エピローグ編 最上位クエスト達成! ~グルメ報酬とセクハラお兄さん前編~
長年に渡り蝗害を起こしていた黒幕。
炎熱国家連盟エンドランドのお偉いさん達を騙し、暗躍していた女神リールラケーは滅んだ。
とある偉大な大魔術師!
麗しき猫モフ毛を携える猫魔獣こと私!
大魔帝ケトスの介入で全てがビシっとにゃはっと、大解決!
行儀悪くテーブルの上に肉球あんよを乗っけて、肉球お手々をかかげドヤァァァァァァァ!
『くはははは! もっとだ、もっと、もぉぉぉおおおおおっと、我にご馳走をもってくるのである!』
「はいよー! ちょっと待っててねケトスさま、いま超特急で焼いてくるから!」
と、答えるのはギルドの長。
男勝りな大柄女性マスターのジャスミンさんの声である。
人手が足りないので、料理上手な彼女もグルメ製作に参戦中なのだ。
今、私がいる場所は、ギルド料亭の宴会場。
その特等席である。
ゲットしたモフモフクッションを横において、猫のあんよをピョコピョコピョコ。
猫手に握るのは、ステーキ用のナイフとフォーク。
テーブルに並んでいるのは、積まれた空のお皿たち。
ぺろりと舌なめずり。
追加オーダーが届くのを待っているのだ。
行方不明になっていたギルド冒険者も、もちろん回収済み。
本来の依頼はこっちだったんだからね。
べ、別に忘れていたわけではないが――ちゃんと本部で囚われていたところを、他の電池にされていた人々と一緒に救出していたんだから、問題ないよね?
無事だった事を後からギルドマスターに礼を言われて。
ぶにゃ!
っと、その時になってやっと思い出したりもしたのだが、気にしない!
まあ、囚われていた人達には事前に幸運を跳ね上げる支援魔術を使っておいたのだ。
その影響もあったのだろう。
つまり。
私のおかげなのだから、そこんところは一応、アピールしておこうと思う。
うん。
ともあれ!
私のテーブル前には、グルメグルメのぐるぐるめ!
どんどんどんどん、報酬が積まれていく。
むろん、この私を持て成すためである!
あの移動要塞では懐疑的だった囚われていた人間達も、今や私を救世主と崇めて、へへー、御猫様~! モードで、平伏。
私、ちょっとした英雄状態だし。
にゃふふふふふ!
これでまた一歩。
おとぎ話だと思われていた我が名も、西帝国周辺以外の土地にも広がったという事だ。
『魔王様の魔猫たる我の知名度もうなぎのぼり! 私の活躍は魔王様の活躍となり、魔王様を祀る者もでるだろう』
ぐふふふふ、と私は肉球で口元を抑え猫笑い。
『このままいけば! 勇者などという不逞な輩が再臨する頃には時すでに遅し。人間達の大多数は、我等魔族に付き従うのでは、にゃいだろうか!』
こういう形で恩を売っておくのは、何も彼らのためだけではないということだ。
くくく、くはははははは!
あ、声に出ちゃってたけど、まあいっか。
私の演説に、なんかよく分かんないけど、ドヤっててカワイイ! と、みんなで拍手をしてくれてるし。
すべて、けいかくどおり!
別にグルメ目当てなだけではない、崇高なる目論見が私にはあるという事だ!
『ぶにゃはははは! 我を讃えよ! 我を崇めよ! 我こそがケトス、グルメ魔獣ケトス! 大いなるグルメをもって、奉るのニャ!』
「妾にもパインジュースを持って参れ! 永遠なる死の皇子に仕えし、このコプティヌスの活躍も忘れるでないぞ!」
と、私の横でふんわりほっぺを紅くしてビシ!
なんか悪の女幹部みたいなポーズを取っているのは、人間としては既に上位の実力の持ち主。
今回の功労者の一人であるチンチクリン・シャーマン、コプティヌスくん。
彼女が電池にされていた人間達を治療していなかったら、犠牲者はもっといたのだろう。
だから、本当に彼女は大活躍なので。
『そうにゃ! そうにゃ! 我等を讃えよ、魔王様を讃えよ!』
「ついでに妾の神も崇め奉るのじゃ!」
にゃんこと、幼女。
二人で仁王立ちになり、なーっはっはっは!
