占い師 Meets 占い師 ゲームセンター編
「桂華院さん。
少しいいかしら?」
「何?神奈さん?」
放課後のそんな会話からこの話は始まる。
ごく普通の会話なのだが、興味を惹かれるワードがあったからだ。
「前に紹介した妹弟子が遊びに来るのよ。
純粋に遊ぶだけだと思うから桂華院さんのゲームセンターで遊ばせたいのだけど?」
あー。あの娘か。
察したのかいつの間にか隣に蛍ちゃんがニコニコ顔で立っている。
嬉しいんだろうなー。あの手の自分と同類というか似た娘。
「はいはい。いいわよ。
せっかくだから、みんなで遊びましょうか」
まぁ、これも何かの縁である。
それにみんなと遊ぶのはなんだかんだで楽しいのだ。
「さがらえりです!
よろしくおねがいします!!」
「天音澪です。
よろしくね。えりちゃん」
元気なお子様の挨拶がゲームセンターに響き、そのお子様の手を取って澪ちゃんが笑顔で挨拶する。
そんな光景を私と明日香ちゃんと蛍ちゃんと神奈水樹は嬉しそうに見ていた。
「あー。澪ちゃんにとっては妹分ポジか」
「ずっと末っ子だったからねー」
(ニコニコ)
「え?いつの間にそんな関係に?」
突っ込んだ神奈水樹に私と明日香ちゃんがそれぞれ肩をポンと叩く。
笑顔で声色を変えないのがポイント。
「神奈さん。こんないい娘を紹介してはいそれまでよなんて無しだからね」
「そーそー。蛍ちゃんと仲良くなれる人間なんて逃すわけないでしょうが」
「……あれ?私、間違えた???」
神奈水樹が何か間違えたらしいが、私たちからすれば、こんないい娘逃すわけがないのである。
何しろ蛍ちゃんのお墨付きなのだから。
「と、いう訳で、みんなで遊びましょう!」
「えりちゃん。何から遊びたい?」
神奈水樹の妹弟子ポジからしっかり澪ちゃんの妹枠候補としてロックオンした相良絵梨は笑顔で一言。
「ルナおねーちゃんが水着着てテレビでやってたやつやりたい!」
「……」
一同からの白い目に姉の尊厳が。が。
ここは姉としての尊厳を見せるべく、きりっとした顔でついてきた橘由香に命令する。
「10000円を全部10円に両替してきて」
「お嬢様。ここではメダルで遊べるので問題ありません。
あと、それをするのでしたらまたメイド長にご報告……」
「わたしがわるうございました」
かくして、姉の尊厳は破壊されつつもゲームは楽しむ私たち。
皆メダル10枚という制限でどこまで遊べるかという事になったのだが……
「うきゃぁぁぁぁぁ!新神戸と姫路の穴に吸われた……!!!」
「あちゃー。福山と三原の穴までかー」
(……きゅー)<<名古屋-京都間でやられる
「あー。なるほど。こんな感じかな?」
「姉弟子さますごーい!!!」
こーいうの強いな。神奈水樹。なお絵梨ちゃんは小倉の穴で力尽きた。
続いてゲームセンターの定番たるエアホッケーゲームである。
「ふっふっふ。今度こそ姉としての威厳を見せてあげるわ……」
「それ悪役のセリフでは?」
神奈水樹の突っ込みは見事にスルーされた。
で、最初はというと……
「二人がかりは卑怯よ!明日香ちゃん!蛍ちゃん!!」
「ほらほら。威厳を見せるんでしょう?瑠奈ちゃん?」
(ニコニコ)
たとえ才能があれども、打つ手(マレットと後で橘由香が教えてくれた)は一つしかない訳で、相手は二つである。
頑張ったが、蛍ちゃんの気配を消しての打ち込みについに敗れるのであった。
「ふっふっふ。ここで負けても第二第三の私が……」
「あ、この後水着になってすごすご帰ってゆくやつだー。テレビで見たー」
絵梨ちゃんの言葉に完膚なきまでに潰される私であった。
そんな感じで遊ぶと休憩時間とばかりに、みんなでテーブルに座っておやつタイム。
店長さんがおやつとジュースを持ってきたのだが、神奈水樹が店長さんを紹介する。
「絵梨。この人が私のお世話になっている愛夜ソフィアさん。
新婚女子高生店長よ」
「みーずーきーちゃーーん。
そんな事いうのはこの口かしら?」
「ひゃんっ!いたいいたいいたい……」
改めて聞くと属性テンコ盛りだな。この人。
たしか、神奈水樹の頼みで帝都学習館学園高等部に入ったのは覚えているのだが……
「ここのネットカフェは使えるからちゃんと覚えておきなさいね」
「はーい!」
「み・ず・きちゃん。うちのみせそーいうのって何こんな子に教えているのかな?」
「いやだって、私、絵梨の頃にはすでに腰振っていた……きゃんっ!」
愛夜ソフィア店長のげんこつが落ちた神奈水樹は放っておくとして、私たち姉妹の間でアイコンタクト。もちろんそれ相応の性知識はあるし、神奈水樹のバックである占い師兼高級娼婦集団神奈一門の事は理解している訳で。
「……絵梨ちゃん。神奈さんの妹弟子だっけ?」
「はい!いずれは姉弟子さまと同じ道を進もうと思います!」
「そっかー。それはそれとして、澪ちゃんと仲良くしてね♪」
「はい!」
(ニコニコ)
「よろしくね。絵梨ちゃん」
「はい!澪おねーちゃん!」
呼ばれなれていない『おねーちゃん』に感動している澪ちゃんをほほえましく見る私たち三人と、頭を撫でながら間違えたっぽいと察した神奈水樹は、愛夜ソフィア店長によって沈黙を選ばされた事でこの場のおやつタイムは実にほほえましく終わった。
どーでもいい神奈一門のエロ話
神奈一門の大体のラインとしては『JC孕みたい女子』とか『パコりシェア』とか『親にナイショの家出ックス』(夢乃狸 同人および単行本)あたりを下限にしているが、神奈水樹とかはそれよりも年齢が下なわけで『しょうびっち』(さらだ 茜新社)あたりになる。
なお、ガチで影響を受けたのはかわはらしん先生の『春宵一刻』(ゲイザーコミックス)で、明るく楽しく人生終了系に実に感銘を受けたことが。
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