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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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お嬢様の修学旅行 中等部 準備編

 修学旅行が欧州に決まって、その準備として参加者全員集められてのミーティングは警備関係者からの対策だった。


「お金は絶対にスリに取られると思ってください」


 第一声がこれである。世知辛くない?

 みんな同じことを思ったのだろうが、警備の人はうちの北樺警備保障の北雲涼子さんなので嘘を言う訳もなく。

 淡々と語るがゆえに説得力が増す。


「ポケットに入れるのは厳禁です。ポシェットを配布するのでそれに貴重品を入れてください。

 あと、誘拐対策として発信機つきの校章をお渡ししますので、必ず身に着けてください。

 何かあった際には大声を上げてください。できうる限り我々が駆けつける体制を構築していますので」


 なお、スリ以上に厄介で警戒しているのが誘拐で、万一私が誘拐でもされたらと気が気でない欧米政府関係者がダース単位で居るのだが、そんなの知った事ではないと言えないのが今の私。


「あと、現地警察に助けを求める際にもできれば我々を立ち会わせてください。

 現地警察の下っ端は信用できませんし、下手したら買収されている可能性もありますので」


 ぉぅ……先進国の憧れの欧州は何処へ……私だけしかしらない事だが、既に数百億円単位の誘拐保険を払っていたりする。私が。

 売られた喧嘩を高値で買ったとはいえ、警護関連で支払う費用でジャンボジェット機が数機買えるのだから我ながら偉くなったものである。

 それを払ってなお金が唸るというのが本当の金持ちというのを体感しつつある私こと桂華院瑠奈。まだ花のJC2である。

  

「向こうでは基本単独行動はしないでください。

 必ず複数人で行動する事。迷子にならないように、なった際にはついている警護に告げてください」


 そんな感じで今度はクラスや班でのミーティングである。

 もちろん私の班は完全身内パーティーである。


 栄一くん、裕次郎くん、光也くんに、私、蛍ちゃんとイリーナ・ベロソヴァの六人パーティーである。

 ふとやっていたゲームを思い出す。


「……戦士、戦士、僧侶、盗賊、ビショップ、メイジ……かなぁ?」

「瑠奈。お前俺たちを何かのゲームに当てはめたな?」

「いや、ちょうど都合がよかったので……」

「まぁ、リーダーは栄一くんだろうし」

「だな。それぞれの役は置いておいて、帝亜がリーダーで……」


(……?)


「シーフね。蛍ちゃん」


 私の一言に蛍ちゃんは首をかしげるだけだったが、話はこれで終わる訳もなく、私の最後の守りになったイリーナが真顔で私たちに注意を促す。


「できる事なら旅行そのものをキャンセルしてほしいのですが、とにかく連れ去られる事だけは絶対に避けてください。それ以外ならどうとでもなりますので」


 向こうの誘拐は専門組織があるとかで、その手の人間に狙われたら本気で危ないのだとか。

 誘拐保険をかけているのも金で解決する事をアピールし、私以外を狙っても大金が支払われるという事で私を狙わないようにという配慮だとか。

 聞いて私がげんなりしたのは言うまでもない。


「俺たちで気を付ける事はあるか?」


 リーダーとして栄一くんがイリーナに聞くが、イリーナはあっさりと懸念点を言う。

 蛍ちゃんを眺めて。


「開法院様がお消えにならないようにしていただければと」

「あれつけるか?桂華院がつけてたエンジェルハーネス」

「光也くん。それ、私もつけろと言ってないよね?ね?」

「あー。検討したのですが、誘拐組織に悪用されかねなくて……あれ……」


 したのか。検討。

 海外で恥をさらさなくてほっとする。

 そんな事を私が考えているとも知らずに蛍ちゃんは何か偉そうに腰に手を当ててるし。


「発信機、ちゃんと捕捉できるのよね?」

「多分……精度的にビルとかに入られると捜索に苦労しますが」


 そんな事を言っていたらふと気になった事をイリーナに尋ねてみる。


「ちなみに、うちの班にイリーナが居るって事は、ユーリアは?」

「クラスが違うんで、交換留学生で班を送り込んでくるとか」

「うわぁ……」


 ロシアもそうだが、欧州で私に何かあると困るのが米国である。

 で、帝都学習館学園への交換留学生といういい訳で護衛チームを送り込んでくるとか。

 イリーナを呼んで耳元で囁く。


(……あれは片付いたのよね?)

(ええ。指示を出していたスパコンは抑えたのですが、アンダーグラウンドに流れた依頼で馬鹿が仕掛ける可能性があって……)


 どうやら大きな陰謀は潰せたらしいが、それでめでたしめでたしとならないのが現実のつらい所。

 特に馬鹿は何処に湧くか分からないし、何をしかけるかも読めないので警戒レベルを下げることができないのだ。


「まぁ、そう気にしなくて大丈夫ですよ。私は心配性の星条旗と違って、開法院様の幸運を信じていますので」


(えっへん♪)


 多分お世辞なのだが、見事に図に乗った蛍ちゃんと、後で知って「だからお前の国つぶれたんだよ」「あら?テロを防げなかった国のいう事は違いますね」とイリーナとユーリアが醜い大喧嘩をした事を記しておく。


やっていたゲーム

 『ウィザードリィ』。

 私はパトレイバーの『地下迷宮物件』で遊馬が「六人パーティーだ」で知った。


誘拐関連

 『ゴルゴ13』の『ペルセポネの誘拐』。

 結構ひどい目に合っているのに、そのオチはと苦笑した話だったりする。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読ませてもらっています。 お嬢様を書いていく上で色々属性を盛るのはいわゆる戦闘力インフレみたいな物と理解しています。 オカルト描写について、これは本格的に本編に組み込む予定あるでしょうか?…
蛍お嬢様はハーネスごと消える可能性が微レ存
誘拐… そういえばお狐様のお招きは阻止できませんでしたよねぇ。 そしてオカルトって洋の東西をいとわないわけで。 あっちでも誰かに呼ばれるのでは? 修学旅行先にイギリスってはいってたっけ? あっちは…
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