そんなわけで。
ガイランの街では今、宴が行われていた。
長時間に渡る宴なので、時間はもはや分からない。
とにかく歌えや、飲めや!
食って、遊んで、ひとしきり騒げ!
これから本部がなくなった事とか、移民たちとか、拉致された人の保証とか。
そういう問題が色々やってくるけど、後回し!
――と。
昼夜を問わずの宴会が続いているのである。
まあ、真面目な話。
これからこの連盟は、死ぬほど大変な事後処理をしなくてはならないのだろうが。
その辺はアレだ、うん。
知らん。
冷たいように見えるかもしれないが――。
私、今回マジで関係ないし。
人間たち同士の問題だし。
魔族が過度に干渉するべき問題ではないと思うのだ。
まあ……一応、西帝国のピサロ君にはそれなりにフォローするように促しておくけど。それぐらいしかしてやれることがないのだ。
そもそも――本部の連中の暴走を止められなかったこの連盟の人々にも、多少の責任はあるからね。
本部の連中は、心無い女神リールラケーに誑かされていた。
とはいえ、その思想の根本は元からあったものなのだ。
人間電池で移動要塞を保っていた連中だからね……。
彼女は、その心の隙間に付け入っただけに過ぎないのである。
そんなわけで――過度な同情もできないという、ちょっと複雑な猫心なのだ。
だがしか~っし!
この地域を恐怖と混沌に陥れていた蟲人を駆逐したご褒美はちゃーんと貰わないと、このモフモフぽんぽんが許さない!
なので。
給仕のおねえちゃんが持ってきた、マタタビ酒のカップをぐいぐいぐい♪
ぷはーっと傾け、
『ぶにゃははははは! ぶにゃははははは! 愉快愉快、我に更なるマタタビ酒を差し出すのニャ!』
尻尾の先までモフ毛を膨らませて、ご満悦なのである。
給仕のお姉ちゃんが、私の頭を撫でたそうにしていたので。
頭をドヤっと差し出し。
『よろしい、モフモフナデナデする栄誉を汝に与えよう!』
「まあ、ケトス様ったら、ふふふ♪ じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら!」
ナーデナデナデ♪
それを見ていたコプティヌスくんも、なな! っと短距離転移魔術で飛んできて。
「あー! ずるいのじゃー! 妾もモフるのじゃ!」
『順番、順番! くはははははは! さすがは私! 皆から愛されし大魔帝、モテモテなのである!』
ドヤ顔をしながら、私は周囲の人間達をちらり。
彼らはいま、みな、一応の平穏を取り戻している。
移動要塞から解放された人間達と、それを受け入れる「まとも」なガイラン市民とで、これからの事を話し合うようであるが――そこはまあこの後での話。
さっきも言ったが。
さすがに魔族である私がそこに介入する気はない。
こうしてグルメを味わったのなら、それで後は勝手にどうぞ!
私はグルメ報酬を貰うための旅に出るのだ!
そうそう!
グルメ報酬といえばだ、少し説明が遅れたが。
今ここにいるのは、お酒をちびちびやっているレイヴァンお兄さんと、その横でクカークカー眠る私の新しい眷族となった蛇神達。
そして。
一人の音痴詩人。
デリーカこと人間に化けていた女神リールラケーの滅びを知り、魅了されていたとはいえ、かつてのラブラブな片割れを失い――複雑な貌でお酒をぐぐっとやっている貴族詩人ケントくん。
その心境は、まあ色々と混乱しているようである。
どうやらあの女神。
魅了していたとはいえ、彼とはまあ……それなりに楽しい時間を過ごしていたらしく、その思い出が、いまだに彼を蝕んでいるのだ。
私も少しその記憶を覗いてみたのだが――。
まあ……演技だとしても、幸せそうだったのだ。
リールラケーも、もしかしたらデリーカという仮の人間生活の中で、わずかな平穏を味わっていたのかもしれない。
野に咲く花を踏まないように歩いて、二人――笑っていた。
だからといって、同情はできないけどね。
本当なら、傷心のケントくんはしばらく一人にしてあげるべきなのかもしれないが……。
そうもできない事情がある。
それはとても大事なこと。
何よりも大切な――。
そう!
