お嬢様列車で行こう
更新回復の為の小ネタ更新
それはお嬢様の我儘と思い付きから始まった。
「楽して遊園地に行きたいわね」
舞浜のあの遊園地である。
九段下のビルから車で行くにはちと不便だった。
じゃあヘリでというのも天候に左右される。
都心からあの遊園地に向かうのは結構面倒なのである。
「では電車ですか?」
何も考え無しに一条絵梨花が言って、お嬢様こと桂華院瑠奈は路線図を取り寄せる。
何も考えないのならば、地下鉄東西線で西船橋まで行ってそこから京葉線に乗り換え。
早く行きたいなら、茅場町で日比谷線に乗り換えて八丁堀駅で京葉線に。
どれも混む路線である。
「もっと楽に行きたいのよ。
満員電車に揺られてなんてお嬢様じゃないでしょ?」
「まぁ、あの混み具合は行くまでにげんなりしますからね。
ならば、専用列車でも用意しますか?」
まったく考えていない一条絵梨花が言い放つが、彼女のお嬢様はきょとんとした後に手をぽんと叩いた。
「そうね。
その手があったわね」
「で、買っちゃったんですか……電車……」
「いいじゃない。
それだけ稼いでいるんだから♪」
買ったのは253系電車。三両二編成。
普段は繋げて六両で走るこの列車は成田特急として使われていたのだが、更新が始まったのをお買い上げしたらしい。
一編成は予備として三両のセレブリティートレインはその内装が豪華に派手になっていた。
なるほど。
お嬢様は本当にお嬢様だなぁと妙な納得をしていた一条絵梨花の横で、執事の橘がため息をついた。
「お嬢様。
走らせるのはいいですが、東日本帝国鉄道の方にはこの列車を走らせるスジの余裕があるかどうか……」
「だったら作ればいいじゃない♪」
こういう事を言って本当に作ってしまうのがこのお嬢様のお嬢様たる所以である。
お嬢様が目を付けたのは、あまり使われていなかった線路だった。
その線路の名前を越中島支線という。
貨物線としてあまり使われていなかったのだが、京葉線と線路が繋がっていた。
そして、この線路の隣に地下鉄東西線の車庫があった。
ここを線路で繋ぎ、九段下から舞浜まで一本で行けるようにしたのはさすがお嬢様である。
ありがたいことに九段下駅には引き込み線があって、使う際にはここに持ってくればいい訳で。
越中島支線を複線旅客化し駅を作り列車を走らせると共に、京勝高速鉄道を乗り入れさせて京葉線東京駅に到着する列車まで作ってしまう。
ワガママついでに引き込み線改良工事に出資しているあたり、このお嬢様を責められない。
更に、東西線竹橋駅に待避線を造ったり、住吉-豊洲間の地下鉄建設を表明したり、鉄道関係者にとっては年数度のワガママもありがたいものという事になっている。
そのワガママ時に実際に臨時列車のスジを引くスジ屋さん以外は。
「で、お嬢様。
誰と行くんですか?」
「まぁ……そりゃあ……ねぇ……
ないしょ♪」
こうして走る事になったこのセレブリティートレインだが、思った以上に図に当たった。
ヘリが使えないと都心から離れている成田から都心に向かうのが実に面倒だからだ。
そして、東京は台風などで思ったよりヘリが利用できる時間が少ない。
セレブ車両三両を組み込んだ九両の成田特急が直で東京駅や品川駅につくので、この形式の列車を東日本帝国鉄道も持つようになる。
一方で京葉線だけど乗り換え無しで東京に直通するというのは、思った以上に反響が大きく、間の越中島支線も発展したのは言うまでもない。
なお、鉄道マニアの間では由来を知っているので、この列車のことを『お嬢様列車』と呼んでありがたがったという。
もちろん元ネタは『A列車で行こう』。
こういうのを考えるのは結構楽しいのだ。
舞浜のあの遊園地
あそこに楽していけるという事は、夏冬のあの祭典にも楽していけるのだ!
列車の置き場所は多分越中島貨物駅
そのうちスイッチバックが面倒だから、運河をまたいで橋をかける予定。
越中島支線
都心にこんな面白い路線があるのかと知りせっかくだからと色々と。
事業費用は数百億円なので、出せない規模ではないと言えるお嬢様まじお嬢様。
253系電車
成田エクスプレスに使われているやつ。
もちろん裏面もあって北海道から来たPMCを秘密裏に九段下に送れるという……
竹橋駅待避線
地図で見ると隣が皇居の堀なので工事は楽だろうなという事で。
住吉-豊洲間の地下鉄
今、作る作らないで話題が熱い路線。
多分メトロはお嬢様に頭が上がらない……
お嬢様列車
最初は『お嬢様エクスプレス』だったのだが、何か引っかかって確認したら『お嬢様特急』でゲームが出ていた。




