第31話 ダブル。
「こう言っちゃなんだけど……まともに会話すらしたことないのに上野とデートするの?」
ゆーくんが意味がわからなさそうな目で此方を見てきます。はっきり言ってこっちのが意味がわかりません。
「私と上野君は実質付き合ってるからデートするのは自然な流れじゃない?」
「うん、不自然だよ。実質付き合ってるって一体何かな。はっちゃん誤解してるかもしれないけど上野とはまだ付き合ってないよ」
「ううん。実質付き合ってるよ。私は上野君が好きだし、上野君も私のことが好きだから、これってもう周りからみたらそういうことじゃない?」
「うん、周りは知り合い以下の関係と思ってるよ」
「うるさい!」
「ええ……ごめん。はっちゃんが自分の想像力のみで必死に前に進もうとしてるのに、現実を突き付けてしまってほんとごめんなさい」
「次何か言ったら海に突き落とすから」
「ええ。さらっとそういう脅しができるんだね。いつかこういう女性が日本を変えるんだろうなー。それでデートってどうするの?壁が大きい上に多すぎるんじゃないかな」
「そこで今回は桃百合さんに協力してもらおうと思うの」
「桃百合さんって……はっちゃんがこの間蹴ってた子?たしか住所は西公園の隣のマンションで、3人暮らしだよね」
「……何でそんなこと知ってるの?」
「僕は何でも知ってるよ。一般的に言う気持ち悪い人だからね。でも桃百合さんに何を協力してもらうんだい?」
「私とゆーくんと上野君と桃百合さんでダブルデートをしようと思うの」
「うん、どんどんやることのハードル上がってるよね」