彼にはこの宴の後、私を連れて故郷に戻り!
グルメ報酬を提供するっていう大事な仕事があるからね!
逃がすわけにはいかないのである!
ちなみに他のメンバーは今、別の場所にいる。
ジャハル君は移動要塞ゴエティアで回収された違法な魔道具。
精霊族の命を使われた禁じられた道具を、元の精霊族に戻す儀式を行っている真っ最中。
やはり……。
まだ精霊族は人間の間で魔道具として取引されていたのだ。
そりゃ、民族や宗教が違うとはいえ――同族である人間を魔力電池として移動要塞のパーツに使っていたような本部の連中だ。
違法で外法であると知っていながらも、強力な効果を持つ精霊族の魔道具を扱うことに、躊躇などなかったのだろう。
魔術による探査に引っかからなかった理由は、単純。
生きた精霊族を使っていた外道な品だと察した幼女コプティヌス君が、本部の連中にぶちギレ反抗、コッソリと回収。
死の皇子を祀る神殿に隠し、奉納してあったのである。
そういや、あの子。
移動要塞でもムシカゴをすり抜けるのに精霊化してたしね。
既に、救助してあった精霊と、シャーマンとしての職業能力を活かし契約してあったのだろう。
まったく、末恐ろしい幼女である。
精霊たちの魂はコプティヌスくんの丁寧な祈祷と魔力により、消耗は軽微。問題なく、元の精霊族に戻してやることが出来るだろう。
ジャハル君に手を貸そうかと、私は提案したのだが――彼はそろそろ自分の力でも治せるだろうと、挑戦してみる事にしたようだ。
彼の妹、ラーハルくんに助けが必要なようなら連絡をくれとコッソリ言ってあったのだが――連絡がないという事は、順調に儀式も執り行われているのだと思う。
この件は、後に正式にエンドランドに説明を求めるらしいが――まあ、責任を負うべき相手はもういない。
彼らは全て、リールラケーの神殿で人身御供になったまま肉片となったか。
ローカスターとなり、私に滅ぼされたか。
ともあれ、ぜーんぶ、私の介入でいなくなっちゃったからね。
まあ、包んだ言い方をしないのであれば――私が全て、惨殺してしまったのだから。
今後、このようなことがないように――と戒めと牽制の意味を込めて書類に残しておくことは悪くないと私は思う。
いやあ、しかしギリギリセーフだったねこの街。
もし交流する前のガイランの街で、違法な精霊族の魔道具を発見していたら。
私。
その場で容赦なく壊滅させちゃってただろうし。
なにかと人間に甘いと言われてしまう私だが、そういう所は結構、しっかりしているからね。
魔族を甘く見られても困るというヤツである。
んでもって。今回の事件の功労者である大魔族二柱だが――。
彼らは少し離れた場所。
町一番のゴージャス宿屋と大いなる光を祀る教会で、それぞれロックウェル卿とホワイトハウルが持て成しを受けていて――先にたっぷりとご馳走を貰って、お腹をポンポン。
クケクケ、ぐははは!
既にお酒も入って、そうとう盛り上がっているらしい。
移動要塞に囚われていた人たちの数がそれなりに多くて、宴会の場所が別れてるんだよね。
……、
あいつら、酔って暴れてないといいけど……大丈夫だよね?
と――思慮深い私はちょっぴり心配しながらも、報酬として出されたグルメを堪能。丸ごと焼き林檎のキャラメルソース和えをガジガジガジ。
分厚い炎牛ステーキの鉄板の上にパイナップルを置いて、じゅじゅじゅじゅじゅー。
ふふふ。
やはり仕事の後のグルメは格別なのである!
