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悪役令嬢にざまぁされたくない令嬢の婚約者は、笑みを浮かべる〜レフィトside〜②


 カミレの着替えなどをするために家に寄り、その後、カミレを送り届けた。

 馬車で家に帰りながら、ネイエ嬢からの情報を頭の中で思い浮かべる。

 

 やはりネイエ嬢は、令嬢たちの情報入手が早い。オレでは時間がかかるので、その点は、手を組めてラッキーだった。

 予想よりも少し早いけど、アザレア嬢がカミレと親しくなったことで、マリアン側の令嬢たちの内部分裂がはじまっているらしい。

 皆、アザレア嬢のことを心のどこかで下に見つつも、裏表のない彼女のことは信頼していたみたいだねぇ。

 

「まぁ、あれだけマリアン嬢一筋だったのに、急にカミレに懐けば、マリアン嬢との間に何かあったと思うよねぇ」

 

 ここで、ネイエ嬢がカミレ側についたとしたら、勢力図はどうなるのか……。

 考えなくても、分かるよねぇ。 


 噂の方も、予定を早めて、次の段階に入る。

 カミレがお茶会に呼ばれた時、マリアン嬢があえて何も教えなかったと噂を流すのだ。

 これは、事実だから、カミレの前で話した時も何も言われなかった。オレが噂を脚色したりしたら、カミレが気にするので、噂を操作する時に尾ビレや背ビレをつけてやればいい。


 マリアン嬢が、カミレに恥をかかせて、笑いものにするために、何も教えなかった。

 公平であるべきと謳うのに、ドレスを買う資金のないカミレに、何の配慮もなくお茶会に呼んだ。

 事実確認もせず、盗みの犯人だと断言して、身分の低いカミレを貶めた。


 あれぇ? 全部、事実だねぇ。

 脚色する必要もないとか、あいつら馬鹿すぎじゃない?

 これじゃあ、反論のしようもないよなぁ。

 真実を言うだけって、ちょっとつまらない。でも、あまりやり過ぎると真実味が薄れるし、仕方がないかぁ。

 少しずつが理想だからさぁ。


 少しずつ、少しずつ、あいつらの信用をなくしていくんだぁ。真綿で首を絞めるかのように。


 信じていたものが一度疑わしくなれば、こちらへと転がる者も多い。

 もともと良く思っていなかったけど、家格のせいでマリアン嬢のそばについていた令嬢も、ネイエ嬢がこちらにいると分かれば、動きやすくもなる。

 噂一つで、地獄に落とせるなんて思ってない。でも、確実にこちらの層を厚くすることはできる。

 

 もちろん、噂だけで済ます気なんてないけどねぇ。

 でも、現段階でできるのはそこまでかなぁ。カミレが望んでないしねぇ。


 カミレへの噂がおさまって、自身の立場が傾き始めたら、必ずマリアン嬢(あの女)は動く。その時、標的になるのは果たしてカミレだけだろうか。

 自身を裏切ったアザレア嬢を、あの女は許さないだろう。

 マリアン嬢がアザレア嬢を攻撃した時が、本当の反撃の開始となるだろうなぁ。

 カミレは優しいから、自分のことは気にしないのに、人のことは気にするから。


 オレが気付いていて止めなかったと知れば、怒るかもねぇ。

 まぁ、気付かせないから関係ないけど。

 カミレを守るためなら、多少の犠牲は仕方がないよねぇ。

 だって、世の中はカミレとその他なんだからさぁ。



 そうなってくると、問題は男側かぁ。王子はもちろんだけど、あいつ等はそれぞれ影響力が大きい。

 オレの影響力が届くのって、騎士団に関わる家くらいなんだよねぇ。

 あと、街ではオレの方が人気なことくらいかぁ。騎士団員として、街中を見回ることもあるから、自然と人気は出るんだよねぇ。親父も無愛想なのに、民からの支持は厚いし。

 騎士団には、平民出身の奴もいるから、そこも関係してるのかもなぁ。弱肉強食。強さこそ正義!! みたいな、独特なところだし。

 とは言っても、強すぎると、気味悪がられるけどねぇ。


 あいつ等の勢力を削るなら、手段は三つ。

 あいつ等の家自体を潰しに行くか、王子を潰すか、それぞれを潰すかだ。


 家自体を潰すのは、できないこともない。それぞれの家が、真っ白なんてことはないから。けれど、それをすると国王(おっさん)がうるさい。

 自分のやらかしたことの後始末はつけろと、面倒ごとばかりが増えていく未来が見える。


 それに比べて、王子を潰すのは簡単だ。

 罠を張るのが一番楽だけど、それだとおっさんがうるさいかもなぁ。

 時間は少しかかるけど、王子を潰すなら、第二王子のリカルドが王位継承するように仕向けていくのが一番かな。

 ネイエ嬢も動くとなれば、リカルドに王位継承させることへの難易度は下がる。

 問題は、リカルドの婚約者かなぁ。婚約者は伯爵令嬢だから、家の力が弱い。それに、評判も悪い。

 婚約破棄自体は、相手の素行の悪さもあるから簡単に済むとして、代わりがいないんだよねぇ。

 …………あれ? いるじゃーん。

 たしか、子どもの頃に宰相になりたかったと話してたよねぇ。宰相は無理でも、王妃になって国政に関わればいい。

 デフュームと不仲なんだし、婚約相手がリカルドに代わっても、本人としては問題ないんじゃないかなぁ。


 なんで、こんなに簡単なことに気が付かなかったかなぁ。

 ネイエ嬢と、よーく話さないとだねぇ。


 攻め返されることなどないと信じている奴等が、じわりじわりと勢力図を変えられてると知ったら、どうなるんだろうねぇ。

 面白くなってきたなぁ。

 でも、その前に剣術の模擬戦がもうすぐある。ボコボコにしてあげないとだぁ。

 楽しみだなぁ。

次話からカミレsideに戻ります。

久々にわんこでもヤンデレでもなく、かっこいいレフィトの登場です。

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― 新着の感想 ―
カミレの知らないところでどんどん詰んでいく! レフィトの本性をカミレが知る日は……来ない気がするっ! なるほど、ネイエさんが王妃! ……うん、それは逆らってはいけない人になりそうです。 また読み…
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