その瞬間とそれを見た人たちの反応集
やはり、ここまでは書かないとだめだろうという事で。
もちろん『ルパン三世カリオストロの城』のオマージュである。
なお、『水曜どうでしょう』風味。四国八十八か所は愛媛に住んでいた事もあって大好きである。
『私は桂華院公爵家の一女、瑠奈です!
フランス政府のお招きにあずかりまかり越しました、ルーブル美術館への入館許可をいただきたい!!』
「おい……お嬢様がパパラッチを引き連れて堂々とルーブル美術館に入っていたが……」
「お前が言い出した事だろうが!
『公爵令嬢』が『ルーブル美術館』に行く事が大事だって!!
お望みどおり入ったじゃねーか!!
あとはそっちでなんとかしろ!!!」
「だからといって、暴動を歌声で鎮圧してパパラッチを引き連れて入ったら全部の仕掛けがばれるだろーが!!!」
「それこそ自業自得……待て。もしもし?
副大統領閣下!!
……はい。……はい。……それで……」
「……辞表受理してくれれば御の字なんだけどなぁ……」
『そうなんだ。私はここでイースターエッグを手にする事になるはずだったのね?』
『ええ。テロリストが侵入してイースターエッグを爆破……』
『まぁ、怖い。こんな話秘密にしておかないとね♪』
「そうだ。
私はついさきほど選挙に勝ってまた四年この椅子に座る事になる。
で、だ。
我々の勝利の女神に対して、いろいろと仕掛けをしていた連中についてはこの後のインテリジェンス・コミュニティーの議題となるだろう。
彼女は少なくとも『悪さを企んだ本体にダイレクトアタックしたい』らしい。
彼女からすれば当然の報復だし、私としても勝利の女神を勝手に生贄に捧げるやり方は好きではない。
たとえ、それが我々合衆国の国益にかなうとしてもだ。
少なくとも彼女が納得する生贄の羊は用意したまえ。
何でも彼女はやらかしたDGSEを買収して保護するとまで言っているそうじゃないか。
その資金は我々が出して、彼らにはグリーンランドあたりでバカンスを楽しんでもらうとしよう。
欧州とも協議をする事になるが……続きは後で話す。
……やぁ。大統領。
また四年間よろしく頼むよ。
ちょうど、今、例の件について話をして……」
『イースターエッグでそのロマノフの財宝とムーンライトファンドが一体化した後で私が死んだら、一体化した財産をワシントン原則で搔っ攫うつもりだったのかー』
『はい。それでテロリストに支援者が……』
「……ああ。
パパラッチを連れて一部始終見せるつもりらしい。
我々としても欧州において独自路線を取る事が多いフランス政府に貸しができた訳で。
ウクライナの件も本来は許すつもりはないが、チャンスは与えてあげよう。ファルージャに対する作戦についてはそれを踏まえて……全力を尽くしたまえ。以上だ。
……まるでハリウッド映画じゃないか。
悪役になるのはごめんだが、こんな役回りなら悪くはないかな」
『で、ロマノフの財宝なんだけど、イースターエッグがテロリストと共にぶっ飛んだと。
これじゃあ、私ロマノフの財宝もらえない訳よね?』
「分かっていると思いますが、こちらはムーンライトファンドを管理しており、お嬢様の全権委任を受けている身です。
その上で今回の事情を説明していただきたい」
「もちろんです。ミスター一条。
もともと、プライベートバンクの高配当はヘッジファンドに出資する事でリターンを生み出していました。その中でブラックマンデーやバブル崩壊、ITバブル崩壊時でも年利10%の高配当ファンドに我が銀行はかなりの投資をしていたのでございます」
「で、その高配当ファンドが大穴を開けたので、お嬢様を亡き者にしてその穴埋めを企んだと?」
「滅相もございません!
我がプライベートバンクは歴史も古く、バンカーが個人資産を含めて責任を負う無限責任でそれを撤回した事はございません!!」
「では、ここにあるだろうロマノフの財宝。ロマノフ家の亡命用資金口座を急遽偽造イースターエッグで開けようとした理由をお教えいただきたい」
「イースターエッグについて我々は関与しておりません。
ですが、かのファンドが大規模損失を被った際に、その穴埋めを指南したブローカーたちが居ました」
「欧州の魔女たちですね。資金源は王立エディンバラ商業銀行と欧州セデル銀行。
多分この2行はファンドの損失を知っていましたね?
高配当がポンジスキームだなんて、しかも米国証券業協会元会長がやっていたとか最初信じられませんでしたよ……」
「損失額は数百億ドルにのぼるとか……おそらく、ヴェネツィアでの利益も焼け石に水でしょう」
「それについては納得はしませんが理解はしましょう。
で、その損失でこちらのプライベートバンクはどれぐらいの損失を計上するおつもりで?」
「……破綻はしませんし、させません」
「その言葉を信用できるとお思いで?
引き出しについての手続きをお願いします」
「お待ちを。
当プライベートバンクの損失はおよそ10億ドル程度と想定しております」
「それで、引き出しを止めると思われるのでしたら、残念ですね」
「王立エディンバラ商業銀行と欧州セデル銀行は甚大な危機に見舞われるでしょう。
その救済の仕掛けについてお役に立てればと」
「……ロンドンのディーラーについても情報と報復を。
極東の田舎者と舐めた事をする連中には一撃食らわせないと気が済みません」
「でしたら、欧州の魔女たちのディーラーたちの魔法の泉をお教えしましょう。
彼らはLIBORにて……」
『まぁ、たいへん。
わたくし、ルーブルびじゅつかんにごしょうたいされてけんがくしていたら、どんでもないものをみつけてしまいましたわ。どうしましょう?』
「あはははははははははは……棒読みじゃないですか!お嬢様!!
わざとらしくやっちゃってぇ……」
「モスクワ支店からです。ロシア政府はロマノフ家の財宝について返還請求をスイスのプライベートバンクに対して行うと……」
「溺れる者はなんとやらね。アニーシャ。
賭けてもいいけど、多分口座の中の資金はそんなに残っていないわよ」
「何でです?アンジェラ?
ミスター岡崎もいつまでも笑ってないで、話に加わってくださいよ!」
「多分めぼしい物は換金がしにくい美術品や宝石ぐらいで、現金はこの一世紀のインフレに対応しきれていないんだろうよ。そうでなかったら、うちのムーンライトファンドをくっつけて狙う必要なんてないからな」
「ミスター岡崎の言う通りね。
中にある宝石や美術品は素晴らしいものでしょうけど、分かっている金融記録だと、おそらくインフレに耐え切れない金額なのは確かよ」
「どうします?
ノルドストリーム?
仕掛けますか?」
「ウクライナ大統領選挙までは静観だ。
多分、この茶番劇のエンディングはそこだよ。
それに、まだロンドンもあるしな」
『とてもよい美術館見学でしたわ。
では。Au revoir』
ニコライ2世は史上最高の金持ちの一人?:現代の大資産家と比べてみると - ロシア・ビヨンド https://jp.rbth.com/history/80603-nikorai-2-sei-wa-shijyou-saikou-no-kanemochi-no-hitori
という訳でネタ元公開。
『クレオパトラD.C.』(新谷かおる バーガーSCコミックス)『ダーク・クロイツェル』




