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第10話 隠し事。


 まさか私の好きな人がばれてしまうなんて……!


 これは最悪の事態です。私はなんてミスをしてしまったのでしょう。……勿論、桃百合さんは友達でもなんでもないので、過去に恋愛相談なんてしたことがありません。恐らく先ほどの会話で私が上野君のことが好きだと推理したのでしょう。頭悪そうな外見してるのになんて察しのいい女なんでしょうか。


「え!?ハッチ何その反応!?初めて見たんだけど!」


「……べ、別に誰を好きになろうが……いいじゃないですか」


 こうなってくるともう選択肢は3つに絞られます。彼女の善意を信じてこのことを秘密にしておくように約束をしてもらうか、何か弱みを握って口封じするか、殺すかです。


「え!?マジ!?!?ヤッバッ!本当に上野のこと好きなの!?マジ!?」


「…………」


 これはもう殺すしかないでしょう。この恋する乙女を小馬鹿にするような態度許しません。やはりサイコパスは桃百合さんでしたか。サイコパスの定義がどんどんズレてきている感じは否めませんが、秘密がばれた以上もう殺すしかありません。殺さなきゃ……もう……恥ずかしすぎて私が死にそうです。


「本当にそうなんだ……。マジで好きな人がいるっていいね!羨ましい!」


「……えっ?」


 意外な返事が桃百合さんから返ってきました。


「私、人を好きなったことないからさ。それに引き換えハッチは上野のことに対していちいちテンション上がってて本気で好きなんだなって思う!」


「え……?桃百合さんって男遊びしすぎて好きっていう感情失ったんですか?」


「ちょ!違うって!失礼すぎじゃない!?!?……わ、私、誰とも付き合ったことないから!……ひ、秘密にしといてね……?」


「……意外です」


 もっと意外な返事が桃百合さんから返ってきました。少し照れてた表情をしています。あざといです。やはりこういったことを狙ってやってるんじゃないかと思い、私の中でビッチ説が拭えないです。


「……さっきは上野のこと悪く言ってごめんね?」


「……い、いえ……」


「謝罪の代わりといってはなんだけどさ!私でよかったら相談に乗るよ!!何でも話して!」


「…………本当ですか???」


「もちもちっ!嘘はつかないよ!友達だもん!」


 私の中で桃百合さんが好感度が爆上げです。このタイミングなら100万円の壺を売られても思わず買ってしまうレベルです。嘘です。そんな大金、私には持っていません。ですが私は本当に良い知り合いを持ったなと思いました。


「……その……あの……ありがとうございます」


「ハッチったら照れちゃって可愛い―!」


 そういって私に抱き着いてきました。桃百合さんの大きな胸が当たって少し苦しいです。やはりこういうことを狙ってやってるんじゃないかと思ってしまいます。


 ですが……改めてありがとうございます。私は感謝したいことはちゃんと心の中でもお礼をします。

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