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第25話 楽太郎 魔法を覚える

 俺はマークさんに教えて貰った魔法屋の前に着いた。


 今日は開いている様だ。店の前には『Open』の文字があった。


 おれは早速店のドアを開けると、ドアチャイムの音が鳴る。


 店の中は少しかび臭い匂いがしたが、中は整理されている様で、色々な魔法道具?が整然と並んでいた。


「いらっしゃい。今日は何のようだい? お客さん」


 突然背中から声を掛けられ、吃驚して後ろを振り返ると、そこには1人の老婆が居た。


「ああ、すいません。 突然お邪魔して。 実は肉屋のマークさんにここで魔法を教えて貰えるとお聞きして足を運んだ次第なんですが、教えて頂けますか?」


 そう言うと、老婆は俺に質問してきた。


「ふむ、あんたさん。レベルは幾つなんだい?」


「23です」


「おぉ、それなら大丈夫そうだね。多分覚えられるよ」


 老婆はそう言ってニッコリと笑った。


「どういう事です?」


「魔術ってやつは才能がものを言う技能でねぇ、レベル1から使える子もいるんだけど、そんな子はホントに稀なんだよ。大抵の子はレベル10位からほぼ覚えられるんで、レベルが10より下だったらそのままお帰り願うつもりだったのよ。レベル23なら覚えるのが遅いくらいだね」


 そう言ってひゃっひゃっひゃと笑う老婆。 中々個性的な人物のようだ。


「そうだったんですか。それじゃ私は教えて貰えるんですか?」


「あぁ、大丈夫だよ。 えーっと、名前なんだっけ?」


「あ、すいません。申し遅れました。 私、山並 楽太郎と申します」


「ヤマナミ? あんた貴族様だったのかい?」


「いいえ、私の田舎じゃ、皆名字があったんですよ。名字が『山並』で、名前が『楽太郎』です」


「なるほどね、それじゃラクちゃん。教える前にまずは適性を調べるよ」


 そう言うと、カウンターの方へ歩いて行く老婆。 俺の呼び方、ちゃん付けですか・・・


 ま、いいか。俺もそれに倣い付いて行くと、老婆はカウンターの下から台に乗ったバレーボール位の水晶玉を取り出してきた。


「なんです?その水晶玉は?」


「これは適性を見る魔導具だよ。水晶に手を乗っけて魔力を込めると、その子の魔法適性が反映されるのさ」


 おぉ、魔法適性判定の道具か、テンプレっぽい設定だが、水晶が真っ黒なのはなんでだろ?


「あんた、そんな事も知らないのかい?」


「すいません。田舎の出身なもので、魔法そのものについて殆んど知らないんですよ」


「ふむ、それじゃ初歩的な事から説明してやろうかね。幸い今は暇だし。ちょいと老人の長話に付き合って貰おうかね」


 そう言ってニヤリと笑って説明してくれた。


 老婆の話は長いので要点を纏めると、


1.魔法は「炎」「水」「風」「土」「光」「闇」「無属性」「回復」の8つの属性に分けられる。

2.魔法は魔技(初級)・魔術(中級)・大魔術(上級)・魔法(神級)の順に難易度・威力が上がっていく。

3.魔法適性は成長のし易さであって、覚えられないと言う事ではなく、適性が無くても時間を掛ければ習得が可能。 適性がなくても努力のみで魔法(・・)まで習得した強者もいたそうだ。 何事も努力は大切だね。

4.魔法適性は基本的に「炎」と「水」、「風」と「土」、「光」と「闇」、「無属性」と「回復」で反目し合っているので、どちらかの適性を持っていると、反対の適性を持つことはまずないそうだ。

5.魔法はイメージを魔力で実現する事が基本であり、最初は呪文の詠唱や、ハンドサイン等でイメージを補強して使用する事もあるが、慣れれば無詠唱でも使用が可能とのこと。

