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第30話 ぱおーん。

「……はっちゃん大丈夫?」


 ゆーくんが私の元に駆け付け、声をかけてくれました。あまりの衝撃的な出来事にまだ足が震え、心臓がバクバク言っています。


「……さ、さっきね……」


「う、うん」


「み、耳元で……上野君がアイラ―ビューって……」


「うん。ぱおーんって大声で言ってたね」


「……すっごくネイティブな発音だったの……」


「もう一回言うけど、ぱおーんって言ってたね」


「はぁ……かっこよかった……!」


「うん、全く僕の話を聞いてないね」


 一体私はどうしたらいいのでしょう。今回も相当自分の都合のいいように解釈したら、私は上野君に告白をされてしまったようです。ここに来て私の恋愛も急発展です。ハッピーエンドまで後もう少しです。


「なんてお返事したらいいかな……?」


「返事もぱおーんでいいんじゃないかな」


「……ゆーくんふざけないで。こっちは真剣なの。後ぱおんぱおんうるさい」


「ええ。嘘でしょ。ぱおーんって言葉は間違いなく上野から発信されたものなのに、なんで僕が言い出したみたいな流れになってるの」


「やっぱり直接会って言ったほうがいいかな……」


「僕の話にちょっとだけ触れて、すぐさま突き放すのやめてよ。もうちょっと上野がなんであんな発言をしたのか推理して盛り上がろうよ。絶対30分ぐらいは話せる内容だって」


「私決めた!」


「完全にさっきから、はっちゃんの独り言に対して僕が勝手に食らいついてる状態になってるよね。それで何を決めたんだい?」


「私上野君とデートする!!」


「で、デート……???」

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