◇
そんなこんなで。
グルメを頬張る私を横目に、強面ハンサムさんなレイヴァンお兄さんが酒のグラスを傾けながら、じぃぃぃぃい。
「しかし、おまえさん……帰ってきてから喰いっぱなしだな」
『まあ、それなりに魔力を消費したからね、補給も大事だろう?』
と、それっぽい言い訳をしたのだが。
お兄さんは、じとぉぉぉっとこちらをジロリ。
「いや、おまえ……食べなくても無尽蔵に魔力が湧き続けてるだろ……この世界、至る所におまえさんの力の源となる憎悪が溢れてやがるし……」
と、チクリ。
黒コショウの程よく効いた赤身が残る牛串を、むちゅむちゅ味わう私に鋭い指摘を送ってくるが――気にしない。
そんな。
私と魔王様の兄とのやりとりにきょとんとしているのは、コプティヌス君。
とてとてとて、と私に近づきスレンダーボディを抱き上げて。
『ぶにゃ!』
私のお手々を人形さんみたいに持ち上げ、ビシ!
レイヴァンお兄さんを、わざわざ私の肉球で指して言う。
「そういえば、この偉そうで少し顔の怖い男は誰なのじゃ? なにやらケトス様の関係者みたいじゃが……さきほどから、女性冒険者の尻を触ったり、若い冒険者を抱き寄せたり……なんというか、手癖が悪いぞ、こやつ」
「な! て、てめえこのガキ! 人聞きの悪い事を言ってるんじゃねえよ!」
悪事を暴露されて、レイヴァンお兄さんは酔った貌を尖らせ唸る。
対する幼女は、はぁ……とあからさまに軽蔑の目を送り。
「魔族であるそなたは知らんかもしれんが、許可なく、必要以上にベタベタ触るのはセクハラというのじゃ。宴の席だから、まあこれ以上は追及せんが――ほどほどにせよ。大の大人が、みっともないと思わんのか?」
と、わりと本気で窘めるような声を出している。
奥の方で。
さきほどお兄さんにセクハラをされていたお姉ちゃんが、うんうんと頷いている。
私をモフモフしていた給仕のお姉ちゃんも、口説かれていたらしく、じぃぃぃぃぃ……あたしだけじゃなかったんですねと睨んでいる。
なぜかケントくんも、お兄さんを呆れたように見て、はぁ……やっぱり、と肩を落としている。
皆の視線は、けっこう冷たい。
「だ、だって、仕方ねえだろ。こっちにきたのは百年ぶりなんだ。肉体的欲求が、こう、我が手を勝手に操りやがるというか、気が付くと若き生者の魂を求めて手が伸びているというか……なんつーか、アレだ。俺様、なんで幼女にこんなこと説明せにゃいかんのだ……」
「ならば、許可を取ってから触ればよかろう? 見たところおぬしも、この街を救った魔族の一人。妾よりも強き力を感じるでな。見栄えも、まあ不精ひげがちと気になるが悪くはない。お主ならば、セクハラなどという破廉恥な犯罪行為に手を染めずとも、声を掛ければ良いだけの話じゃろうて」
幼女、渾身の正論アタックである。
言い返せずに唇をわなわなさせている、情けない男を見て。
私は――!
『ぶにゃはははは! やーい、やーい! 幼女に正論で説教されてやんの! 起きたら魔王様にチクってやろ!』
コプティヌス君の腕の中で、口元を猫手で抑えておもいっきし笑ってやったのだ。
まあ実際。
このお兄さん……女癖がかなり悪そうなんだよね。
滞在期間が短いからいいけど、これ、長い間滞在してると絶対に男女トラブルを起こすタイプである。
「ケトスゥ、相手は人間だぞ? こっちは魔族。おまえさんはどっちの味方なんだよ……? 俺様が可哀そうだとは思わねえのか?」
『いや……魔族でも、そういうの本当にセクハラだから……。人間とか、魔族とか関係ないし……。冗談で済ませる今ならともかく、注意されても更にやりすぎてるなら、私、魔王軍最高幹部として見過ごせなくなるんだけど……』
更に追撃の私からの正論に。
翼をパタパタさせて、お兄さんはタバコをふぅ……。
「へいへい、俺様がわるぅ……ございました。ったく、なんでえなんでえ。みんなして俺様を虐めやがって」
ボヤいているわりに、たばこの煙は幼女や私に向かわないようにしている。煙を気にしているのだろう。この辺が、このツンデレお兄さんの本質なんだろうなあ。
仕方ない。
少し、フォローをしてやるか。
と、私は幼女の腕から影猫魔術でスルリと抜け出し。
影渡り。
お兄さんの座るテーブルの前に顕現して言ってやる。
『あのねえ、君も一応この辺りで崇拝されている冥府と奈落の王なんだろう? もうちょっとちゃんとしたところを見せないと、信者、減っちゃうよ?』
レイヴァンお兄さんも古き神々の一人。
大いなる光や輝きのように、信仰を糧とし力をつける側面もあるはずなのだ。
だから、指摘してあげたのだが。
ブゥゥゥウウウウウウゥゥゥゥウウウウウウウウ――ッ!
