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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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樺太競馬観戦記 その1

体調が回復してきたのでリハビリ気味に投稿

『当機はまもなく豊原国際空港に着陸いたします。

 シートベルトをお締めくださるようお願いいたします』


 成田空港から飛行機でおよそ三時間ばかり。

 上空で少し待たされた後、機長の声にシートベルトを締めると、私の乗るBBJ747は樺太道豊原国際空港に静かに着陸した。

 北の守りの最重要地なだけでなく、樺太住民二千万人の空の玄関口だけあって、自衛隊との共用滑走路三本を持つこの空港はとにかく混んでいた。

 住民の構成もあるのだろうが、国内航空会社だけでなく、大陸やロシア系航空会社もここでは国内航空会社に負けない存在感を醸しだしている。

 日本国内なのに、あふれるロシア語と北京語表記に異国情緒を感じるのは私だけではないだろう。

 到着後、そのまま待っていた車に乗り込んで豊原競馬場に向かう。


「街の中に宿泊しないの?」

「この街のセキュリティーランクは地上が一番高くなっておりますので」


 私の隣にいたメイドのアニーシャがあっさりと言う。

 豊原空港から豊原市内にかけては思ったよりも緑が多い。

 それもそのはずで、この街の本体は地下にあり、その人口は未だに数百万を数えるとか。

 地上に出るという事は冬の寒さに耐えられる経済力を持つと同義であり、耐えられない弱者は地下都市の奥に奥に住んでゆく。

 『樺太モグラ』という蔑称はこの地下都市住民の事を指すのだと言う。

 そんな話を聞きながら、旧社会主義国家的に無機質な豊原の町並みを眺めつつ車列は郊外に向かう。


「一応聞くけど、地下都市見学とかは無理?」

「あまりお勧めしませんね」

「どのぐらいの『あまり』なの?」


 アニーシャが首をひねって出てきた答えがこれである。

 私の唖然を察してほしい。


「ヨハネスブルグよりはましでしょうが、モスクワよりはよくないですね」


 仮にも日本国の領域でこれである。

 私の顔を面白がりつつもアニーシャの説明に淀みは無い。


「少し前の樺太は犯罪組織と裏で手を組んでいましたので、治安の悪化が決定的になりえなかったんですよ。

 まぁ、それは警察組織が買収されているという事ですので、犯罪組織の根絶も無理だったのですが。

 そして、樺太銀行マネーロンダリング事件で警察及び道庁内部の癒着した連中は一掃されたのですが、それは実務の実力者が消えた事を意味しており、道内の行政及び治安維持は混乱傾向にあります」


「おぅ……もぉ……」


 そんな声しか出ない私。

 更に、マフィア一掃作戦の進捗に伴って、大陸からの新興勢力の浸透と衝突が発生しており、治安維持機能が混乱している樺太道警より、岩崎財閥系列の警備会社『樺太岩崎警備保障』とその契約探偵や賞金稼ぎの方が信頼されつつあるという本末転倒ぶりに私もなんといっていいか分からない顔になる。

 信号を止まる事無く車が進む。

 この手の車列はまず信号で引っかかる事は無いが、止まると窓ガラスをたたき割られて強盗をというのがヨハネスブルグの日常という恐ろしさ。

 治安が最悪過ぎて、交通ルールが守れないという一例である。


「間宮海峡を挟んで大陸ですから、悪いのが樺太に流れて来るんですよ。

 武器や麻薬は当たり前、人身売買もかつては当たり前でした。

 国が壊れるってこういう事なんです」


 その壊れた国の出身であるアニーシャの言葉には説得力しかない。

 そして、その悪いものが流れないようにこの国はかなりのコストをかけていたが、それでも完全に防ぐ事はできていなかった。


「ちなみに、うちの北樺警備保障の大きな仕事の一つが、『樺太岩崎警備保障』のお手伝いですよ」

「そうなの!?」


 買収されない契約を持つ余所者の警備会社の方が治安を守れるというこの本末転倒ぶり。

 統一されて十年しか経過していないこの地の社会主義国家としての血は抜けきっていないという事なのだろう。

 そんな話をしつつ車は、それなりに大きい豊原競馬場の駐車場に入っていった。

 レースコースと設備以外まだ何も整っていないが、それゆえに上流階級らしい方々の豪華なキャンピングトレーラーやテント、バリバリに警戒している警備陣をちらほらと見かける。

 私は車のドアを開いて降り立った。

 夏にしては冷たい空気が頬に触れると同時にその冷たさに一瞬身震いする。


「で、私たちの宿泊先はどれ?」

「あちらでございます。お嬢様」


 豪華なキャンピングトレーラーが数台。

 それを囲むように警備用の車が更に数台。

 よく見ると、他の連中も似たようなキャンプをしているので、つまりそういう経済力のある連中しかこの地に入れないという訳だ。

 これが私の樺太滞在その初日である。


 樺太の新しい名物かつ祝日。

 『樺太競馬記念日』の目玉ゲストとして呼ばれた私だが、その宴はまだまだ始まったばかりである。

犯罪組織と手を組む

 これステラリスにまんまがあって面白かったのでここで紹介。(ステラリスwikiより)


 犯罪組織の支配者と交渉する

 安定度+10、犯罪+50% 犯罪者の職業枠+2、犯罪33ごとにさらに+1

(終了すると5年間安定度-10、犯罪33ごとに犯罪者の職業枠+1)


もちろん真っ当な犯罪抑止政策もある

 法務執行官・テレパス・奴隷監督者1POPにつき、犯罪-10

 同職の維持費:エネルギー通貨+2


 詰まる所、治安維持は金である。

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― 新着の感想 ―
[一言] 競馬回まってた。 ウマ娘:ケイカプレビューとか妄想してる人間としては背景情報出てくるのはうれしい。
[気になる点] 先日の台風で新幹線混乱に巻き込まれ往生しました。氏が東京へ出てられると聞き恙ないことを祈るばかりです。 [一言] ネットで予約取りしつつみどりの窓口行くか考えておりますと、何やら引っ…
[気になる点] 樺太の人口2000万ってすごいなそれルーマニアの社会主義政権がやってたみたくものすごい人口政策やってたんやろな
感想一覧
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