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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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お嬢様の夏休み in 愛媛 その4

多分、私が権力闘争に脳を焼かれたのは『うる星やつら』の「ドキュメント・ミス友引は誰だ!?」のせいだと思う。

今回の話は、友引高校外の学校のNo1のお話のオマージュ。

 松山城から降りて、市街地をブラ歩き。

 イベント『大名行列』の始まりである。


「明日香ちゃんの頼みだからするけど、する価値あるの?」


「悪いわね。瑠奈ちゃん。

 黄門様が来たならば、大名が案内する事で地元に権威を見せつけるのよ」


 そういえば、神戸教授の授業でたしかあったな。

 『花の御所体制』だったか。私が考えている事を明日香ちゃんも察したらしく、かわいらしく舌をだしてネタバラシ。


「瑠奈ちゃんの想像どおり、神戸教授の授業でひらめいたのよ。これ」


 明日香ちゃんの隣で蛍ちゃんと澪ちゃんの二人がお団子をパクパク。

 だらだら歩きながらも、大名行列の準備は整えられていた。

 歩く範囲は大街道から銀天街のアーケードで、松山市駅がゴール。

 まず、先ぶれとして鳴地湯姫さんと明日香ちゃんのお付きが前に出て準備を確認。続いてこちらの久春内七海率いる側近団が続き、私たち本隊の出陣。

 最後が薫さんたち友人たちで、その後ろに観光客に化けているこちらの護衛が続く感じ。


「明日香ちゃん、一体どんだけ動員かけたのよ?」

「生瑠奈ちゃん見れるわよと煽ったけどね。瑠奈ちゃん見たさよ。これ。

 上級生下級生にその知り合い含めて多分100人ちょっとかな」


 大街道の脇道にそれる所にはもれなく明日香ちゃんと同じ制服の女の子が立ち、こっちを見て一礼している。

 これができるあたり、この地における明日香ちゃんの権勢は相当なものだ。

 平日午後の繁華街で統制がとれたアーケードの中央をブラ歩き。

 それだけで、どれほどの政治力が必要か察せるぐらいには私も大人になった訳で。


「この大街道のデパートは、入り口にホールがあってね。

 ちょっとしたコンサートとか行われていたのよ」


「じゃあ、飛び入りでコンサートでも開きましょうか?」


「お嬢様。松山市駅の方の百貨店は桂華グループ系列店なので、その手のコンサートができるホールなどはそちらで」


 明日香ちゃんの説明に私がツッコミ、さらに控えていた橘由香が修正する。

 そんな感じでぶら歩きをしていると、左右の女子の数が違う事に気づく。

 横道に並んで、先を見せたくないように。


「そっち、繁華街なのよ」


 納得。神奈水樹と付き合っている私なのでそのあたりも気にはしないが、よそ様に見せるにはという地元意識になんというか色々感心するしかない。

 おや?雨でもないのに皆傘を持っているのだが……?


