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第15話 手紙。3

 というわけで書いた紙を丸めて投げることにします。


 投げている最中に、万が一上野君が此方を向く場合を想定して女子力の高いフォームを意識して投げます。フォームに関してはアイドルが球場で投げているのを研究して練習しました。あざとさ500%です。上野君も「きゃわうぃー!」ってなると思います。


 さて、狙いとしては机の上に丁度乗っかるように投げるのが理想だと思います。ですが、滑り落ちてしまって上野君に気づかれないケースがあるかもしれません。現に授業には一切関心が無いようで、ずっと窓を眺めています。これだと仮に机の上に乗っかっても無視されてしまうかもしれません。


 そこで上野君の頭を狙って投げます。ヘッドショットです。脳天ぶち抜きます。これなら上野君に当たって「いてっ。死ぬとこだった!」って笑いながら拾うはずです。


 狙いも決まったところで深呼吸を行い一度冷静になります。心が落ち着いたところで、私は女子力100%のフォームで丸めた紙を上野君に投げました。紙は想定通り上野君の頭に向かっています。我ながら完璧――。そう思いかけた時。


 上野君は視線はそのままで、手だけを動かし紙を弾き飛ばしました。紙は後ろに飛んでいき、見事ゴミ箱の中に綺麗にスポンと入っていきました。


 ……す、すごいです。偶然とは言え、手で弾き飛ばしてゴミ箱に入れるなんて……動画投稿サイトに勝手に表示されるオススメ動画を見たような気分になりました。こんなさりげなくスーパープレイをする上野君。流石です。私が好きになっただけあります。


 しかし私も負けていられません。このメッセージを読んでくれなければ上野君との恋は一向に始まらないのですから。もう一度紙を破り、急いでメッセージを書きます。ちゃんと飛ぶように、書き終えた紙をギュッギュッと強く押しつぶし丸くします。では第二投目です。いきます。


 再び私は女子力120%越えのフォームで丸めた紙を上野君に投げました。私のコントロールが正確なのもあって、今回も上野君の頭に向かっています。完璧です。しかし。


 ――またしても、上野君は視線はそのままで、手だけを動かし紙を弾き飛ばしました。紙は後ろに飛んでいき、私を嘲笑うかのように、またしてもゴミ箱の中に綺麗にスポンと入っていきました。


 二投目まで……。こんな偶然あるのでしょうか。偶然にも上野君は私の紙を弾き飛ばし、偶然にもゴミ箱に入っていったのです。しかも二回も。……こんなにも偶然が続くなんて……もう運命だとしか思えません。


 やはり上野君は運命の相手だったのですね。

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