6.魔導具とは魔導具に魔力を流すことで特定の魔法を発動させるアイテムの事を指すらしい。ただ、武器の魔導具は魔剣や魔槍と言った名称になるそうだ。

7.魔導具は特殊なインクで魔法文字(ルーン)と呼ばれる神代の文字を刻むことで特定の現象を発現させる仕組みだそうだ。

8.魔法文字(ルーン)を扱える職人はスキル『錬金術』を取得する必要があるそうだ。


 この辺で話が脱線し始めたので話を戻して魔法の適性と魔法を習う方向に進めて頂いた。

 あ、店主の名前はコレットさんと言うそうだ。 息子さんは魔導具職人をしているそうです。


「それじゃ、ラクちゃん。その水晶に手を置いてちょうだい」


「分かりました」


 そう言って水晶に手を置く。


 ・・・ 何も変化がない。


「ラクちゃん。魔力を込めないと発動しないよ?」


 そう言われたが、良くわからないんだけど・・・ 気を込める要領でいいのかな?


「その顔からすると、魔力の込め方が分からないみたいだねぇ」


「すいません。良くわからないんですよ」


 本当の事なので正直に謝ると、コレットさんは「仕方ないねぇ」とレクチャーしてくれた。


「魔力ってのは、血に宿ると言われているのよ。だから、血液の流れを感じて、指先から外へ出すようなイメージでやってみて」


 ふむ、なるほど、早速やってみよう。


 じっと右手の人差し指を見詰め、集中すると、徐々に血液の流れらしきものが感じられるような気がしてきた。


 よし! 指先から血が出るようなイメージを作りだして・・・ そのまま水晶玉に手を載せた。


 一呼吸遅れて水晶玉が光り出した。


「おー、一発で出来たねラクちゃん。中々筋が良いよ」


 コレットさんもそう褒めてくれた。 褒められるのは嬉しいもんだね。テンション上がるよ。


 水晶玉は色々な色に変化しながら光っていた。


 コレットさんは水晶玉を暫らくじっと眺めていたが、次第に表情が驚きに変わっていく、何か問題でもあったのかな?


 声を掛けようとしたところで、コレットさんが声を上げる。


「こりゃすごいねぇ! ラクちゃん。魔法適性を全部持ってるよ! こんなに才能ある人初めて見たよ!」


 そう言って興奮した顔でこちらを見てくる。 あんまり興奮すると血管切れますよ? コレットさん・・・


「適性全部持ってるってことは、どの魔法も覚えられるって事ですか?」


「そうだよ。ってことで、どの系統の魔法を覚えるんだい?」


「最優先で風を! その後は回復以外の初級の全属性を覚えたいんですけど、どうですかね?」


「分かったよ、ラクちゃん。ただ、覚えるなら1日1属性づつにしときな。短時間で複数覚えると、頭と体が混乱するからね」


 理由が曖昧だったので詳しく聞くと、どうやら複数系統を短時間で覚えると、時々ちぐはぐに覚えてしまう者がいて、正しく覚え直すには相当苦労するらしい。


「分かりました。それでは今日は風の属性魔法を教えてください」


「分かったよ。それじゃ授業料は金貨1枚だよ」


 高いのか安いのかわからんが、恐らく安いだろう・・・ 良い人そうだしな。


「分かりました。 よろしくお願いします」


 代金を渡すと、一礼してお願いした。


「あいよ、任せなラクちゃん」


 代金を受け取ったコレットさんは、店の奥に声を掛け、息子さんの嫁さんと入れ替わりで俺を連れて店の奥の部屋へ移動した。





























 結果から言うと、風の魔技(初級)を覚えることが出来た。


 コレットさんも「やっぱり筋がいいねぇ! このまま魔術師でも大成できるよラクちゃんは!」と太鼓判を押してくれた。


 異世界チートだけど、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。


 俺は機嫌よく魔法屋を後にして、頑丈なコップを買いに雑貨屋に移動した。 場所はコレットさんに教えて貰った。




さて、次は・・・

出来るだけ早めに投稿できるよう努力します。


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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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