンだったが、今、彼女はまともに顔色を変えていた。

 この魔猫がしてみせている奇跡。

 その超領域ハイレベルが理解できていたのだ。


 同時に別種の回復の奇跡、魔術を組み合わせ発動させている。

 魔術と奇跡の同時発動。

 それだけでも常人ではけして届かない領域なのである。


 なのに、この猫はそれ以上の事をやっている。


 術と奇跡。

 回復の力そのものが既に並を越えていた。

 数年単位の祈祷と儀式がコストとしてかかる神話領域規模の治癒、治療の波動を、常時発動し続けているのである。


 それだけではない。

 尻尾の先が十重の魔法陣を刻んで、この周囲一帯を己がダンジョン領域へと書き換えている。


「領域支配の権能、だね――」

『ああ、よく分かったね。これでも私はダンジョン猫でね。迷宮魔術は得意中の得意なのさ。ここを私の支配地域とし、転移門を強制的に抉じ開けている。あと少しでこの子達は帝国で保護できるさ。安心したまえ』


 それは太々しい顔のドヤ猫だったが、紛れもなく本物。

 神だ。

 猫の神。

 救いの神――そのもののように見えたのだ。


 心まで読めるのだろう。

 ネコはムフフと勝ち誇った笑みを浮かべ。


『こう見えても私は神属性持ちだからね! 我を崇めよ、猫を讃えよ! ふふーん、傷が治ったらえらーい私の頭をナデナデしてもいいよ?』


 ドヤァァァァっと。

 ヒゲをぶにゃぶにゃさせて、偉そうに魔猫は嗤った。


 ◇


 治療を終え――聖女と子ども達の帝国への転移が終わった後。

 猫と騎士以外、誰もいなくなった監禁部屋の一室。


 聖騎士シアンは自らの頬をそっと撫でていた。


 訓練でついたはずのあの古傷まで消えていたのだ。

 青紫色の髪を後ろに束ね、シアンはあらためて大魔帝を名乗る魔猫をじっと見る。

 規格外の力に感心していたのである。


 ――どこからどう見ても、レベル一桁の可愛い黒猫なんだけど……すごいね、こりゃ。味方としてなら頼もしいが、もし、この魔猫が人類の敵となったら……いや、考えるだけ無駄だろうな。おそらく、抗う術などない。


 聖女と子どもの傷まで治し、一瞬で遠方の帝国まで転移させた。

 それだけでも凄い事なのに。

 きっと――それは力の一端でしかない。


 ふっと騎士の笑みを浮かべて、シアンは言う。


「重ねて礼を言わせて貰うよ、ありがとう。それにしても……あんた、本当に何者なんだい? 大魔帝っていうのは、神の称号だったりするのかい」

『だから大魔帝ケトスだって言ってるじゃん。大魔帝は魔王陛下が私に授けてくださった役職さ。カッコウイイでしょ? まあこっちの大陸では何故か私の伝承がなくなっていて、代わりに大魔王ケトスなんていう偽物が蔓延っているみたいだけど――それよりも』


 言って、魔猫はちょっと困った顔をしてみせる。


『悪かったね、もう気付いているようだけれど……そこにあった古傷も一緒に治してしまったんだ。器用にそこだけ残すことはできなくてね』

「いや――構わないよ」

『でも、気に入っていたんだろう?』


 やはり、心を読む能力も会得しているのだろう。

 そんな事まで分かるのかと、シアンは眉を下げる。


「傷を治してくれたんだ、文句なんてないさ。ま、女貴族としての地位を捨てた決意の証でもあったから、ちょっとは寂しいけれどね」

『へえ、貴族だったんだ。えーと……』


 名前を聞いているのだと察したシアンは、騎士の最敬礼をしてみせ。

 傷一つない身体で微笑みを贈る。


「シアンだよ。シアン=ヴィ=デルトライア。デルトライア王国の聖騎士、聖槍使いの女騎士と言えば有名なんだが――まあ、ケトス殿は異世界人なのだろう、知らなくとも無理はない」

『オッケー、シアンさんだね。いやあ三文字で助かったよ。私、女の人ならまあ大丈夫なんだけど、それでも三文字を超えるとさ、名前……たまに忘れたり間違えたりするんだよね』


