傭兵組織の夏　2004

『ミッションの概要を説明します。

　依頼主はペーパーカンパニーのフリーダムフォース。

　依頼内容は、ファルージャに潜伏している敵ゲリラ勢力の排除です。

　ファルージャは中部イラクに跋扈している旧イラク政府軍ゲリラの拠点の一つで、敵ゲリラ勢力はこの町に潜伏して牙を研いでいます。

　この町の街道は中部イラク治安維持にかかせない街道が通っており、この街道の安全確保が成功条件です。

　航空支援は多国籍軍の航空支援が受けられます。

　彼らとの交信チャンネルは……確実なミッション遂行を期待しています』

『作戦を説明する。

　雇い主はCPA。

　目標は、ティクリートへの潜入。ゲリラへの情報収集だ。

　この町は旧イラク大統領の出身地という事もあって旧イラク軍残党が隠れてゲリラ活動を行っており、内部には賛同者も多く敵ゲリラ勢力を支援している。

　某国の特殊部隊がゲリラ殲滅作戦を行う予定だが、その為の情報収集が今回の目標である。

　危険な仕事だが、その分報酬は高い。

　連絡を待っている』

『作戦を説明する。

　依頼主は桂華商会子会社の北樺警備保障。

　小さな女王陛下のエスコート・ガードと言った方があんたらには分かりやすいかな？

　任務内容は間もなく建国される南イラク首長国への軍事アドバイザーだ。

　南イラク首長国は南イラクのシーア派住民が主体となって建国されるが、旧イラク内部では抑圧されていた為に内部は寄せ集めで、中部イラクを中心に勢力拡大しつつあるゲリラの攻撃に対応できる可能性は低く、国軍の訓練と軍事アドバイザーが必要になる。

　一応英国が音頭を取り、日本とイランがこの国に関与しているが、隣の中部イラクは混迷を極めておりその余波がここに来るのは確実な状況だ。

　これは極秘情報だが、桂華商会は南イラク首長国に大規模な戦力提供をする用意があるらしい。

　つまり、この仕事はかなりの長期ミッションになり、北樺警備保障及び桂華商会との繋がりを強くする好機という訳だ。

　そちらにとっても悪い話ではないだろうと思うから、朗報を期待している』

『この作戦は、革命防衛隊の非公式ミッションである。

　作戦目的は南イラク首長国の首都バスラへの浸透および協力者確保だ。

　近く建国される南イラク首長国は建国後に日米英の三国が駐留し、わが軍は撤退する事になっている。

　建国後にも我が国の影響力を確保し続ける為に協力者を確保し、西側勢力の影響力を削ぐ事がこのミッションの目的である。

　諸君らの潜伏・浸透の後、中部イラクの混乱が南イラクに波及した時点で、『武装勢力掃討と解放軍救援』を名目に革命防衛隊が再度国境を越える手はずになっている。

　その性質上南イラク政府及び西側部隊からの攻撃対象になるが、我々はそれについて関与できない。

　多額の報酬を用意している。

　命知らずは連絡してくれ』

『依頼の内容を説明させてください。

　南イラクに対して、革命防衛隊の浸透が行われようとしています。

　イラク戦争後、これまでも数々の有形無形の嫌がらせを受けてきましたが、南イラク独立に伴い、彼らは撤退する事で合意しています。

　とはいえ、このまま彼らがおとなしく去るとは思えません。

　我々には、日米英軍及びその情報機関という強力な切り札がありますが、中部イラクの混迷から戦力がそちらに振り向けられつつあり、決して十分な戦力とは言えません。

　もちろん、できる限りの謝礼は用意します。

　貴方の力を我々に貸してください』

『トルコ国家情報機構よりの依頼です。キルクーク油田に展開する守備部隊を排除してください。

　ご存じの通りイラク北部のキルクークは、国際社会に賛同しないクルド人武装勢力の本拠地です。

　我々は平和的な話し合いを求めていますが、彼ら武装勢力は頑なにこれを拒み攻撃的な態度を崩していません。

　このミッションは話し合いの為の示威行為であり、力をちらつかせた交渉は我々の本意ではないのですがこの際仕方ありません。

　失礼ながら、これはあなたの試金石でもあります。

　確実なミッション遂行を期待しています』

『ミッションを説明しましょう。

　依頼主はヒールトン・エナジー・サービス。

　目的は、キング・ハリド軍事都市から南イラクを走る装甲列車の防衛です。

　つい先ごろ、武装勢力による装甲列車への襲撃情報が得られました。

　詳細は確認されておらず信憑性にも疑問が残る情報ですが、この鉄道は石油輸送から軍事まで賄う南イラク統治の根幹を成す最重要施設の一つです。

　なお、装甲列車には北樺警備保障が警護を行っており、装甲列車自体の防衛システムもあり、備えは万全です。

　協働して襲撃に備えてください。

　説明は以上です』

『依頼主は岩崎重工子会社の樺太重工苫小牧製作所。

　現在使われている岩崎財閥の食券を使って違法労働を強いている道内フロント企業の排除が目的となる。

　マネーロンダリングの噂も出ている上に、食券の偽物も出回っているという噂もある。

　地域通貨が盛り上がりつつある今、上は食券という余計なノイズを流入させたくはないらしい。

　自治体だけでなく岩崎内部にも敵の内通者が居るため、この任務はあくまで極秘ミッションとなっている。

　報酬は前払いで、もちろん食券ではなく現金だ。

　……悪い話ではないと思うがどうだ？』

『依頼主は秘密だが、その分報酬はでかいやばい話だ。

　狙いは、樺太競馬場。

　その式典でのテロだ。

　同時多発テロで世界はその脅威を目にしたが、それを防いだ日本に対してその脅威を教えるのが目的だ。

　現地過激派が協力を約束しているから、彼らと接触してくれ。

　また、世界を革命したいなら依頼主を教えよう。

　良い返事を期待している』