第23話 何でも。
私の好きな言葉に「努力は人を裏切らない」というものがあります。
この言葉は努力をすれば必ず成功するといった意味ではなく、努力した分だけ、ちゃんと自分に返ってくるという意味です。成功を望むのなら何事にも努力が必要です。勉強も。運動も。恋愛も。
だから私は今、成功するために桃百合さんに協力をして頂いてます。
「ねぇ……ハッチ……!ぃっ!……やめよっ!……もうやめて!!!」
「桃百合さんが何でもするって言ったんですよね?」
「……こ、こんなの絶対意味ないよ……っ!あっ……ああっ……んっ…………」
勿論こんなことになったのには深い事情があります。
時は遡ること1時間前です。
◇
「ハッチー!一緒に帰ろうー!」
全ての授業が終わり、痴女が私に話かけてきました。ちなみに痴女というのは桃百合さんのあだ名ではなく今日の桃百合さんを見た時の感想です。ブラウスの下からピンク色の下着が少し透けて見えます。こんなの大量の水をぶっかけたら全身スケスケです。えっちぃです。
「私は作戦のイメージで忙しいので遠慮しときます」
「作戦……?……ああー!また上野と仲良くなる方法を考えてたんだ!一体どんなの??教えてよ!」
「内緒です」
「ええー!いいじゃん!教えてよ!!」
「内緒です」
「この間アイデア出してあげたじゃんー!お願い!」
「……はぁ。二日前に友達が素晴らしい作戦を考えてくれたんです。今その計画の段取りを考えています」
「……ええ!?ハッチって友達いたいんだっ!」
ものすごく馬鹿にされた気がします。これはもうマルマルおこりんりんです。絶対桃百合さんには作戦内容を言いません。
「わ、私にだって友達ぐらいいます」
「それで作戦ってどんなの???めっちゃ気になるー!」
「絶対言いません」
「えー!教えてって!教えてー!!!」
「言いません」
「ハッチいいじゃんー!何でもするからさー!」
「……え?……桃百合さん何でもしてくれるんですか?」
「え……?あ……うん?」
「ありがとうございます。では今から私の家に向かいましょう」
「……え?」




