最後の晩餐 ~ネズミをぷくぷく太らせて~
滅びるか滅びないか、行方の分からぬこの街で。
人間が嫌いなんだろうと訊ねた私――大魔帝ケトスの鋭い質問に、魔王様の兄レイヴァンは黙り込んでしまった。
香り豊かな串焼き屋。
露店前での出来事である。
蝗害に関する事。すなわち――この男が百年周期で発生する飛蝗とどう絡んでいるのか。実際に事件が発生する前に、どうしても確かめておきたかったのだ。
私はよっと、肩を降り――魔法陣を展開。
軽やかに降りた肉球から、鮮やかな魔力波動が広がっていく。
『答えて貰うよ――なぜわざわざこんな世界にまでやってきて、好きでもない人間を救う理由を。そこには必ず理由がある筈だ。私は魔王軍最高幹部として、それを知っておく必要があると判断する』
だから逃がすわけにはいかない。
周囲を侵食していく私の結界を見ながら、男は言う。
「断定口調だな」
『もし人間が好きだったら――空にいる時、あんな顔はしていないだろうさ。それに今だってそうだ。私の闇で侵食され時の流れから外れていく人間の街並みを、そんなくだらない蟻の巣を見るような、つまらなそうな瞳で見たりはしないだろうからね』
私の魔力で満たされたこの街は、私が肉球一つ転がすだけで全ての命が除去される状態になっている。魂を肉球の上に並べているのだ。
それなのに――この男は、動じない。
人命にさして興味もないのだろう。
それはまるで。
少し前の私のような顔だったのかもしれない。
まあ、もっとも――私が魔力でこの街を包んだのはセーブポイントを作ったようなもの。
蝗害対策の一つ。
もし、死んでしまっても一定期間内なら無理なく蘇生できるようにしただけだ。
それを脅しの演出として使ってみただけである。
『わざわざ踏みつぶしたりする気はないが、わざわざ助けたりする気もない。歯向かってくるなら滅ぼし、助けを求めてくるならそれなりに手を差し伸べる。その辺りはロックウェル卿と価値観が似ていそうだね。そんなお兄さんがどうして、百年ごとに億単位の蟲を吸いにくるなんていう面倒な事をしていたのか――そりゃ気になるじゃないか』
てちてち、と肉球についた脂を舐めながら告げる私に。
お兄さんは嫌味っぽい口調で応じる。
「心を覗く魔眼――いや、見てはいねえか。その図々しい勘はそっくりだ。やっぱりおまえさんは弟の後継者だよ」
『誉め言葉と受け取っておくよ』
答えるまではこの結界を解かない。
この空間の時は、私の時属性の魔術で停止されている。
一生、このままということも可能なのだ。
大魔族としての覇気を放ちながら――男は不精髭を擦りながら呟く。
「人間が、嫌いか――か……。かつて弟も困った様に笑いながら、俺にそう訊ねた。心の奥底まで覗くようにな」
私ではなく過去の魔王様をみるように、魔兄の唇は語りだす。
「アイツには未来だけでなく、他の事さえ見えていた。今思えばわかる……全知全能の存在に近かったアイツには何でも見えていた、内心恐怖し、距離を置きたがっていた兄の心を覗くことさえ容易かったんだろうよ。今のおまえさんのようにな――それは読心術やそれに類するスキルの一種か?」
『さあ――どうだろうか。ただ、そうだね……。私は憎悪の魔性となったその時、その瞬間から、他人の心を読む能力に長け始めた。もしかしたらスキルなのかもしれないね』
この能力の真相は分からない。
けれど――。
私の猫口は魔術師としての口調で、自らの考えを整理するように動き続ける。
