表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

756/827

月刊『帝国GT』特集 湾岸カーレース夏予選 各メーカーの動きと展望

 富嶽テレビとアヴァロン・アトランティックとガーファ・コーポレーションが共催し、桂華グループが協賛する湾岸カーレースの夏予選が九月の深夜に行われた。

 この予選は実際のレースを行うための予行演習という事で脱落などはなしという事だが、数チームが辞退を表明し、ワークスチームが激しくしのぎを削る熱い展開となった。

 今回はその夏予選の展開と各チームと各メーカーの動きを見ていきたいと思う。


 なんといってもこの湾岸カーレースは開催だけが先に決まってレギュレーションが曖昧だった事から、各メーカーはワークスチームだけでなく、友好的なプライベートチームにも声をかけて複数エントリーをしていた。

 やっとある程度のレギュレーションが決まったのは、予選前のレースクイーンである桂華院瑠奈公爵令嬢の『だって、私たちの車が、このレースの基準になるんですから!!!』発言で、これを運営委員長が追認したことでやっとラリーレギュレーションであるとわかる始末。

 もちろん、これには各チームが実行委員会に猛抗議をしたが、裏ではある程度ラリーレギュレーションと分かっていた節がある。

 あるワークスチームの関係者が語ってくれた。


「協賛している桂華グループが出している車ですよ。少なくともレギュレーション違反はしないと踏んでいましたよ。

 で、彼女のチームの車が元テイア自動車のラリーチームです。北海道のレースでも桂華は全面支援していたからラリーレギュレーションだろうなとは察していました。

 じゃあ、なんで複数エントリーしたかというと、枠を埋めて他の参加者を出られないようにするという思惑です。

 野良レースなのに、日米欧のメディアが生放送してハリウッドまで絡んで首都高をぶっ飛ばせるんですから、書類選考だけで百チームは来ていたと聞きます。

 それをこの夏予選で40チームにまで絞ったのはレースが深夜一時から朝の五時までしかできないからで、どんなに遅れても朝の六時には首都高を開けるようにという条件がつけられたからだと聞きます。

 実際、この書類選考でスポンサーの日本メーカーは富嶽テレビに圧力をかけたとかで欧米のメーカーは泣きを見たと聞いていますよ」


 夏予選は書類選考で選ばれた40チームからリタイアチームを除いた32チームで行われる事になった。

 事実、このレースは日本メーカーについてはかなり優遇されており、参加していたテイア自動車・鮎川自動車・鈴鹿技研工業・岩崎自動車・巽自動車・中島重工などはワークスチームの他に複数のサテライトチームを送り込むことに成功している。

 先の桂華院瑠奈公爵令嬢のチームであるTIGバックアップシステムのチームはテイア自動車のサテライトチームとみられており、関係者もそれを隠さない。

 その結果、首都高の王者鮎川にテイアが喧嘩を売る形となり、テレビはその方向で派手に煽り立てた。しかし、テイアの本命はハイブリッド車チームであり、勝ち負けはワークスでは争わずにセミワークスやTIGバックアップシステムをはじめとしたサテライトチームに譲る事に。

