第19話 トナカイ。
その後、桃百合さんから沢山の恋愛テク聞きました。果たして自称恋愛経験のない桃百合さんの情報がどれだけ役立つのかは疑問ですが、私とはまた違った視点でアドバイスをくれます。師匠になってもらって正解でした。
学校が終わり、早速アドバイスをしてもらった情報を参考に、上野君の個人情報が何かしらネットに晒されていないか、血眼で探してみることにしました。試しに検索サイトで「上野君 裸 画像」などで検索をしてみますが全然違う人が表示されます。こんなの見たくありません。最悪です。
繰り返し何回か検索をしてみましたが、やはりなかなか上手くいきません。もしかしたらSNSをやってないのかもしれません。……そうなってくると行き詰まりです。
……しかし、諦めるわけにはいきません。私は恋愛に対して命がけなのですから。恋する乙女は必死なのです。……仕方ありません。こうなったら助っ人を呼ぶことにしましょう。
◇
「あのさ、はっちゃん」
「何?」
「急いで来てっていうから相当急いだのに、上野の裸の画像を探せはないよ。絶対急ぐ必要性なかったよね。必死に自転車を漕いでた僕は何なのってなるよ」
「何なんだろうね」
「……うん……うん。ほんと何なんだろうね」
そう、助っ人とはゆーくんです。ゆーくんは基本的に何でも器用にこなします。ゆーくんならきっとSNSどころか上野君の裸の画像も見つけられるはずです。
「とりあえず調べてみるよ」
「見つかった?」
「早いよ。調べて5秒も経ってないよ。でも冷静に考えて上野はそんなのネットに晒さないんじゃないかな?雰囲気的にそんな趣味は持ってないと思うよ」
「じゃあ作って」
「ええ。はっちゃんそれでいいの。僕が適当な裸の男性と合成した上野の画像を作ればそれでいいの。本来の目的絶対そこじゃないでしょ」
「…………本当は上野君がSNSをやってないか調べてほしいの」
「そういうことね。はっちゃんによくある欲が思いっきり先行したパターンね。わかったよ。それなら出てきそうだし調べてみるよ」
「見つかった?」
「だから早いよ。僕が調べてみるよっていう言葉に合わせて言っている節があるよ。でも見つけることができたから、はっちゃんにURL送るね」
流石ゆーくん優秀です。私のどんな無茶ぶりにも対応してくれます。早速調べてくれたアカウントを見てみることにしました。
アカウント名は……人食いトナカイ?……本当にこれは上野君のアカウントなのでしょうか??