『心を察してしまう力――魔術、スキル、どう分類しようと勝手なのかもしれないが――……一度死した者が蘇った時……これは魔術や奇跡による蘇生も含まれるが、転生だって言ってしまえば蘇生と似た現象だろう――魂が蘇った時、特定条件を満たすと獲得する可能性のある特殊スキルなのではないだろうか――魔術師としての私はそう判断しているよ』
おそらくその条件は、かつて人間だった者が魔性となる事。
かつて人間だったモノが人間でなくなった時に、魂になんらかのイレギュラーが発生し――感情を爆発させた存在である魔性となった時にそれが形となって現れる。
一種の魔術現象なのではないだろうか。
私の他にも該当者を知っていた。かつて人の身でありながらも嘆きの魔性となり、不死者の女王種バンシークイーンとなったナタリーくん。
彼女も心を察してしまう、似た力を持っていたからだ。
人間から不死者への転身も、転生と言えなくもない。
共通点と言えばやはり、かつて人間だった者が魔性となった事なのだが――なにしろ魔性自体、数が少ないからね。
統計なんて取れないのである。
もしホワイトハウルやロックウェル卿が元人間の転生者だったら、もう少し、データも取れるのだが――あいつらの、そういう話をちゃんと聞いたことないからなあ……。
聞いても、なんとなく教えてくれなそうな気もするし。
そもそも魔王様も同じ能力を持っていたなら話が変わってくる。
あの方が魔性だなんて話も聞いたことないし、この説は違うのかもね。
まあ、私には何らかの理由でお隠しになられていただけで――何らかの魔性である可能性もゼロではないが……。
ともあれ。
魔術的思考から戻ってきた私に、レイヴァンお兄さんは言う。
「もういいのか? 魔術についての好奇心こそが魔術師の本懐、思考の海の中で泳いでいたんだろ?」
『それも魔王様と似ていると言いたいのかな』
そう、魔王様もいつもそうだった。
魔術を追求するその姿勢は……実直だった。
「ああ――怖いほど似ているよ。そこまでアイツと同じだったとは、運命の悪戯か――それとも、似たような転生者だからこそアイツはお前を救ったのか。実際の所はどうなんだろうな。なあ……ケトスよ。お前さんはどう思う」
それは私に問いかけた風にも思えたが。
実際には自問自答なようなモノだった。
だから――私は何も口を挟まなかった。
しばらく、停止した街並みをただ静かに眺めていた。
人間達の日常を過ごす穏やかな声を想像し……モフ耳を揺らしていたのだ。
やがて、魔王様の兄は言った。
「聞きたいことがある。真剣な話だ」
『なんだい、真面目な貌をしちゃって』
「弟はかつて人間だった。転生する前はな――だから、確認したい」
ようするに。
おまえさんも人間だったのか――と、訊ねるつもりなのだろう。
私はそれには正直に答えようと思っていた。
兄が人間嫌いだと知っていながら、魔王様はどんな顔をして……かつて人間だったと告げたのだろう。
困ったように言ったのだろうか。
それとも淡々と告げたのだろうか。
はたまた詫びるような声で言ったのか――私はそれを知りたい。
だから。
お兄さんの問いかけを待った。
そして――魔王様の兄は口を開いた。
「おまえ――前世はどんな豚猫だったんだ?」
……???
……?
……。
……は?
えーと……は?
「あー、すまん……。ネコとも限らねえなら……それとも豚、そのものだったとか……か?」
申し訳なさそうな貌をしたお兄さんの追撃に。
うにゃぁぁぁっぁっぁあああああああああああああぁぁぁっぁ!?
私のモフ毛が逆立ち荒ぶり。
おヒゲも怒り立つ尻尾もバッサァァァァァァッァア!