食事をしていた、全員がふき出し。
レイヴァンお兄さんは、はぁ!? っと口をあんぐり。
厨房に居たギルドマスタージャスミンがすっ飛んできて。
幼女シャーマンコプティヌスくんが、目を見開いて、なななななななな、と壊れた人形のように言葉を漏らし始めた。
「バ、バカ! てめぇ! ケトス! バラしやがって、つか! 俺様が死の世界の支配者だって、気付いていやがったのか!」
『そりゃ、死の皇子にまつわる魔導書を読んだからね。逸話を読み解けば君が死者たちを支配する王様だって分かるし、属性や性質を考えれば同一存在だって繋がるし。魔術師ならふつう、きづくだろう?』
どーしよ。
なんか、みんな宴なんて忘れてこっちを凝視してる。
『え、なに? この空気。もしかして言っちゃいけなかったの?』
愛らしい私は、こてりと首を横に倒す。
これじゃあ。
私が何か、空気が読めない駄猫みたいじゃん。
「いや、そりゃ……おまえさんは主神の家に図々しく上がり込んで昼寝したり、センベイを盗み食いしたり、どっかの皇帝の頭の上にいきなり顕現して、くははははは! ってドヤったり。おまえさん自身も主神クラスの神だから感覚が狂ってるのかもしれんが……素敵な色男魔族が実は、この辺り一帯で崇拝されていた冥界神でしたって、信者共にいきなり言ったらなあ? 普通はビビるだろうし……、その辺を考慮して全員の前では口にださんだろ……」
「なななな、なんと! 並々ならぬ魔力とセクハラとは思っておったが。で、では、おぬしこそが……っ、我等の神、永遠なりゅ死の皇子しゃま?」
一番の信徒。
祭司長たるコプティヌスくんにビシビシビシっと指でさされて。
レイヴァンお兄さんは眉間に濃い皺を刻んで、ワイルドハンサムのまま首筋をぽりぽり。
「まあ、そういうわけだな」
言って、死者の魂を纏って顕現し直し。
皇帝を想わせる仰々しい異装に身を包んで、再登場。
周囲の法則を塗り替えギルド食堂を、己が迷宮に変換。
死の祭壇と玉座の間を生み出し、何百という高位の死神たちを引き連れてドヤ!
生者全てを死の誘惑へと誑かすような、絶世の冷たい美貌を皮肉げにつり上げ。
魔兄レイヴァンは慇懃に礼をして見せる。
「初めまして、人間諸君。哀れにも、儚き一瞬の生にもがき苦しみ続ける者達よ。俺様こそが冥界神、奈落を治めし者。黒薔薇の貴公子レイヴァンだ。恐れ敬え、奉れよ?」
ちょっとだらしないオジサンが、ちゃんとした格好をすると雰囲気もだいぶ変わるもので。
元の造形がとても良かったのだろう。
そこには、天然の魅了効果を放つ美貌のおじ様がいて。
人間達の目は釘付け状態。
セクハラされて、ムッとしていたお姉ちゃんも手のひらをくるり。
うっとりとお兄さんの顔を見つめている。
……。
ま、人間モードの私の方がカッコウいいんだけどね。




