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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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お嬢様の夏休み in 愛媛 その2

春日乃明日香の愛媛での所属校は〇田か〇美か〇雲か……

「おはようございます。お嬢様」

「おはよう」

「お食事の支度が出来ております。

 階下の食堂にいらしてください」


 私が起きたのは桂華ホテル松山。

 松山市の一等地、大手町の一角にあるホテルの最上階である。

 不良債権処理の過程で色々買い込んだが、その中にホテルが結構あったりする。

 このホテルもその一つで、元は帝興エアラインのホテルだったのだが、経営再建の手伝いとしてホテルグループごと買ったのだ。

 今回の遊びに行く事が出来た理由の一つが、このホテルを使える事による安全の確保だったりするとか。

 もちろん、この旅行中は貸し切りである。


「おはよう。みんな」


 挨拶して食堂に。

 こういう時ホテルを貸切ると色々楽だというのを思い知る。

 料理は地元の食材で揃えた和食と洋食のバイキング形式。

 一緒に来た友人たちに、前入りしていた側近団もそろっての食事なので、軽く二十人ぐらいそろっての食事は楽しいものである。


「アジが良い匂いを出しているわね」


 という事で朝食は和食をチョイス。

 このアジが獲れる場所が佐田岬半島沖合で、大分側で獲れたものは『関アジ』『関サバ』とブランド化されているのだが、愛媛県側ではそのブランド化に遅れて四苦八苦しているとか。

 もちろんじゃこ天も忘れない。

 という訳で、ご飯にお味噌汁、アジにじゃこ天という朝食でいただきます。

 飲み物はポンジュースなのは言うまでもない。


「とりあえず、松山に来たからには道後温泉でしょう?」

「美人の湯って有名ですものね」


 そんな会話で盛り上がる所、地元明日香ちゃんからの情報を知っている私は静かにごはんをパクパク。

 温泉が枯渇しかけていて大きなホテルや旅館とかは奥道後温泉から湯を引っ張ってきているとか。

 この問題はリゾート開発や温泉ブームで各地に温泉ができてから割と問題になっており、丁度夏に社会問題化してうちの所も確認に追われていたりする。

 全国規模でホテルを持つとこんな所で流れ弾を食らう……話がそれた。


「道後温泉では複数の源泉をまとめて、それを分湯する形で供給しているそうですよ」


 事前に調べたらしい橘由香が道後温泉の泉質について説明する。

 なお、美人の湯を一番楽しみにしていたのが彼女という事を補足しておこう。

 そんな道後温泉だが、なんと公営の公衆浴場なので格安でしかも朝早くから入れるというすばらしさ。

 同時に、貸し切りなんてできる訳もなく、派手に揉めたのを私は知っている。

 その時押し切ったのは女性陣の『美人の湯』というワードなのは言うまでもない。


「で、何で私たち帝都学習館学園の制服を着ている訳?」


 私のツッコミに皆も思っていたのだろうが、側近団筆頭の久春内七海がぶっちゃける。

 私含めて皆こちらが用意した帝都学習館学園の制服なので、気分は修学旅行。


「説明が楽なんですよ。

 この人数で制服姿で歩けば『学校行事』と考えるでしょうし」


 過剰警備を求める米国側と内政干渉と腹を立てる国内警察のつば競り合いの妥協とも言う。

 成田空港はともかく京都は無罪なのだが、なまじ未成年の子供という所が過剰警備に対する過剰反応を国内で引き起こしていたのである。

 私がうろついて、偉い人の服にシミがべったりつくならば、そりゃ忌み嫌われるという訳で。

 で、学校行事風にしておけば、自然と保護者が付き添える訳で。

 気軽な旅行というものでも、動いている人員は百人を超えるあたり、一般人から遠くに来たものだと。


「案内をしてくださる春日乃様とそのご友人たち七名がこちらにいらしてから、道後温泉及び市内観光という予定になっております」


 忘れていたが、東京暮らしの明日香ちゃんも、地元愛媛では政治家のお嬢様であり、地元にご学友や側近団が居てもおかしくない訳で。

 東京で最先端を学びながら地元にこうして還元するのも上流階級の義務というか。

 二重生活大変そうだよなぁ……私たちにはそのあたり見せないけど。


「おはよう!瑠奈ちゃん!今日は松山観光で色々案内するわよ!!」

「おはよう。明日香ちゃん。今日は案内よろしくね」


 食後の紅茶を堪能した後ぐらいに現れた明日香ちゃんと挨拶しているのに何だろうか?

 微妙に空気が。が。


「……」

「……」

「……(?)」


 うちの側近団と向こうのお付きの連中がガンを飛ばしてやがる。

 友人たちと蛍ちゃんは静観というかこの微妙な空気を分かっていないと言うか。

 明日香ちゃんのお付きの一人がぼそっと聞こえるように一言。


「あー。水戸黄門を出迎える藩のお偉方の苦労が分かるわ」


「「……ぷっ!」」


 あまりに的確な一言に私と明日香ちゃんが噴き出し、それが広がって場の緊張した空気が弛緩する。あのタイミングであの一言を聞こえるように呟ける才覚と度胸に明日香ちゃんもいい友人を持ったなぁと名前を覚える事にした。


「あの娘?

 鳴地湯姫さんね。

 私の友達で、瑠奈ちゃんの所の橘さんポジの人よ。

 祖先は瀬戸内海の海賊に行きつくとか」

道後温泉の源泉について

 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/kankomeisho/dogoonsen/gensen.html


温泉偽装問題

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E6%B3%89%E5%81%BD%E8%A3%85%E5%95%8F%E9%A1%8C


鳴地湯姫

 これで『めいち ゆき』と読むが、苗字を変えていて元の苗字は『越智』。

 そういう所のお嬢様である。 

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― 新着の感想 ―
〇田か〇美か〇雲か… いや、時代を考えると〇カ〇リ〇の可能性も…。まだギリお嬢様高のはずw
[一言] じゃこ天、まさにタイムリーネタですね。 蒲鉾にじゃこを入れたのは宇和島ですが、元になる蒲鉾製造の技術は、宇和島藩初代藩主が仙台藩から持ち込んだものなので、宇和島藩の蒲鉾を貶した久保田藩の殿様…
[気になる点] ご老公はことあらば大騒ぎになるの分かる では「ここで死ねばただの徳田新之助」は事後どうするつもりだったのだろうか [一言] (おう作品の感想書けや)
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