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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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某ニュース番組にて

「新潟県中越地方を襲った地震ですが、現在も復旧作業が続けられています。

 その際に問題となったのが被災した住民の一時避難場所でしたが、彼らに安眠の場所を提供したのはお役御免となっていた車両たちでした。

 長岡駅の〇〇さんを呼んでみましょう。〇〇さん」


「はい。私は長岡駅のホームにいます。

 見てください。ホームにブルートレインが停車しています。

 これが、住民の一時避難場所として活躍しているのです。

 ブルートレインは深夜を走る高速バスや格安航空会社に押されながらも、いまだこの国の移動手段の一つとして活躍しています。

 とはいえ、このブルートレインが避難場所として使えたのは、避難所の問題と偶然のタイミングがありました」


「偶然のタイミングですか?」


「はい。最大時には10万人以上の避難者が体育館などを用いた避難所への避難を余儀なくされました。また、避難所ではプライバシー十分に配慮できるほどの余裕が無いため、車中泊を選ぶ方々もいました。ところが、車中泊を選んだ避難者から肺塞栓症を発症する方が現れ、死者まで出る騒ぎになっています。

 一方ブルートレインは、路線の整理統廃合が進む中、第二種鉄道事業者として桂華鉄道が車両を更新する事が決まり、廃車前の余剰車両が存在していました。

 そこで桂華鉄道が提案し、東日本帝国鉄道が協力して長岡駅と長岡車両センターにブルートレインを置いて避難所として提供したのです。

 今、ここ長岡駅及び南長岡駅、長岡車両センターには各地より集められたブルートレイン50両ほどが停車しており、およそ800人ほどが避難生活を送っています。

 また、新潟車両センターや直江津駅などにも同様にブルートレインの避難所が設けられて避難者が生活をしています」


「凄いですね。寝台車だから横になれるのは避難している人たちにはありがたいでしょう」


「そうですね。

 横になって寝られることに加え、個室やカーテンで仕切れるので最低限のプライバシーも守れると好評です。

 ただし、車両のメンテナンスの関係からトイレは外の仮設トイレで、お風呂も仮設浴場を利用する事になっています。それでも体育館の避難よりは快適だと避難住民の一人はインタビューに答えていました。

 また、新潟や直江津への避難民の移動ですが、長岡からブルートレインをそのまま引っ張ってくる事で大量輸送を実現し、鉄道のメリットを我々に見せつけてくれました」


「鉄道のメリットですか?」


「はい。被災者の大量輸送もそうですが、特に注目されたのは国鉄時代の駅です。

 駅舎があり、電気・水道に公衆電話とトイレが整っている上に、出入りを改札でチェックする事で不審者を排除しやすいのは臨時避難所としては注目しなければなりません。

 更に、北海道から来たドクタートレインが長岡-新潟-直江津を巡回して健康管理を行っています。

 車社会となった現代ですが、鉄道というインフラについて見直すいい機会になったと県関係者は語ってくれました」


「しかし、震災で新潟方面の復旧もまだ先なのにこれだけの車両を集めるのは苦労したでしょう?」


「そうですね。この地震で上越線及び上越新幹線に多大な被害が出ています。

 そのため、秋田車両センターにあったブルートレインだけでなく、首都圏で余剰車両となっていたブルートレインを中央本線経由で塩尻-松本-長野-直江津-長岡と大回りして運び込みました。

 また、地震でキャンセルが続出している新潟県のホテルや旅館を借り上げて避難所として利用する事を『災害特区』として新潟県が申請しており、通れば避難住民の生活再建に向けて一歩進むことになります」


「『災害特区』に指定されると具体的にはどのような事になるのでしょうか?」


「はい。生活再建の為に税金の免除や猶予、特例債の発行や、更にいろいろな規制緩和で被災者の生活再建の支援をする試みですが、大きいのは寄付や義援金に対する免税措置でしょう。

 日本各地から送られる寄付や義援金に対して、その金額を自治体が認定してその金額分を免除するという仕組みで、海外の寄付などを参考にしたと政府関係者は語っています。

 先ほど挙げた鉄道の支援で桂華鉄道や東日本帝国鉄道はその支援を新潟県が認定して、免税措置を与える事で支援に報いる形になります。

 上越線及び上越新幹線などの復旧で費用がかさむ東日本帝国鉄道や、桂華電機連合新潟工場が被災した桂華グループはこの免税措置を歓迎するとコメントを出しています」


「聞けばすばらしい仕組みのようですが、今までしなかったのは何か問題があるのでしょうか?」


「はい。この仕組みを使えば、寄付をした人の税金の一部が、寄付をした人が住んでいる自治体でなく被災地の自治体に払われる事になります。

 総務省はこれに懸念を表明していたのですが『改革なくして成長なし』をスローガンに掲げている恋住政権が押し切った形になり、湾岸のカジノ開発など『恋住政権は行政改革特区法を便利に使い過ぎている』と与党関係者は懸念を隠そうとしませんでした」


「この地震が政局に影響を与える事はありそうですか?」


「恋住政権は一丁目一番地の郵政民営化法案を来年の通常国会に向けて提出する予定であり、それに対する障害をすべて片づけると政府関係者は語っています。

 一方で与党関係者は『特区法でなく補正予算を組むべきだ』と息巻いており、政局に発展する可能性は十分に考えられるでしょう」


「〇〇さん。ありがとうございました。

 続きましては今の話題にもあがったドクタートレイン。

 その有効性が認められて各地で導入の動きが……」

JRの復旧スケジュール

https://www.jreast.co.jp/press/2004_2/20041110.pdf

だから、この放送は信越線が復旧した11月20日以降の話


車中泊の人たちに肺塞栓症が発生

エコノミークラス症候群

この地震で一躍有名になった


海外の寄付

私がこれを知ったのはノートルダム大聖堂の火災の時

2024年再開予定らしい

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-06/S23B1PT1UM0W01

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― 新着の感想 ―
そういえば桂華電機の工場被災は保険金掛けてたのか? 確定で全壊することが分かっていたんだから10倍リターンも余裕だったはず。
タイムリーな話題としてネットにこんな記事が出ていたので。 これぞ「石破列車」!? 鉄道を“動く病院”や“巨大な救急車”に 「病院列車」構想の現実味 https://news.yahoo.co.jp/…
[一言] 桂華鉄道のスジ屋な社長さんは寝る間もなくて、 私は寝てないんだ!って暴言吐いちゃうかもね
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