『なんで豚なんだい! 私もちゃんとは覚えていないけど、アンネおばちゃんの店で人型になった時の姿をした人間だよ!』
「はぁ? 人間!? それ、マジか!? 俺はてっきり……前世も好き勝手にあばれていた大食いの獣か家畜なのかと……」
その貌は。
からかいとかそういうんじゃなくて。
ガチで。
私の前世を。
そういうブタさん的な大食い家畜だとおもっていたようで――。
ものすっごい、申し訳なさそうな顔をしているのだが。
「いや、その――なんだ。悪気があったわけじゃなかったんだが。元人間だったとしたら、あまりにも駄猫が過ぎるというか……やってることが暴食ブタ猫というか――おい、なんだ、その魔力は……なあ、人の話、聞けって!?」
ぶち。
『我、地獄の業火を体現せし者――深淵より睨みし憎悪の獣』
停止した時の中で、荒ぶる十重の魔法陣が指数関数的に膨れ上がっていく。
ズゴ、ズゴゴゴゴゴ!
『天に遍く星々よぉぉおおおおおお――』
「って、おい!? マジでブチ切れて、天体召喚魔術を唱えようとするのはやめろ! 今回はこっちが悪かったから、謝るから、な!?」
うっさい、問答無用じゃ!?
「俺、これでも一応魔王の兄だぞ! 魔王が寝ている間にブチ切れて兄を消滅させたってなったら、まずいんじゃねえか!? ここにはあのジャハルってねーちゃんもいるんだぞ? おまえさんの大事な部下だろうが、な? おちつけえ、いいこだから。まあ、ケトスちゃんはなんてイイ子で優しい天才ニャンコなんでしょうね~」
伸びてきた手が私の頭をナーデナデナデ。
なんとか暴走を治めようと、ナーデナデナデ!
『は……っ!? た、たしかに……!』
うにゃにゃ!
あー、あっぶねえ……。
いかんいかん。
ほんとうにぶっぱなすところだった。
むろん。
しばらく私の憤怒は治まりそうもなく。
話を再開したのは――。
しばらく、経ってからだった。
◇
とりあえず、私が豚猫の転生者だと勘違いしていたお詫びとばかりに。
お兄さんが質問――。
なぜ蝗害を退け……人間を助ける事になる行為を定期的に行っているのか――答える事となったのだが。
私、豚猫じゃないし。
暴走駄猫でもないし。
ツチノコのように膨らんだ尻尾が、ベンベンベンと地面を抉り叩いてしまうのである。
荒ぶる猫を鎮めた魔王様の兄レイヴァンおにいさんは、頬を掻きながら言う。
「本当は語っちゃまずいんだけど、やっぱ言わなきゃダメか?」
『まあ嫌って言うのなら――私、本気になったらどんな相手だとしても耐性を貫通、心の奥まで覗くこともできるからね。言いたくない部分まで勝手に見ちゃうけど、それはあまりしたくない。私が魔王様の兄上に無礼な魔眼を使う前に、話してくれると助かるんだけど?』
観念したように、はぁ……と重いため息をつき――頭をガシガシ。
レイヴァンお兄さんは、ぽそりと言葉を口にする。
「これもアイツに頼まれたんだよ」
その瞳は遠くを眺めている。
彼の瞳には何が見えているのだろうか、それは私には分からなかった。
けれど、きっと。
魔王様の顔が浮かんでいるのだと思う。
『アイツって、魔王様だよね?』
「そうだよ。頼めばなんだって受けると勝手に決めつけやがって……醜く争い続ける人間なんてどうでもいいだろうに。こんな糞面倒な事を俺様一人に頼む奴なんて、アイツ以外にいねえっての」
頬をポリポリと掻きながら、レイヴァンお兄さんは言う。
「アイツ、魔王のくせに人間に関してもそれなりに気にしていてな。昔っからそうだったんだよ。人間が絶滅しないように、こっそりと手を差し伸べて……果てには人間に必要以上の力を与えてはならないって言いつけを破って……よりにもよって最強の力――魔術を人間に伝授しやがった。魔術を生み出したのは自分なのだから、禁じられる謂れはないってな。ありえねえだろう……当然、それが原因で楽園を追放されたんだけどな」
楽園とは、かつて魔王様が住んでいた世界の事だろうか。
古き神々が住まう楽園……か。
いまこの世界に住まう人間や魔族とは異なる、上位存在の棲む地、ということだろうか。
たぶん、聞いても教えてはくれないんだろうな。
大いなる光や、聖書から顕現した聖騎士猫たちなら何か知ってるだろうし。
今度、勝手に調べよ。
ともあれ。
過去を懐かしむお兄さんの瞳は、穏やかだった。
この時。
私の猫センサーにビビっとした直感が走った。
ほほぅ……なーるほどね!
