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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
Prelude to Yusei Theater

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お嬢様と兵器見本市 その4

東側兵器は作者の趣味でただJをつけたいだけである。

なお、退役方向で話を書いてF-4の事を思い出す私。

下手したらF-22あたり見せつけに来ているかもしれんが、ひとまずパス。

 長かったが、やっと飛行機の展示場へ。

 テロとの戦いで見事なまでに閑古鳥がと思っていたが、思った以上に賑わっていた。

 どのブースにもがたいのいいスーツのビジネスマンが訪れており、露骨に軍服着ている連中もいるあたり、見物客ばかりではなく、そこそこビジネスは盛況みたいだ。


「これも湾岸戦争とイラク戦争の教訓なんですが、とにかく制空権を取られたらどうにもならない訳で何処もここだけは金をかけるんですよ。

 とはいえ、昨今の飛行機関係はとにかく金がかかる。

 痛し痒しですな」


「東側は劣る海軍力から、西側海軍に対して対艦ミサイルの飽和攻撃によってそれを撃滅しようと考えた。

 その最前線に居たのが旧北日本政府でね。

 これはそんな過去の遺物なんだが、こういう所では見栄えがよくてね」


 岡崎と岩崎会長の説明も上の空でそのデカさに見とれる私。というか……マジでどでかいんですが。

 戦略爆撃機なだけあって。


「Tu-95MS-16J。

 戦略兵器削減条約により封印されていたパイロンをソ連崩壊のどさくさに紛れて使用可能な改造を施した北日本政府空軍の切り札がこいつさ。

 侵攻する海上自衛隊と米第七艦隊を迎撃する為に、20機のこれから一機あたり16発、合計320発の巡航ミサイルによる飽和攻撃で撃滅しようと考えていたらしいが、知ってのとおり北日本政府は崩壊し、こいつはついに使われる事は無かった。

 それでもその攻撃力から米国に一物ある連中が欲しがるんでこうして飾って誘蛾灯代わりになってもらっているという一品でね。

 うちの人気商品なんだが、『絶対に売るんじゃない!』と星条旗の人たちがこうしてあちこちで見物という名前の監視をする素敵な飛行機だよ」


「うわぁ……」


 なお、樺太重工がこうして生き残っているのは、東側兵器市場において高性能製品のメンテができるというシェアと技術力の他に、同盟国である米国に対して『舐めるとこれ向かわせるぞ!』という反米保守勢力の裏からの支援もあったとかなかったとか。

 米国との関係は恋住政権によるイラク全賭けの成功もあって改善方向に進んているが、『国家間に真の友人は居ない』は誰の言葉だったかと思い出させる虚構と現実が私に容赦なく迫る。


「で、売れない商品なのに熱心に説明を聞いているあちらのお歴々はどなたで?」


「この手の常連客で、対米装備をなんとか欲しがっている連中。

 共産中国、イラン、リビア、キューバあたりですね」


 岡崎の説明もなんとも言えない声なのは、彼らがこの場で元気いっぱいにビジネスを持ち掛けている上に、監視している米国人が露骨に警告しているのもどこ吹く風なのが理由である。

 イラク戦争に微妙に乗って米国に恩を売った形となったイランはこれ幸いとばかりに、ここでのビジネスにとても積極的だった。

 かの国は革命前が親米政権だった事もあって米国製武器が残されており、制裁で手に入らないそれらのメンテナンスをうちにと持ち掛けてきていて、我が国外務省と米国国務省を絶妙に悩ませているとかなんとか。


「ちなみに、本家のロシアも部品調達などでうちに話を持ち掛けていたりするんだ」


「また何で本家が?

 自分の所で作ればいいじゃないですか??」


 私の素直な質問に岩崎会長がなんとも言えない顔で一言。

 東側崩壊からの国家混乱は未だおさまっていないつけはこんな所に現れる。


「『自分の所の部品だから信用できない』だって」


「おぅ……もぉ……」


 ここに来てから何度目かのため息をつく私。

 ただ飛行機を見に来ただけで、どうしてこんなに絶望のため息をつかねばならないのやら……


「始まりますよ。お嬢様」


 岡崎の声に誘われて外に出ると、目玉である航空ショーが始まっていた。

 空自のデモ飛行なんだが、東西兵器が混じっているのがこの世界の日本らしいとなんとなく思った。


「樺太に配備されているSu-27Jですね。

 航空自衛隊は政府の西側装備統一計画に合わせて更新時に退役させる計画なんですが、『いらないならくれ!』と先ほどの方々から色々と持ち掛けられておりまして。

 樺太に配備されている二個飛行隊40機を更新しないといけないんですが、その後釜を巡って西側企業の魑魅魍魎たちが……」


「あー。聞きたくない。

 今の私はただかっこいい飛行機を見ていたいだけですー!」


「けど、F-4を引退させたい空自の連中が政府に逆らって……」


 そんな私の叫びも空しく、巨額の金が動く防衛産業は魑魅魍魎の宴であり、その成果が空を舞う。

 金と欲に塗れた翼だが、それが飛ぶ姿はこんなにも美しい。

 次に空で舞うのがF-2である。

 舞うように飛ぶ蒼い翼は色々あったが見に来てよかったと素直に思った。


「あの飛行機、うちが絡んでいてね。

 樺太の二個飛行隊の後釜に狙っているんだよ」


「それ、ここで言ってビジネスにしますか?」


「まぁ無理だろうね。

 彼女、耳塞いでいるし」


 ジェット機の轟音で耳を塞ぐ振りをしつつ大人の話をシャットアウトするというアピールに、岡崎と岩崎会長はそれ以上突っ込んではこなかった。

巡航ミサイル飽和攻撃

 オケアン演習。

 なんとニコニコに動画があったので紹介。

 ソ連海軍ドキュメンタリー映画『オケアン演習』(1970) 日本語字幕

https://www.nicovideo.jp/watch/sm15794636


国家間に真の友人は居ない

 シャルル・ド・ゴール フランス大統領

 もちろん知ったのは『パトレイバー2』なんだが、こうやってネタ元を知る事に。


イランの欲しかったもの

この動画の最後のあたり


迷スコンバット F-14トムキャット~冷戦時代のスーパースター~

https://www.nicovideo.jp/watch/sm28099587



5/3 15:30 Su-35をSu-27に修正

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― 新着の感想 ―
最新話の感想の内容を考えていて煮詰まっていたら、アーミテージ元米国務副長官の訃報に接しましたが、私的には空自FS-Xの国産案を潰してF-16ベースのF-2日米共同開発なんて事をやらせた大悪人にしか見え…
2025/04/15 22:25 瀬戸の住人
[良い点] あれだけ巨額の金が飛び回っているのに、三菱どころかロッキード・マーティンですらボランティアと断言する防衛産業。 ウクライナに送る弾薬が無いラインに乗るのを待ってくれと返す辺り、時代に合わな…
[良い点] この世界だと戦術爆撃機としてB−1Aを買っていそうなのでTu−95も対艦ミサイルガン積み出来るから売るなんてとんでもないって空自が言っていそう。 戦闘機は仮想敵機役で運用だろうし アグレッ…
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