 なお、テイア自動車のハイブリッドチームは予選28位で完走した。

 テイアの関係者は嬉しそうに語る。


「ハイブリッド車はまだまだ未来の新技術ですから、勝ち負けは二の次で完走が我々の目標です。

 夏の熱帯夜でもこの車は無事に走れる事を証明しました。次は冬の深夜の路面でも走れる事を証明したいですね」


 その一方で湾岸の覇者を決めんと激しく争ったのが鮎川と鈴鹿と中島で、その後ろを巽とドイツ車が追随する形に。

 このレースの優勝候補はやはりワークスチームの鮎川と鈴鹿であるが、巽のプライベートチームがワークスチームよりも速いタイムをたたき出した事が話題となる。


「巽は米自動車傘下にいるので米メーカーからの意見がかなりあったと聞きます。

 プライベートチームはそんなの気にすることなく走らせたのであの結果になったと。

 鮎川も仏自動車企業に売られる時代ですので、向こうも大変とは思うのですが鮎川は強いですよ」


 巽の関係者にこう言わせた鮎川の関係者はこう苦笑する。


「間違いなくコストについてはいろいろ言われましたよ。

 とはいえ、社長が走り屋でこのレースは倒産寸前だった鮎川復活の象徴にすると力を入れましたからね。

 実際、このレースの前後から参加車についての問い合わせが欧米で急増しており、できれば優勝を狙っていきたいですね」


 との事。

 一方で競っていた鈴鹿と中島の関係者はこう語ってくれた。


「うちはラリーチームを出しているので、ラリーレギュとなった以上負けるわけにはいきません。

 今回熱帯夜の首都高という事である程度のマージンをとって走らせましたが、次は冬の深夜の首都高です。

 凍結もありえる状況の過酷なレースですから、我々は『ラリー』のレギュレーションできっちり走らせていただきたいですね」


「このレース、ワークスチームの参加が40チームというのは多すぎます。

 これはスポンサーの日本企業に配慮した形で、実際には32チームで走った訳ですがおそらく、冬の予選までにさらに数チームの辞退が出ると我々は踏んでいます。

 ですが、残った連中のなかでも我々の車が速いというのを見せつけていけたらと思っています。

 もちろん、負けるつもりはありませんよ」


 一方で微妙な立ち回りを求められたのが岩崎自動車だ。ラリーチームを持っているが、業務提携という形で鮎川自動車の傘下に入っているからだ。


「我々としてはラリーレギュというのは願ったり叶ったりなのですが、相手が親になる鮎川ですからね。

 日本企業だとそのあたり煩いんですよ。まあ、鮎川のワークスチームに我々の車をぶつける戦いをしたいと思っております。

 メディアさんは親子対決みたいな感じで煽っているけど、これはこれで美味しいのですよ。

 岩崎自動車としては今後ラリーチームに絞って参戦です。

 この湾岸レースがメディアに取り上げられている以上、岩崎財閥関連からもそれ相応の応援があって、我々もそれを期待しておりますがね」


 実際、このレースは深夜帯にテレビが生放送した事から、モータースポーツファンのみに留まらず深夜帯の視聴率にあるまじき大ヒット、日本とは昼夜が逆となる欧米の視聴率もすごい事になったという。

 そんな欧州から参加して日本企業を相手に一歩も引かなかったドイツ車のチーム関係者はこう語ってくれた。


「モータースポーツは欧州が本場です。だったら、ここでも負ける訳にはいかないでしょう。ありがたい事に日本には我々のファンが多くおり、彼らの支援もあり良い所を見せる事ができました。

 次は冬の深夜の首都高です。欧州のメディアやモータースポーツファンが注目している中、我々が負ける訳にはいきません」


 各社の思惑と更に詰められるだろうレギュレーション。

 次の冬予選に向けて各社は走り始めている……

書きだして思い出したけど、この時まだ日産のゴーン社長の所業がばれていないんだよなぁ……

あと、マツダのフォード傘下の話、2015年に解消していた。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E5%86%8D%E5%BB%BA

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=890190079&s
― 新着の感想 ―
[良い点] 舗装路仕様のラリーカーをターマック仕様と称します。ターマク・タルマクとも言い、アスファルトを意味する米語が発祥の様です、 車に興味が薄い人に判り易く言えばイニシャルDの車がイメージ的に近い…
[一言] ワークスのGTカーが走るという事でテイストとしては高齋正の「ミレミリアが復活するとき」のそれが近いけど、周回路を取ると言う事でレースとしてはコッパ・デレ・ミレミリアよりもタルガ・フローリオの…
[気になる点] あとがきの社長がコーン社長になっとりますが、 こーんな感じで大丈夫なんですかね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