『ねえ、もしかしてレイヴァンお兄さんって――魔王様の事、めちゃくちゃ好きなんじゃない? いわゆる、ブラコン?』
「はぁ!? な、な、なにいってやがるんだよ!」
鋭い指摘に、レイヴァンお兄さんは顔を真っ赤に染めてしまう。
えぇ……、わかりやすっ。
『いや、だって。猫である私は兄弟についてあんまり詳しくないけど、ふつう、こんな面倒な事まで頼まれてちゃんとやり通すもんなのかい?』
「そーいう……話は、なんつーか……、と、とにかく! 今はいいだろうが! 言っておくが、今年の群れに関しては俺様は一切、干渉しねえから。てめえらの世界でなんとかしやがれよ!」
そうはいっているが。じゃあなんで、ついてきたのかって言ったら……ねえ?
素直になれないタイプなのだろう。
まあ。
変に突っ込んで――へそを曲げられて手伝わないって言われても困るから、矛先を逸らそう。
『おや、こんなにかわいいニャンコが困っているというのに――お兄さんは助けてくれないのかい?』
「そんなに強いんなら、自分でどうにでもできるだろうが!」
『生憎と、私は破壊の魔術の制御が苦手でね――私があの群れを葬ろうとすると一緒に世界の半分が、壊れる』
「そーいう、冗談は笑えねえって……いいてえところだが」
私は、くはははははと大魔帝笑い。
『ご想像の通り、マジだったりするんだよねえ、これが』
「ちょっと待て――いま、本気出して俺様が手伝わなかった場合の未来を読むから――……」
言って。
星座を映すホロスコープに似た魔法陣を空に展開し始めるお兄さん。
かつての世界で一般的に使われていた星占い……黄道十二星座ではなく、無数に存在する世界を星に置き換え行う異世界占星術である。
異界の位置や、魔力の流れで運気を読み解き。
未来の流れを掴む、未来予知スキルの一種である。
ちなみに、このホロスコープ魔法陣を展開できる魔導士なら、人間世界の王宮でお抱え占い師としてそれなりの地位につくことが出来るだろう。
むろん、魔王様の魔術なのでこれも私には使える。
もし、魔王様が目覚めたらあの方と一緒に魔王軍を退役、二人でのんびり占い屋さんになるのもいいよね~♪
待ち時間を有効利用しようとする賢い私は、購入した牛串を口ではさんで――ぎゅぅぅぅぅぅ。
お塩と黒コショウが塗された肉を引き抜き、パクリ!
むっちゅむっちゅ。
おぉ! 炎牛と呼ばれる火山付近に住む野牛がいるとは聞いていたが。
結構おいしいじゃないか!
無駄な脂がついていなくて、内腿の部分のお肉なんて特に食べやすい!
脂の少なさが功を奏して、焼くとカリカリになるんだろうね。
いちいち私に突っ込むことの無駄を察したのか。
お兄さんは何も言わず、魔導ホロスコープをむずかしい貌で回して――。
ビシっと固まる。
結果が見えたのだろう。
べっちゃべっちゃとステーキ串を味わう私に目をやり、翼をパタパタ。
はぁ……と重い息を吐き。
ようやくお兄さんは唇を薄く動かした。
「てめえ、マジでこのまま放置すると半分滅ぼしやがるな……」
『ね!? 言っただろう? だからお兄さんが手伝ってくれないと困るんだよ』
にんまりと笑い――。
会心のドヤァァァァァァア!
