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【完結&書籍化】スキル『市場』で異世界から繋がったのは地球のブラックマーケットでした  作者: 石和¥
6:灼熱のソルベシア

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252/422

252(閑話):福音のえーまんでーむず

カットするはずだった調整回。ちょっとストックないのでインサートします。

 おうじは、いっちゃった。

 フェルと、エアルと、まおーへいかと、おくさんと、いっしょに。パーッて、ひかりのなかに、きえた。

 かならず、かえってくるって、やくそく、したけど。フェルも、エアルも、みんなで、もどるって、いってたけど。

 でもホントは、そうじゃないって、わかった。だれも、テニアンの、めを、みないから。

 だから、ホントは、しんじゃうかもって。かえって、こないかもって、わかった。

 いかないでって、いったら。ここにいてって、ないたら、のこって、くれたのかな。

 でも、それは、わがまま。


「テニアンは、お姉さんだから、ここにいて、皆を守ってくれないか」


 おうじに、いわれたから。

 だから、ここにいる。みんなを、まもる。


「力のない王子で、すまない。でも、テニアンにしか頼めない」

「……はい、おうじ。テニアンは、みんなを、まもります」


 あたまを、なでる、おうじの、ては、ふるえてて。

 おうじも、こわいんだって、わかったから。

 だから、わがままは、いわない。

 おねえさん、だから。


「わふ?」


 モフは、だいじょぶだって、てを、なめる。ぜったい、だいじょぶだって、はなで、つつく。

 モフは、すごい。なんでも、わかる。なんでも、できる。だから、モフが、だいじょぶだって、いうなら……


「だいじょぶ、だよね?」

「わふ」


 なんかいも、なんかいも、テニアンは、モフに、きいて。なんかいも、なんかいも、モフは、だいじょぶって、こたえる。

 ちいさい、みんなが、ないてる。だから、テニアンは、わらう。おねえさん、だから。


「だいじょぶだよ、みんな。おうじたちが、もどるまで、ちょっとだけ、がまんね!」


 テニアンは、ごはんを、つくる。

 まおーへいかが、くれた、いろんな、ごはん。

 あったかく、したら、すごく、おいしい。

 しんぼくに、まりょくを、ささげて、みずを、もらう。おなべに、みずを、いれて、ひに、かける。


「みんな、ごはん、たべようね」


 おなか、へってると、よくない。あったかく、しないと、よくない。みず、のまないと、よくない。ねむらないと、よくない。


 よくないと、しぬ。


 テニアンも、しぬ、はずだった。おなか、へって、のど、かわいて。さむくて、ねむれなくて。

 しんだ、みんなを、やいた、けむり。けむいし、くさい。テニアンも、あんな、くさい、なにかに、なるんだ。

 そう、おもってた。


「さあ、口を開けよ。これを食うのじゃ。すぐ飯ができるでのう。ほれ、水もある。起きられるか? ちょっと待っておれ、毛布を持ってくる」


 たすけてくれたのは、まおー。

 まおーと、まおーの、おくさん。

 テニアンの、おとーさんと、おかーさんと、おねーちゃんと、おにーちゃんと、おじーちゃんを、ころしたのも、まおー。

 いい、まおーと、わるい、まおーが、いるの?

 テニアンには、わからない。

 でも、まおーが、くれた。あまい、あまい、きれいな、たま。

 あかくて、あおくて、きいろくて、いろんないろの、きれいな、たま。

 それは、くちで、とけて。からだに、ちからが、わいてきた。あまくて、ちょっと、にがくて。

 きっと、そらに、いった、おかーさん、たちが、くれたんだって、おもった。


「死んだ者たちは天に昇る。天空の楽園には、痛みも苦しみもない。寒さも暑さも、飢えも争いもない。熟れた芳醇な果実と、甘く清んだ純露を口にして、幸せに笑いながら永遠に楽しく暮らす」


 しさいさまの、ことば、テニアンには、よく、わからないけど。

 しんだら、あまい、おいしいものが、たべられるんだって、テニアンは、しってた。


「……あまい」

「そうじゃろう。それは甘いし、すぐに力が出るのじゃ。おぬしらも、すぐ元気になるぞ」


 まおーの、おくさん。わらって、ないてる。テニアン、しぬの?

 でも、あまくて、からだが、あったかくなって。おなべの、いい、においで、おなかが、すいて。


「しぬの、いや」

「ああ、おぬしらは死なん。わらわたちが、絶対に死なせん。だからのう、手を貸してくれんか。必ず、生きてて良かったと思わせてやる。だから、もう少しだけ、生きたいと思って欲しいのじゃ。頼む」


 おくさん。あたまを、さげた。テニアン、まぞく、なのに。ころしても、いい、“れっとーしゅ”、なのに。


「ほれ、もう少し食え。水も飲むのじゃ。飯は、もうすぐできる。毛布を被って待っておれ。眠るのは後にせい、良いな?」


 あまい、たま。いっぱい、くれた。


「これ、なに?」

「ああ……なんといったかのう。なんぞ呪文のような名前だったが……」


 おくさん、こまって、テニアンに、わらう。


「そうじゃ、“えーまんでーむず”じゃ」


 むずかしい、なまえ。

 でも、おぼえた。しぬはずの、テニアンを、たすけてくれた、あじ。


「……えーまん、でーむず」


 いきてて、いいんだって、おしえてくれた。まおーへーかと、おくさんと、えーまんでーむず。


 だから。


「みんな、ごはん、たべたら、あまいの、たべようね。ないてるこは、おあずけだよ」


 テニアンは、がんばる。みんなを、まもる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 必要ないかもだけど: えむあんどえむず→えーまんでーむず かと。
[良い点] 読者諸氏のコメントで作品内容の謎が解ける点。 助かります(笑)
[気になる点] えーまんでーむず……元の名前なんだろ? [一言] もしかしてemaのど飴??
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