表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

731/827

お嬢様の夏休み in 愛媛 その3

「さてと、とりあえず松山あるあるネタを披露するわよ!」


 との事で、ホテルを出てぞろぞろと徒歩で歩く私たち。制服を着ているので気分は修学旅行である。

 明日香ちゃんホテル前から指を差して一言。


「あれが松山駅ね」


 うんうん。

 その後、市電こと路面電車の線路沿いをお城沿いに歩いて続けて一言。


「あれが松山市駅ね」


 う……ん?

 どうみても市駅側の方が立派な気が。

 松山市の繁華街は私鉄側のターミナルの方が栄えていて、旧国鉄側のターミナルはなんというか……うん。

 明日香ちゃんが私に話を振り続けている松山新幹線の終着駅がこの松山駅になる訳で。


「乗り換えの利便性は?」

「そのためにこの市電があるのよ」


 納得。

 という訳で、南堀端駅から市電に乗って道後温泉へ。

 市内環状線、松山駅-道後温泉、松山市駅-道後温泉という系統がまたがっている事もあって、ほぼ待つ事なく乗れたのだが、さすがに一両に全員は無理で分かれて乗る事に。

 駅の近くで警備っぽい人が記者っぽい人と揉めていたが、カメラがこっちを撮っていたので、私を撮りに来たパパラッチと思ったら明日香ちゃんが一言。


「多分地元の記者ね。瑠奈ちゃんの事アイドルと思っているらしくて」


 そういわれると何も言い返せない私。

 その市駅にある百貨店には、大々的に私のポスターが飾られている訳で、ついでに言うとその百貨店にはこの市電を運営している地元私鉄資本も入っている訳で。


果ては『お嬢様発世界行 流行最先端特急「ティル・ナ・ノーグ」サマーキャンペーン』なんて夏の服を着た私の広告が私の目の前にあったりする訳で。


「今更だけど、私、有名人?」

「多分、越後のちりめん問屋程度には有名人ね」


 それが露骨に分かったのが大街道駅。

 乗ろうとしていた女の子が指を差したり、ひそひそ話をするあたりで察する私。

 これで、サインをとか突っ込んでこないあたり田舎特有の奥ゆかしさというか、空気を読む日本人らしいというべきか。


 道後温泉駅に到着。

 本館を外より見学してさあ入浴という所で明日香ちゃんが一言。


「瑠奈ちゃん。そっちじゃないわよ」

「え?じゃあ、何処?」

「ここは観光客であふれるから、地元の人が使う方に入るのよ」


 という事で椿の湯に入湯。

 古風な銭湯という感じで、時間も時間なので地元のご老人たちぐらいしかいなかった。


「熱っ!」


 思ったより熱い上に湯船が深いので、茹でだこになる前にあがって、また入りの繰り返し。

 これで美人になるのだからと皆黙々と入るのは、思った以上に声が反響するからである。

 二階の休憩室を貸切ったみたいで、出た後そこでポンジュースを飲みながらのんびり。


「あー。いい湯だった」

「で、この次は何処へ案内して頂けますの?」


 程よく溶けた私の隣で薫さんが明日香ちゃんに話を振ると、明日香ちゃんは頬に手を当てて視線が天井の方に。いくつかの候補を考えていたらしい。


「お昼はここで食べるとして、からくり時計を先に見ましょうか。

 キリの良い時間に動き出すし」


 キリの良い時間……いやまあ、言わんとする事は分かるが。

 なお、一時間ごとに動くらしい。

 という訳で、道後温泉駅前のからくり時計を見物。

 結構有名らしく観光客が集まっていた。

 で、戻って昼食。

 近くの旅館から取り寄せたらしく、鯛そうめんが置かれていた。


「おぅ……これはこれで……ずるずる」


 そうめんというかにゅうめんなのだがこれはこれで。

 薄口醤油出汁のにゅうめんをすすりながらそのだし汁で鯛の煮物をパクリ。

 実に贅沢であるが、この地ではやはり縁起物として扱われているとか。


「で、次だけど、お城とお寺どちらがいい?」


 食べながらの明日香ちゃんのアンケートだが、実質的な決定権は私にあるので、じみじみとポツリ。


「お城かな。

 寺は何度か行く羽目になったし」


(あっ……)


 私の一言に察した明日香ちゃん一同。

 某地方番組のロケですずむしにジャムパンを食われた恨みとか、あまりの道の悪さに金をぶち込んで道路周り改善しようとしたら、


「修行なのに楽をしてどうするのです?」


という某宗教関係者からのツッコミで断念した経緯とか、何でかあのロケの後蛍ちゃんが真顔で私の肩をぽんぽん払っていたってそれは……うん。考えるのをやめよう。

 という訳で、次は松山城へ。

 この城は平山城で、天守のある本丸は貴重な建物が多く残っているのと松山市を一望できる事から観光地としても有名で、ロープウェイやリフトもあるのだが……


「歩くわよ」


 という明日香ちゃんの一言にて坂を上る事に。

 まぁ、高尾山にくらべたら確かに楽ではあるのだが。

 道中の東雲神社に参拝して横を進むと山頂に壮麗な石垣が。

 登ってきた道は、この石垣を運ぶルートだったとか。


「この本丸は、当時の大砲では届かない場所に作られたのよ」


 明日香ちゃんの説明を聞きながら本丸へ。

 天気も良かったので松山市が一望できた。


「絶景ねー」

「でしょう」


 私の呟きに明日香ちゃんはしてやったりと笑みを作ったのだった。

松山駅と松山市駅

 松山あるあるネタ。

 松山駅のしょぼさに驚き、市電に乗って市駅あたりの発展ぶりに驚き。

 そんな松山駅は高架工事中。


椿の湯

 地元民が使う道後温泉。

 近年隣に飛鳥乃湯泉ができたが、こっちは最近の設備がちゃんとついている。


道後温泉駅前のからくり時計

https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/shitestukoen/karakuri.html


鯛そうめん

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tai_soumen_ehime.html


松山城

https://www.matsuyamajo.jp/


寺こと石手寺

https://nehan.net/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=890190079&s
― 新着の感想 ―
[良い点] えらく細かい!自分も椿湯に行ってたのでよく分かるw椿湯の前と付近の描写はカットが正解!
2024/05/13 06:22 ケイムリン
[一言] 松山城1度行ったことあったけどたしかに絶景だったわ
[良い点] 8年前に出張で行きましたが、情景が目に浮かぶ程度には堪能したのを思い出します。 宇和島鯛めしを出張期間中常に注文してたり、皇室御用達のお菓子堪能したり、鯛釜飯を堪能したり(食の思い出が過半…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