「威張ってるんじゃねえよ! なんでそんなに偉そうなんだよ!? ふつう、もっとしおらしく手伝ってくださいって頭を下げるだろうが!」
『えぇ……お兄さん。かわいいネコちゃん相手にマジにならないでよ。大丈夫? 私、ネコだよ? かわいいネコちゃんなら、全てが許されるって、魔王様も言ってたし』
ぶにゃんと可愛く首を傾げる私のモフ耳を――、
「うがぁぁぁぁああああぁぁぁ! やっぱりアイツのデレデレ甘々教育方針のたまものじゃねえか!」
お兄さんの絶叫が揺らす。
構わず私は――存在構造を把握した牛串に魔術を掛け、無数に分裂。
量産された牛串を、お兄さんの翼の裏にワッシャワッシャと投げ込んで、パンパンと肉球で合図。
『おーい、君達! 差し入れだよ~!』
翼亜空間に棲んでいる飛蝗たちと、黄金ネズミ! にエサをやりながら言う。
『ほーら、私は安全なニャンコだね~。飛蝗くんも信用してね~。ネズミさんはどんどん食べて太ろうね~!』
「分裂の魔術って……また常識外れで実現不可能な筈の禁術を……ってか! 人の亜空間に勝手に接続して餌付けするんじゃねえよ!」
お兄さん、わりとオーバーアクションだよね。
構わず私は飛蝗の群れを見ながら、ネコ眉を顰める。
『そもそも、百年周期で湧くこいつらって、なんなんだい? ロックウェル卿は亡霊みたいなことを言っていたけど』
「ん? なんで知らねえんだ?」
レイヴァンお兄さんが、困惑したように眉間の皺をギギギと尖らせる。
『なんでって……私達が人間界と深く関わり合うようになったのは、つい最近からだし』
「いや、そういう意味じゃなくて。弟……魔王から、聞いてねえのか?」
その言葉を漏らす途中に、もはや答えは分かっていたのだろう。
私ももちろん分かっていた。
『うん。まったく。たぶん――魔王様、言い忘れていたんじゃないかな?』
「うがぁぁぁあああああああぁっぁあっぁぁ! あのバカ弟がぁぁぁぁっぁぁあああ! 人間どもにも魔族にも、ちゃんと伝えて準備させておけって、散々言っておいただろうにぃぃいいい!」
目を剥いて、歯茎を剥き出しにグヌヌヌヌ。
翼をバサササササササ!
苛立ったように地団太を踏んでいるが――、どうやら魔王様。
けっこう大事なことを伝え忘れていたご様子。
そういや、黒薔薇の貴公子とかいう微妙な……いや、一風変わった名が伝わってないとか言っていたけど……それと、ちょっと関係あるのかな?
まあ。
魔王様……。
あの御方はあまりにも大いなる存在過ぎて、全てが矮小で些末な事に見えていたのだろう。
大事な事すらすっかり忘れて、あははは、すまんすまんと笑って誤魔化してしまう事とか――、も。
うん……。
けっこう、あったしなあ……。
とりあえず、お兄さんを揶揄うか、慰めるか。
どうしようかと頭を悩ませていた。
その時。
世界が――揺れた。
ゴゴゴゴゥゥゥッゥウウウゥゥゥッゥゥゥゥ――ッ!
「な、なんだなんだ――ッ!」
『これは九重の魔法陣による、ジャハル君の攻撃だね――』
ジャハル君の放つ、煉獄火炎の魔力が――停止していた時の中で発動していたのだ。
場所は――北区画。
それなりに本気の攻撃である。
ジャハル君の魔力を確認すると――。
生命反応もあるし、正常だ。僅かに動揺はしているが、危機に陥ってる様子はない。
無事なのは確かなのだが――こうしてはいられない!
なにかトラブルが起こったのは確実なのだ。
できる上司は即行動!
私とお兄さんは目を合わせて頷き、転移魔法陣を展開した――!




