水着回 中等部編
担当さん「この本の対象は30後半から40の男性を考えています」
作者「いやこれ、一応乙女ゲームで女性向けを狙ったもの……」
という訳で、対象読者層に媚びる回。
「はい。三人とも笑って」
パシャ!
桂華ホテルのプライベートプールで水着姿で写真を撮られているのは私、ユーリヤ・モロトヴァ、神奈水樹の三人。
もちろんカメラマンはあの写真家である。
「何で休日に水着を着て写真撮られないといけないのよ……」
ビーチチェアに座って、グレープジュースをストローでチューチュー飲みながらぼやく私。
成田空港テロ事件の一件で私は完全にブレイクしてしまったので、帝西百貨店の営業役員が土下座して水着をと頼み込んできたのだ。
事実、私が看板を務める帝西百貨店の子供衣料品部門は、爆発的な売り上げを記録しているらしい。
百貨店の苦境もあるので私も首を横に振る事ができず、こうして水着を着る羽目に。
私の水着はパレオで下半身を隠しながらの白のビキニ。
わざと大きめの麦わら帽子を被ってあざとさを強化している。
「まぁまぁ。
お嬢様自身が納得して受けた仕事じゃないですか」
黒の競泳用水着のユーリヤ・モロトヴァが苦笑しながら私をなだめる。
彼女は、私の仕事の護衛で付いて来ただけなのだが、美に飢えているあの写真家が見逃すわけがなくこうして犠牲に。
グラビア誌に出ても問題ないナイスバディでためらうことなくあの写真家「じゃあ、次は脱いで」とほざきやがった。
お断りしたが。
なお、その言葉を延々聞かされて断り続けているのが私である。
「私、完全にとばっちりなんですけどー?」
赤のビキニを着た神奈水樹がぼやきながらポーズを取る。
彼女の場合、ユーリヤ・モロトヴァがスカウトされた時に『私より凄い体の娘が居る』と生贄として差し出したのだ。
かくして、彼女も引っ張られたのだが、写真家がユーリヤを見逃す事は無く、かくして三人がこうして水着姿を披露するという事に。
「けどこれで中1って詐欺よね。
海に行ったら、即座にナンパされるわよ。みんな」
写真家がぼやくが、撮られている神奈水樹はあっさりと一言。
「ナンパされるときは高校生で通してますから」
そーいうことやって男コロコロ変えるから評判悪くなるんだろうが。お前は。
言いたかったけど私の口はストローを咥えているので、それを言うことはなく。
「けど、あまり悪い評判が立つとお嬢様にも傷が付くので控えていただけると」
「私ごときで傷が付くの?
このお嬢様に?」
そーいう所だぞ。神奈水樹。
そーいう発言で敵を作るからゲーム内で孤立したんだろうが。
だが、その孤立を自ら望んだのが『占い師』神奈水樹という女である。
「まぁ、まじめな話として、占い師って恋人作れないのよ」
神奈水樹の言葉に目で『何言っているこいつ』と突っ込む私とユーリヤ・モロトヴァ。
すでに男を取っ替え引っ替えしているのを知っているからなのだが、ファインダーをのぞいたまま写真家は話を促す。
リラックスさせてさらに良い写真を撮りたいのだろう。
「へぇ。
どうして?」
そして出てくる神奈水樹の男遊びの秘密。
このあたりはゲームでも明かされなかった事だ。
「たとえば、ユーリヤさんは彼氏にとって悪い占いが出た時、それを客観的に伝えられますか?」
占い師は後に道化師として権力者のそばに侍る事になる。
彼らは、権力者に諫言を行うからこそ、己の立ち位置を見失わない。
それと男遊びがどうつながるのかと思ったら、神奈水樹がにっこりと笑った。
「という訳で、神奈の占い師って基本独身で生涯を過ごすのよ。
そして、才ある娘を見付けて後継者にするという訳。
お師匠様が言っていたけど、『接ぎ木』で次代を育てるのがうちの占い師なのよね」
神奈一門は占い師としての才もそうだが、上流階級専用の高級娼婦集団としても名が轟いている。
神奈水樹が言ったお師匠様こと神奈世羅はうちの祖父こと桂華院彦麻呂の愛人であり、第二次2.26事件を知らせてその命を助けた事が神奈一門の発展に多大に寄与する事になったからだ。
私は麦わら帽子を片手で上げながら首をひねった。
「それと、神奈さんが男遊びをする理由がつながらないのだけど?」
「だからぁ、一人の男に縛られたらダメだから、複数の男に縛られようって事」
……いいのか?それ??
つっこんだら色々と何かダメそうな気がして、私はストローを咥えたまま黙ることにした。
パシャッ!と音がして、写真家が神奈水樹の最高の一枚をカメラの中に閉じ込める。
「なるほどね。
水樹ちゃんとユーリアちゃんはなんとなく分かったのよね。
脱ぎ方で」
「脱ぎ方で分かるの!?」
たまらず声に出した私に写真家のカメラがこっちを向く。
パシャッ!
私のびっくりした顔も最高の一枚としてカメラの中に閉じ込められた。
それがうれしいのか写真家は、私の前で己の才能を誇った。
「当り前じゃない。
私が何百人の女性たちを脱がせてカメラに収めたと思っているのよ?」
帝西百貨店夏の水着キャンペーンイメージポスターは張り出した途端に盗難が続出するという大好評作品となり、当然のようにあの写真家が作りやがった私たち三人の写真集はベストセラーとして飛ぶように売れた。
もちろん、夏の水着キャンペーンは大成功のうちに終わり、今年の夏は少し大胆な乙女たちが水辺で戯れることになったのは言うまでもない。
瑠奈の水着
某FG〇の水着マルタ初期段階。
あの黒の帽子が好き。
ユーリヤの水着
某FG〇の水着武蔵初期段階。
あえて二人と対比させるのでこっちに。
神奈水樹の水着
某FG〇の水着沖田さん第三段階。
中学生なので自重した。
なお、この作者は痴女系大好きなのでスリングショットとかマイクロビキニとか……(以下略)




