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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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樺太競馬観戦記 その2 2023/08/28 修正

詰まっていた理由

 ロートリンゲの爵位周り。頭を抱えて騎士団を思いついたのでやっと書ける事に。

 石油王の名前。これガチで困っているので、活動報告にて募集予定。

『競馬とは王侯貴族の遊び』とはよく聞くが、その王侯貴族というものは元を辿るとろくでなしに行きつく。

 なぜかというと、王侯貴族はその座に座る為に、もしくは維持するために多くの人の血を必要としたからであり、基本的にろくでなしでないとその座を維持できない連中だからである。

 もちろん、そんな王侯貴族に私も入っている訳だが。


「おはようございます。お嬢様。

 良い朝ですよ」


「おはよう。由香さん。

 さすが樺太。気温が低いわね」


「お嬢様。寒かったですか?」


 少し不安そうな顔で尋ねるメイドの橘由香に私は手を振って否定する。

 実際、トレーラーハウスの中はとても快適だったからだ。

 なにせエアコンが利いている上にベッドには羽毛布団がかけられていたし、部屋の中には毛布が何枚か置かれていて、枕もふかふか。

 朝食はトレーラーハウスの隣に設置されたテントにて。

 このテントもキャンプとは思えない快適仕様なのだが、万一を考えて私の寝床はトレーラーハウスという事になったという裏話が。

 ご飯とみそ汁と焼き魚と卵焼きという日本人らしい朝食にお気に入りのグレープジュースを堪能しつつメイドの橘由香と秘書の時任亜紀さんと共に食事をとる。


「グランピングというらしいですよ。このスタイル」

「グランピング?」

「『グラマラス』と『キャンピング』をかけた造語だそうで。

 欧米の裕福層のキャンプスタイルにつけられつつあります」


 橘由香の説明に素直に感心しながらテントの中でくつろぐ。

 夏の樺太は過ごしやすいが、それは朝晩は少し寒いという事を意味している。

 私達三人が寝転がっても問題ないテントの中には薪ストーブが置かれ、煙突はテントの外に出ているという素敵仕様。


「今日の予定は?」


「私達は樺太競馬前日に来ていますから、夜には豊原の迎賓館でパーティーが。

 その後は、明日の樺太競馬記念式典に出席となっています」


 自由時間にのんびりと観光をという身分ではない私こと桂華院瑠奈公爵令嬢。

 こちらのスケジュールが空いているという事は、これからスケジュールが押し込まれる事を意味する訳で。


「で、そのままフリーという訳じゃないんでしょう?」

「はい。この後、お隣のテントからご招待が届いておりますがいかがなさいますか?」


 そういって亜紀さんが招待状を私に手渡すと、その招待状の封筒に書かれた紋章で察する。

 中を見ると、きちんと儀礼にのっとった招待文の下に手書きで『香港以来会うのを楽しみにしていました』の一言が。

 これ、断る訳にはいかないんだろうなぁ……




「ようこそ!

 公爵令嬢。歓迎させてもらうよ」


「お招きに預かり光栄です。

 騎士見習い様。

 楽しませていただきますね」


 明らかに年季の入った豪華なテントを前に私は騎士見習い様ことフランツ・ロートリンゲに貴族らしく挨拶をする。

 なんでこいつが騎士見習い様なのかというと、招待状にそう書かれていたというのがあるが、欧州の複雑怪奇な事情もある。


「国を失っても存在を必要とされた我々は、爵位で名乗ると色々まずいので、騎士の方を名乗っているのさ。

 とはいえ、まだ成年になっていないから叙任されずに騎士見習いという訳」

「……欧州って複雑怪奇ですわね」


 第二次大戦の戦災疲弊と迫りくる共産主義の脅威に、西側諸国は第一次大戦で国を失った彼らの血脈すら利用したのである。

 結果、彼らの故郷オーストリアで実質的な復権を果たしたはいいが、それは戦後の彼らの立場に問題を引き起こす事になる。

 特に一次大戦後に制定された国外追放と財産没収の『ロートリンゲ法』と同時施行された『貴族廃止法』が壮絶に邪魔になったのだ。EU結成時にやっと撤廃させられたが、それまでは使用が憚られるオーストリア爵位の代わりに欧州の王族・貴族と話す方便としてロートリンゲ家が保持していた『翼羊騎士団』の騎士爵位を利用する事に。

 以来、波風立たせない場でのロートリンゲ家の公式爵位は『騎士団団長』であり、欧州の民主主義者の間ではEUにおける彼らの影響力拡大から彼ら一族の事を『騎士王』とか『騎士皇帝』とかよぶかっこいい蔑称が広がっているとか。


「まぁね。

 歴史を持つ家の義務みたいなものだよ」


「ご愁傷様。

 うちみたいな成り上がりには関係ない話でしょうけど?」


「どうだろうね。

 成り上がっても血ってのは消せないからね。うちがそのいい例なんだけど」


「……」


 なんとも言えない空気を破るように、テントの奥から別の男子の声がして、中から褐色肌の仮面をつけた男子が出て来る。

 ……って仮面!?


「おいおい。

 俺を置いて楽しそうな会話をしないでくれよ。

 仮面をつけてこの場に来ているのに、置いてけぼりか?」


「ああ。すまない。

 公爵令嬢。今は名乗る事ができないお方だが、夜のパーティーには自己紹介してくれると思うのでお楽しみに」


「……ええ」


 いや。察しているんですけど。

 貴方ゲームの設定資料集に居たので。

 フランツ・ロートリンゲと同じく没キャラとして設定資料集に石油王として居たので。

ロートリンゲ法

 ハプスブルク法

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%97%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E6%B3%95


翼羊騎士団

 金羊毛騎士団

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%BE%8A%E6%AF%9B%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E5%9B%A3


なお、この金羊毛はイアソンのあれである。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%BE%8A%E6%AF%9B



2023/08/28

 こいつ瑠奈と同年代設定なので叙任はまだだなという事で騎士見習いへ修正。

 なんかなろう系異世界ものっぽくなって気に入っている。

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― 新着の感想 ―
[一言] アレム・ザイヤード アレム(知識) ザイヤード(油売り)
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] 感想欄内の論点が散漫な某長文。……その是非について私は多くを語るつもりは無いですが、これが作者の方に宛てたものだとしたら、その散漫さ故に、傍か…
[良い点] そう言えば、こちらの世界線のロートリンゲン家は、オーストリアで扱いがひどかったらしく、ハンガリーの方にシンパシーを覚えてるって話があったなぁ。
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