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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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ワシントンD.C.某所にて その1

この章のネタバレ回。

とりあえず入れておかないと忘れそうなので。

 米国の情報機関は多い。

 縦割り行政の上に、連携どころか足の引っ張り合いまで行った結果、そのつけを2001年9月11日に払う事になり、お互いの連携を高めようと情報改革とテロ予防法と国家安全保障法が改正されて国家情報長官が新設される事になっている。

 それがそもそもの間違いだったと口に出すほどこの場にいるアンジェラ・サリバンは愚かではない。

 理由は簡単だ。

 国家情報長官という閣僚の椅子をめぐって各組織が争ったからだ。

 その組織数はなんとこんなにもある。


中央情報局 (Central Intelligence Agency, CIA)

国家安全保障局  (National Security Agency, NSA)

国防情報局 (Defense Intelligence Agency, DIA)

国家宇宙情報センター(宇宙軍)(National Space Intelligence Center, NSIC)

第16空軍(空軍)(16th Air Force, 16 AF)

軍事情報部隊(陸軍)(Military Intelligence Corps, MI)

海軍情報局(海軍)(Office of Naval Intelligence, ONI)

海兵隊情報局 (Marine Corps Intelligence Activity, MCIA)

沿岸警備隊情報局  (Coast Guard Intelligence, CGI)

国家偵察局  (National Reconnaissance Office, NRO)

国家地理空間情報局 (National Geospatial-Intelligence Agency, NGA)

情報調査局(国務省)(Bureau of Intelligence and Research, INR)

情報・防諜局(エネルギー省)(Office of Intelligence and Counterintelligence, OICI)


 その宴になんでアンジェラが呼ばれたかというと、スカウトされたからである。

 国家情報長官室の誰かから。

 お断りは既に入れているのにある種の強引なお誘いによって彼女はここに連れてこられる事になり、顔の見えない面接室にてしらけきった顔でオファーを聞く事になった。


「私、桂華金融ホールディングス次期CEOが決まっているのですが?」


「それでも、我々としてはこちらに来ていただきたいのだ。

 国家情報長官室の経済安全保障管理官の席を用意している」


「なるほど。一つ質問を。

 あなた方は ど ち ら の 人たちですか?」


 アンジェラの質問に押し黙るスカウトたち。

 共和党政権にもかかわらず、お嬢様こと桂華院瑠奈のお目付けになった事で極東方面の情報ハブとなり、成田空港テロ未遂事件や樺太銀行マネーロンダリング事件で功績を上げた彼女がワシントンD.C.の何処に座るかというのは、この国家情報長官をめぐるゲームにおいて無視できないファクターとなっていたのである。

 もちろん、彼女の古巣であるCIAがこういう事をする訳がない。

 アンジェラはわざと腕時計を眺める。

 情報機関のお約束。拉致されたら助けが来るもの。特に国内のライバルに拉致されたなんて事ならなおさらである。


「やあ。アンジェラ。大丈夫だったかい?」


 ドアからCIA外国指導者分析部長の顔が見えた事で、アンジェラはどうやら強引なスカウトが終わったと察して皮肉を一言。


「あいにく、私の気を引くオファーではありませんでしたが」


「すまない。みんなピリピリしていてね。

 欧州で旅行中のお嬢様に何かあったら、今までのゲームが全部ひっくり返るとうろたえているのさ」


「今回の修学旅行は大統領のお耳にまで届いた……ああ。なるほど。

 我々が出しゃばり過ぎたと?」


「そういう話はしないでおこう。

 何しろ、君はウォール街に戻るのだからね」


 知らない事が身を守るし武器にもなる。

 そういう宴の最中なのを察してアンジェラは白々しく息を吐く。


「『欧州の魔女たち』、うちではないですよね?」

「ああ。『今は』うちではないよ」


(『今は』ときたか。となると設立には関わった……OSSこと戦略情報局時代の話かしら?)


 この手の世界は会話そのものが取引であり情報でもある。

 強引に連れてこられた詫びもあるのだろう。


「ここにロバが住みだしたら私もここの住人になると思うのですが、その時には先ほどのスカウトの方々にはお礼をしたいですね」


「まぁ、彼らも君のお嬢様のせいで尻に火がついているからね。

 強引にもなるさ」


 そんな事を言いながらドアを開けて施設の外に二人は出る。

 警備員以外誰ともすれ違わない所にここがその手の施設である事を意識せざるを得ない。


「樺太銀行マネーロンダリング事件のおかげで、ウォール街でのマネーロンダリングはまだ止まったままだ。ウォール街の連中はこちらを見ながらその詰まったマネーを回収しようとしているが、それをされると困るのが『欧州の魔女たち』でね。

 強引に動いてかえってここでは失点を重ねる始末だ。

 何しろその洗濯機に工作資金を入れていたのだからね」

米国インテリジェンスコミュニティー

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC


アメリカ合衆国国家情報長官

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%95%B7%E5%AE%98


一応まだできていないものは省いたが、読者のつっこみ次第で直す予定。

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― 新着の感想 ―
X-copyさんへ >幹部にソ連のスパイがいたFDR政権期のように、国家情報長官が中国やロシアの手先だと大変ではある。 となると、大統領自身がプーチンの手先になったトランプ政権は…(絶望) と書い…
2025/03/12 13:49 瀬戸の住人
情報機関が縦割りで複数に分かれている事には、ダブルスパイが入り込んでいても部分的にしか情報をぶっこ抜かれないメリットがある。 幹部にソ連のスパイがいたFDR政権期のように、国家情報長官が中国やロシアの…
情報機関と金融というのは存外近しい関係にありましてね。 政府の予算でおおっぴらに計上できない工作資金なんかを匿名で調達しているところって結構あるんですよ。 ちなみに史実のサブプライムやリーマンで証券…
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