 にゃははははと、苦笑するネコらしいアピールに、くすり。

 お嬢様っぽい笑みを浮かべてしまうシアン。

 かつて貴族令嬢として過ごした日々を思い出してしまった彼女はこほん、と咳払い。


「王国が――デルトライア王国がどうなっているのか……ケトス殿は、なにか情報をお持ちだろうか」

『そう――だね。ちょっと待っておくれ』


 声のトーンを変えて、魔猫は赤き瞳を輝かせる。

 空気が変わっていたのだ。

 その口から、まるで皇帝のような――低く甘いハスキーな声が漏れる。


『すまない、仲間たちもその名の王国については、聞かされてはいないそうだ。私も昨日この世界に来たばかりだからね。ただ、皇帝君からは大陸の三分の二が既に占領または陥落されたと聞いている。気を悪くしないで欲しいのだが、希望的観測はあまりしない方がいいだろう』

「なるほど、ありがとう――」


 公私をハッキリと使い分けるタイプなのだろう。

 不意にリアリストになる大魔帝に、シアンは頷く。


「それで、アタシはなにをすればいい。何か頼みがあってここに残るようにしたのだろう?」

『話が早くて助かるよ。さきほどもいったが、ここに突入したのは三人、全員共に昨日転移してきたばかりでね――情けない話、敵と味方の区別があまりつかないんだよ。敵に捕虜のフリをされて帝国に送ってしまうと、まずいだろう? 現地人の協力者が欲しいのさ』


 昨日の今日でもう砦を一つ、取り返している。

 その迅速さ。

 決断力の速さに感服しながら、シアンは顎に指を当てた。


「もちろん協力はさせて貰うよ――ケトス殿。それで……頼り切りで悪いのだが、なにか装備は所持していないだろうか? 上位者には敵わないが、これでも一応聖騎士だ。武器があっても足手纏いになるかもしれない……それでも、少しはマシな動きもできると思うし。なによりだ、何か持っていないと……その、少し落ち着かないのだ」


 にゃるほど、と頷き。

 魔猫の空気が柔らかくなっていく。


『そうだね。武器として使われているモノはなんだって持っているよ。剣でも弓でも杖でも、シャボン玉ストローに魔導メガホンだって揃っている』


 シャボン玉に、魔導メガホン。

 異界人はそんな武器まで使うのかと好奇心が浮かぶが、シアンは言う。


「槍が得意なので、できたら槍を貸していただきたい。頼めるだろうか」

『オッケー、槍だね!』


 ぶにゃっと微笑んだ黒猫は、再び亜空間に上半身を突っ込み。

 尻尾を左右にふーりふり♪

 うにょーんと背伸びするように踵を伸ばすネコ足には、ぷっくりとした肉球が踊っている。


『とりあえず色々と出すから気に入ったものを使ってくれ。装備制限とかも、あるだろうから……っ、っと、これも槍か、こっちは……』


 がーさがさ、ごそごそごそごそ!

 ぽいぽいぽい!

 どれもこれも、尋常ならざる力を秘めた槍が、次々と顕現する。


「装備できるものなら、どれを借りてもいいのかい?」

『うん、どうせ使ってない装備だし。あまり使っちゃダメって言われてる異界召喚で紛れ込んできちゃった装備だし。この時のために緊急召喚したって言い訳を作れるしね』


 禁術かなにかか。

 言っている言葉の意味はあまり理解できなかったが。


 ともあれ、シアンは並ぶ武器を眺め――ふと、一振りの蒼き槍に目を止める。

 なにやら呼ばれたような。

 吸いつけられるような、力を感じたのである。


 蒼く輝くその槍には、黄色と黒色の封印札が貼られている。


 異界の文字で『危険、これはヤバイのだから貸したり上げたりしないようにしよう!』と、ネコが肉球で掴んだ太い魔力ペンで、ぶにゃぶにゃっと書いたような記述がされている。

 むろん。

 シアンにはその文字の内容を理解することはできなかった。


「これは――封印されているようだけど」

『え、それ? えーと……名前がどこかに……あー、あったあった。蒼の魔槍まそうカイセヌスチュールだって! あ、でも……なんか注意点があったと思ったんだけど、なんだっけニャ?』