「あれ、仕込み傘ね。

 防刃繊維の傘の所が開いた上に、隠しスイッチで傘が飛ぶって素敵武器。

 どこかのだれかさんの大活躍で流行になっている奴だわ」


 高橋鑑子さんの指摘を聞き流す私。

 刑事ドラマで使ったびっくりどっきり武器なのだが、相手から視線を隠せて柄の部分でぶん殴るというアクションシーンが受けて流行に。

 大体男子がこういう武器に飛びつくのだが、傘が飛ばずに隠しスイッチがブザーになった改良品が売られている筈である。


「立ち姿で分かるわよ。みんな経験者ね」

「経験者?」

「というか、元士族階級って言った方がいいかな」


 高橋鑑子さんに尋ねた栗森志津香さんに彼女が返事をする。

 士族階級は華族と違って没落したとはいえ、地方においてその序列と文化は残っている訳で。

 世が世ならお侍と庄屋あたりの名士たちの子女の立ち振る舞いは、明らかに一線を画すものがあった。


「ああ。彼女たちの傘は刀か」


 凛として卑にあらず。

 そんな彼女たちを束ねる明日香ちゃんの立ち位置を察する私。

 よく見ると、私だけでなく明日香ちゃんにも視線を向けていた。


「アーケードは大きいし立派だけど、なんか寂れている感じがしますわね」

「地方は車社会に移行しつつあるからね。

 郊外の駐車場のあるショッピングモールに人が集まりつつあるのよ。

 このあたりは、市電から一番離れた所で再開発の話が浮かんでいるわ」


 大街道と銀天街を分ける千舟町通りの横断歩道で薫さんと明日香ちゃんがそんな話で盛り上がる。

 地方都市の再開発は郊外ロードサイドとの関係が問題になりつつあり、松山市においてはそれが南北問題に繋がっていた。


「松山自動車道が南予方向に繋がったのはいいけど、松山ICが市街地の南にできた事で、郊外の発展と都市部の衰退が問題になりつつあるの。

 今、一番勢いがあるのは、松山市を囲むように作られている道路、松山環状線ね」


 明日香ちゃんの説明を聞きながら、大街道から銀天街に。

 折れ曲がったアーケードを進んで松山市駅方向に進むと、人の流れがまた活発になる。


「再開発の話だけど、瑠奈ちゃんの所がやっているゲーセン・カラオケ・インターネットカフェの一体型店舗『トライアド・アミューズメント』がこのあたりにあると学生で賑わうんだけどねー」


「まぁ、店舗の誘致は検討したい所なんだけど……作るとしたら市駅の総合百貨店の中だと思うのよ。あれ」


「ですよねー」


 明日香ちゃんの陳情に私はやんわりと否定する。

 ロードサイド店舗に押されつつある百貨店で、フロアが余っている都市部にこの『トライアド・アミューズメント』は核店舗として利用されつつあった。

 百貨店に入った『トライアド・アミューズメント』は百貨店のレストラン街と提携し、店員のメイドがレストラン街の料理を持ってくるサービスで差別化を図り、利用客は順調に伸びていたのである。


 そんなこんなで銀天街をブラ歩き終了。

 目の前には地下街の入り口が。なるほど。この地下街で市駅と繋がっているのか。



「「「「「おつかれさまでしたー」」」」」



 という訳で、最後に残った明日香ちゃんのお友達およそ20人相手に握手会。

 ほぼノリが選挙というのは言ってはいけない。

 なお、このブラ歩きはその日の夜の地方ニュースに載る事になる。

 ついでに言うと、地方新聞の社会面に写真付きで載る羽目に。

 明日香ちゃんの権勢は、この一件を以て松山市周辺に轟いたのである。

花の御所体制

https://www.rekihaku.ac.jp/kenkyuu/kenkyuusya/kojima/shoukyouto.html


『修羅の国』を書いていた時にこれを知って、色々見方が変わったんだよ。

これで「御屋形様」の深さを私は知った。ついでに大友家の当主に「御屋形様」呼びはありかなしかで悩んだのも良い思い出である。


お団子

 坊ちゃん団子

 松山銘菓 うつぼ屋 https://utuboya.co.jp




仕込み傘

 前書きに書いたが、元ネタのオマージュなら突っ込んでくる諸星あたるが出る訳で。

 彼を近寄らせないアイテムとして思いついてしまった。

 しかし、令和の世に『うる星やつら』復活とは……


握手会

 この後AKB48握手会とかが起こるのだが、あの総選挙にガチのどぶ板を組み込んだ指原莉乃さんの手法は選挙ウォッチャーも注目していた。


AKB総選挙もドブ板戦術必要に ハイタッチ1回で投票変更も - ZAKZAK https://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20140611/enn1406111145010-n1.htm @zakdeskより

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― 新着の感想 ―
松山の描写の細かさに松山市民のワイ、にっこり。 JR松山駅は最近新しくなりましたが、昨年豪雨で作り立てほやほやの駅が浸水してました。 これからどんどん駅周りが発展するはずで…。ただ、なんとなく坂出駅…
傘を開いて接近を阻止し傘を飛ばして視線を遮り柄の部分で接近戦ってところが、古代ローマの盾を構えて戦列を作り槍を投げた後に剣で接近戦をする戦術を彷彿させて一瞬ガチかなっと思った。
[一言] 傘が飛ぶのはス◯ラトゥーンしか絵面が思い浮かばなんだ…
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