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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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お嬢様の修学旅行 中等部 二日目 その2

 さて、トレビの泉に向かう私たちだが、既によろしくないローマの歓迎を受けていたりする。

 パパラッチより厄介な犯罪の方である。


「物乞いが5件。ひったくり未遂1件。スリが2件……」

「そりゃあ移動もバスになるわよねー」


 報告に頭を抱えるイリーナ・ベロソヴァを私が慰める。

 ローマには地下鉄も走っているのだが、この手の連中の排除が無理なので諦めた経緯がある。

 その結果として渋滞に巻き込まれて、バスがパパラッチに囲まれてカーテンを閉める羽目に。なお、警備に出ていた地元警察にも問題が発覚し、その手の連中と繋がっている警官が捕まえて即釈放しようとしてこちら側の警備が大激怒という笑えない笑い話まで聞こえてくる始末。

 なお、この渋滞もパパラッチ側が金で地元警察を買収しているとかで、英語の罵声がイリーナの耳のイヤホンから漏れてきていたり。


「パパラッチ側がここまで強気なのは、イタリア政府の非公式な支援があるからなんです」


 イリーナが思わずぼやき納得する私。

 現イタリア政権はメディア王と呼ばれる元実業家が首相になっており、パパラッチの写真の売り先がその首相が持っているメディア会社な訳で。

 これがただの日本人観光客なら泣き寝入りの所だが、大激怒しているのが押しかけ警備にやってきている某米国のその手の筋だから、地元警察大激怒。

 大きな組織あるあるだが、イタリア政府越えのEUと米国の現場介入は、日本の警察以上にアンダーグラウンド勢力と警察が繋がっている事の裏返しだったりする。

 何しろ、この修学旅行の裏ではコンピューターの私を捕まえるためとはいえ私の暗殺依頼がアンダーグラウンドに流れており、私に何かあれば米政権内部の要人の首が飛びかねない羽目に。

 現在行われている大統領選挙の動向も含めて、米伊関係の緊迫化を感じて私は苦笑をするしかない。


「このバス防弾性能なんだっけ?」

「そうですけど、爆弾を食らったらアウトなので、本当は避けたかったんですよ……」


 適度にカーテンを開けてパパラッチに写真を撮らせてあげる事しばし。

 対テロもガチガチに固めたいのにそこは永遠の都ローマ。

 無駄に押し寄せる観光客とそれで商売をする住民たちの人の波にもまれてなお微笑ましいトラブルで観光が続いているのは水面下でどれだけ関係者が努力したのか察するが、そこは私は中学生と心の棚に置いてようやくトレビの泉に到着である。

 トリトーネ通りにバスを一時停車し、バス内で渡されたコインを握りしめ、大道芸とか屋台ガン無視という強行軍でトレビの泉に到着。


「瑠奈。お前真ん中な」

「桂華院さん。僕たちの手の輪から出ないでね」

「開法院も中に入ってろ。桂華院はこいつの手を握って消えないようにしてろ」

「警備員二人呼んで手の輪を広げるのでお嬢様と開法院さまは男子の手の輪の中へ」


 どこのスターだと苦笑しながら、わき目も振らずにトレビの泉について一同コインを投げてお祈りし、写真を撮って、そそくさと撤退。

 味もそっけもない観光だが、他の観光客と警備とその他大勢で見事なまでに大混乱。

 それでもバスに戻ると色々被害が。


「やられた……スられてる。いつ取られたんだ?」

「えー!あのお店ぼったくりなの!?」


 バスの中で被害報告が出てくるが最初に盗難保険に加入している事を伝えているのでまだましな方である。

 財布に、携帯電話に、デジタルカメラだけでなく、ハンカチとかポケットティッシュとかの被害報告がちらほらと。

 あの混乱の中スってゆくのだから相手もプロという事なのだろう。いやなプロである。

 それも海外観光あるあると割り切ろう。

 

「で、何をお願いしたの?」


 トレビの泉に投げるコインは枚数によって願いが異なると言われており、泉に背を向けてコインを1枚投げ入れるとローマへの再訪が叶うと言い、2枚では大切な人と永遠に一緒にいることができ、3枚になると恋人や夫・妻と別れることができるとか。

 願いに離縁があるのは昔はキリスト教が離婚を禁止していた為だとか。もちろん渡されたコインは2枚で1枚入れたか2枚入れたかなんてわかる訳もなく。


「みんなと一緒に居たいから2枚」

「同じく」

「俺は瑠奈と一緒に居たいから2枚だな」

(おーという顔)


 聞いた私の顔が赤くなるが、こういう所で堂々言うのはやっぱり栄一くんだよなぁと納得したり、なんとなく嬉しかったり。


「瑠奈は何をお願いしたんだ?」

「もちろん2枚で『みんなと一緒に居たいから』。今はこれが精いっぱい」

「そういう事にしておくか」

「ああ」

「うん」

(うんうん)


 色々政治や経済の事で頭を悩ませているが、こういう時は中学生に戻って、ドキドキを味わおう。

 それはきっと素敵な事……ん?


「あ!ここのアイス有名だって聞いたけど食べれないの?」

「ご安心を。ホテルに職人を呼びますので。

 お土産とかも、ホテルに外商担当が来ますから本物をご用意いたします」


 なお、それでも買ってしまったバッタ物ぼったくり革ジャンを見て欲しいと思ったのは内緒だ。

 『BALENTINO』……こっちにも流れていたのか……

トレビの泉の参考にさせてもらった動画。

https://www.youtube.com/watch?v=TmoaoXvVlno


メディア王と呼ばれる元実業家が首相

 シルヴィオ・ベルルスコーニ

 この人も色々あってなー……ロッジP2にも関わっているんだよ……この人……


『BALENTINO』

 バッタ物。本物は『VALENTINO』。

 某サイコロの旅でスズムシが韓国で入手したという。

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― 新着の感想 ―
お膝元の現地のマフィア視点も気になる所。
地元ローマの古き名族が、強引に夜会への招待を画策とか メリケン護衛団が面子を懸けて防御とか 何故か混じっているロシア大使館職員とか無いのですかなw
>地元警察 イタリアって、警察組織が日本以上に複雑ですからね。 少し調べただけでも自治体レベルで地方警察と自治体警察が有り、国レベルだと国家警察・財務警察・監獄警察(刑務官)に軍組織のカラビニエリ(国…
2025/04/15 22:23 瀬戸の住人
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