 頭上にハテナを浮かべて、考え込む猫魔獣。

 その尾も考え込むようにビタビタ揺れている。


 シアンは魔槍を眺め。


「ちょっと手に取ってみてもいいかい?」

『うん、いいよ!』


 生返事であるが。

 まあ、問題があるのなら返せばいいだろう――と、シアンは槍に手を伸ばす。


 蒼い槍を掴んだ、その瞬間。

 大魔帝は、くわっと目を開いて尻尾を膨らませ。

 口をあんぐり。


『ああぁぁああああああぁぁぁぁー! 思い出した! それ! 異界から海鮮味の液状オヤツを召喚しようとしたら、間違えて引き寄せちゃった呪いのアイテムだ! ごめんごめん、装備すると人間の能力を超える程に強くなれるんだけどさあ。職業が暗黒騎士に固定されちゃうし、一生外せなくなっちゃう、どっかの騎士にうっかり授けちゃった紅の魔剣の対となる槍、なんだけ……ど――って、あ……装備、しちゃったね』


 ビシっと魔猫の顔が固まる。

 一瞬、空気が凍り付いて。


 慌ててシアンは詫びるように頭を下げる。


「す、すまない! まさか外せなくなる装備だとは思っていなくて、借りるという話であったのに――そのっ」


 慌ててパタパタ肉球を振って。

 そういうのは大丈夫アピールをするニャンコは言う。


『いやいやいや、どうせ一生使わない封印アイテムだったから返して貰わなくて全然問題ないんだけど……』


 ものすごい申し訳なさそうな顔をして。

 大魔帝は目線を逸らす。

 ねこのおくちが、うなんなと揺れる。


『ごめん……それたぶん。あのぅ……マジで一生、外せない……みたいな? どどどどど、どうしよう! 嫁入り前の女の子にこんな呪いの装備を渡してしまったなんて魔王様に知られたら、絶対に怒られるヤツじゃにゃいか!?』


 目を泳がせ、肉球に汗をびっしょりと浮かべる魔猫が、ダダダダダ!

 ダダダダダダ!

 困った、困ったと猛ダッシュ!


「ケトス殿が詫びることなどない。王国のため、そして今この砦でまともに動くためにこの力はきっと役に立てる。戦う力を与えてくれてむしろ感謝しているよ、ありがとう」

『そ、そうかい? そう言ってもらえると罪悪感が薄れるから助かるんだけど。大丈夫かな。前にそれと類似する魔剣をあげちゃったときには、なんかすんごい力が出ちゃってたけど……。ちょっとその槍、むこうに向かって振ってみて貰えるかい?』

「こうかい?」


 言われてスっと槍を傾けると。


 ちゅどーん!

 ズバズバ、ジュジュジュジュジュジュ!


 貫通力と切断力のある魔力閃光が飛んで、裂かれた壁が次元の狭間に消えていく。

 ふはははははと、どこからともなく鳴り響く死神の声と共に……。


 おそらく、この槍。

 攻撃と同時に、死神による範囲即死攻撃が発動するのだろう。

 むろん。

 とんでもなく危険な神器である。


 崩れかける天井から、埃がパラパラと落ちてくる。


「なあ、ケトス殿」

『なんだい、暗黒騎士シアンさん』


 ありえない規模の爆発が起きる中。

 空洞ができて夜空を確認できるようになった、監獄塔で。

 シアンはぼそりと、言う。


「アタシはこんなに強力な武器を貰えて本当にありがたいんだが……あんた、加減とか、世界への影響を考えろとか。そういうことを言われた事、ないかい?」


 言われてビクっと毛を揺らし。

 けれど。

 魔猫はシリアスな顔で、ふっと微笑し。


『いや、一度もないよ?』


 言い切ってやったのだ!

 そんな顔で、魔猫はふふんと胸を張った。


 ◇


 砦の捕虜を救出し、完全制圧したのはこの一時間後。

 タヌキと女子高生と、猫。

 三人の愉快な勇者により、ようやく人類は反撃の狼煙のろしを上げる事に成功したのだった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] ケトス様、ちゃ●ちゅ~る名前系ヤバイ装備品いくつ持ってるんですか!!(゜ロ゜) [一言] なんか途轍もなくヤバイ装備品渡しちゃいましたね。 しかもちゃ●ちゅ~る系の名前の…。もしかしてケト…
[一言] ちゅーるに似た名前のヤバい物多すぎワロタ ただ強さに対してデメリット全然ないですねw 僕もカイセヌスチュール欲しい…
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