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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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陸上地区大会 応援出場

下品シリーズその2

発想の元ネタが薄い本

 夏である。

 7月に入って最高気温は30度を超えるのが日常となる中、スポーツ大会真っ盛り。

 そんな訳で、応援出場に駆り出された私は近くの陸上競技場に来ていたのだった。


「想像はしていたけど、ずらっと並んでいるわね……カメコ……」

「そりゃ、そんな体だからじゃない?」


 観客席を埋め尽くすカメラの砲列に呆れ声でぼやく私に、同じく応援出場の明日香ちゃんがツッコむ。

 最近陸上界を席巻していたセパレートタイプのユニフォーム。

 もちろん提供は帝西百貨店。

 そのデザインは私の体にぴったりとフィットするように作られており、今の私はマイクロビキニを着ているようなものである。

 当然、みんなのお目当てが私なのは言うまでもない。

 ちなみにこのユニフォームには巨万のビジネスがかかっているので、私もこんな所で破廉恥露出プレイもどきをやらざるを得ない訳で。

 2004年アテネオリンピックが間もなく始まるからだ。

 各スポーツメーカーの決戦を前に、こんな場末の陸上地区大会が注目を集めているのは、セレブとしてCM効果があるという訳で。

 提供は帝西百貨店だが、実際の製作は某国内有力スポーツメーカーの全面協力があったとか。


『これなら売れるでしょ?』


 という台詞と共にあの写真家の先生から手渡された試作品第一号を見た時は唖然としたが、実際売れているらしい。

 という訳で、麗しのお嬢さまが多くいる帝都学習館学園陸上部は、この競技場において華となったのである。


「思った以上に走りやすいわね。こいつ」


 100メートル予選を突破した明日香ちゃんが汗を拭きながら感想を言う。

 燦燦と太陽が照らす中、日焼け止めを忘れないように互いに塗りたくるのだからシャッター音が実にうるさい。


「やっぱりオーダーメイドなだけあるわ。軽くて動きやすいし、通気性もいい。これでもっと伸縮性が高ければ言うことないのにね」


 このユニフォームは空気抵抗を減らしてくれるので、100mのタイムを0.1秒縮めることができるとか。

 実際、カメコ連中がざわめくのはエロだけでなく、帝都学習館学園陸上部の面々が各種予選を突破しているからだろう。

 特に女子短距離では明日香ちゃんを始めとして上位を独占していた。

 陸上強豪校の私たちを見る視線が軽蔑から敵視に、そして羨望に変わっていたのを気づかない訳が無い。

 ユニフォームだけでなく、仕掛けは実はシューズにもあった。

 世界的シューズメーカーが私たちの為にオーダーメイドした特注品と言っているが、その基本型は既に決戦兵器として8月のアテネに向けて各アスリートの手に渡っているとか。

 シューズによる足負担の軽減も今回の躍進に一役買っているのは間違いがない。


「で、瑠奈ちゃん3000に出るんだっけ?」

「そうよ。まぁ、軽く走って来るわ」


 明日香ちゃんの質問に答えながら私は呼ばれて3000メートル走のスタートラインに立つ。

 一緒に走るライバル選手の軽蔑的敵視、ずらりと並ぶカメラの先にある視線からこういう所に立ち続けるのかとなんとも自虐的な笑みを浮かべつつスタートのピストル音と共に走り出す。

 練習走行でも好調だった私の体は、まるで羽が生えたかのように軽やかにトラックを駆け抜けていく。

 周りからは歓声が上がるが、それは私の体の調子がいいだけじゃない。

 今までとは違う私の衣装に対する期待値の高さ、格段に違うランニングシューズの性能に依るものだ。

 その証拠に、私の前には誰もいない。

 今までの自分だったら信じられないくらいの速さだ。

 やがてゴールテープを切って戻ってきた私を明日香ちゃんがなんとも言えない顔で出迎える。


「地区大会レコード。多分これ、都大会のレコードもじゃない?」


 やばっ。やり過ぎた。

 汗まみれの体を水をかぶって冷やす私にいつまでもカメラのシャッター音が聞こえていたが、私の顔はにやけていたのであった。

 私や明日香ちゃんを含め、7人が優勝で都大会に進める事に。その内私と明日香ちゃんを含めた四人がレコードを出した事を記しておく。

 なお、都大会は当然のことながら辞退した。

 明日香ちゃんは地元愛媛の大会に出るのでそっちの方で登録する事に。

 私については、ユニフォームとシューズのPRはできたし、帝都学習館学園陸上部への義理も果たしたという事で。

 かくして、校舎脇に『祝!地区大会3000メートル優勝!桂華院瑠奈』の幟が飾られる事に。

 私立だとこういうのが評価されるので、陸上部の窮状はしばらくは救われるだろう。

 また、アテネ五輪の後にバカ売れしたこのユニフォームとシューズは、その見た目の過激さから物議を醸すものの、0.1秒でも速くという選手の声に押されて主流になってゆくのだった。

私の性癖とかぶっていて密かにフォローしていたかにかま先生@kanikamakunmanが凍結を食らって、その応援として考え出したのが実はこれ。

先生が去年の冬お勧めしていた薄い本が実にドストライクだったのだ。

さすがに名前がどすけべすぎるのでリンクだけ張っておく。


https://www.dmm.co.jp/dc/doujin/-/detail/=/cid=d_257485/



このタイプのユニフォームの事をセパレート型というらしい。

こちらは真面目な記事もあったので提示しておく。


女子陸上選手はなぜ“セパレート型”ユニフォームを着る? 努力を踏みにじる「性的画像撮影」の卑劣さ https://number.bunshun.jp/articles/-/846814 #陸上


男性視聴者の眼福になっても女子選手が「肌露出多めのユニフォーム」を支持する理由 高得点・タイム出すための戦闘服だ #プレジデントオンライン https://president.jp/articles/-/48470



お嬢様の走り方

 どエロイ格好しているのに、某メジロの魔性の女みたいな走り方をしてこの場に居たスポーツ記者に「嫉妬すら追いつかない。憧れすら届かない」と言わしめたが、やっている事は「絶対の強さは、時に人を退屈させる」と言われたパクパクお嬢様の勝ち方程式である。

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― 新着の感想 ―
アスリート向けウェア、競泳水着は布面積が増えて陸上は布面積が減って、流体力学訳分からんとなった思い出がありますね
[一言] 創作といえど、こういうのを見るにインターハイ撮影禁止は然もありなんと言ったところ… しかし練習してないのにどんどんスペック上がって無いか? 逃げる為に走り込みはしてるのかしら
[気になる点] 小学生時代のサッカーの親善試合は能力高くてもガチでやってる相手には勝てないっていう風にリアリティを意識してる分、この結果は違和感が大きい。
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