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Fantasia Destiny Online  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第四章 古の災いの竜へ反逆の祝福を
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緑の王への挑戦権 2

 グランドーンは地面を操る眷属。

 地面を操る系のエネミーとは既に何度か配信外で戦った経験はあるし、プレイヤーにも土魔術と言うものを使う人もおり、それで多少の知識はある。

 とはいえ、プレイヤーの使うものとエネミーの使うものが同じなのかといわれたらそういうわけでもない。

 それを証明するかのように、以前戦った時は全くの未知の攻撃を繰り出していた。


 地下にあるエリアだから何度も地形操作をされると崩落する危険性があること。それを常に意識させられて普段通りの動きができず、行動パターンをある程度把握する程度で終わってしまった。

 だが今回はトッププレイヤーを引き連れての戦闘だ。前回よりは意識せずに好きに暴れることができる。


 とにかくダメージを入れることを優先したいので、愛用しているブリッツグライフェンでグランドーンを殴りつける。

 三原色から生み出された眷属であるため、今まで戦ってきたどの眷属よりもその体は硬く、強く殴ればその分だけ強い衝撃が生まれる。

 強い衝撃が生まれるということは、ブリッツグライフェンの機能である衝撃をエネルギーに変換する能力がその分働き、最初に全部使ったエネルギーをすぐに回復させることができる。


「『湖光の聖剣(アロンダイト)』ォ!」


 グランドーンがヨミに狙いを定めて地形操作を行おうとしてきたが、アーネストが顔面に超至近距離で固有戦技を使い、無理やりその行動を中止させる。

 強力な竜特効付きの一撃を顔面に受けたら流石のグランドーンも無視はできないようで、アーネストの方を向く。

 とにかく今は、細かな地形操作は絶対にさせないことが優先だ。

 どうせある程度HPを削ったら大規模なものを使ってくるのだし、それを使われても崩落しないように、回数を押さえなければならない。


 至近距離で『湖光の聖剣(アロンダイト)』を食らったグランドーンは、今度はアーネストを標的にして攻撃を仕掛ける。

 噛みつきや前脚による攻撃、突進などの自分の体を武器にした物理攻撃。それを剣聖殿は見事にさばき切る。


 アーネスト一人に集中している間に、思い切り跳躍してきたノエルがアイコンタクトをしてきたので、血のハンマーを作り彼女がそれに足を付ける。

 せーので合図を出してもらい、タイミングを合わせてハンマーを思い切り振るってノエルを打ち出し、すさまじい加速を得て土石竜に向かって行く。


「『ウェポンアウェイク』───『雷霆の鉄槌(ミョルニル)』!」


 落下の速度を存分に乗せた一撃を、強力な固有戦技を重ねて脳天に叩きつける。

 この場にいる誰よりも筋力が高く、制御する必要のない一撃はグランドーンのような巨体でも、一撃で地面に叩き伏せてしまう。

 殴られたグランドーンの体から岩の欠片のようなものが飛び散るのが見え、HPを見ると美琴、ヨミ、アーネスト、ノエルの四人の強力な攻撃を立て続けに喰らったからか、一本目がもうすでにかなり削れている。


「やっぱり私たちも、ああいうスキルとか取っておいた方がよかったかもしれませんね!」

「そうじゃな! こやつが硬くて硬くて仕方がないわ!」

「サクラさん、カナタさん、サポートします!」


 それぞれのギルドのマスターがダメージを出している中、特別攻撃スキルを所持していない完全物理型のサクラとカナタがぼやき、すかさずルナが月魔術でバフを飛ばす。

 一応二人とも刀戦技は習得しており、刀の熟練度的にかなり強力なものを使えるようになっているはずなのだが、ここまで戦技なしでずっと来た弊害なのか、戦技を使うという選択肢がないようだ。


「サクラさん、カナタさん! 戦技を使ってみてください!」

「……忘れておった!」


 やっぱりかとずっこけそうになった。

 元々システムのアシストの強い戦技なしでトップクラスの強さを持っていたのだから、対人であれば使う必要はないだろう。

 だが今はグランド関連の大型エネミーとの戦闘中だ。少しでもダメージを出せる方がいい。


「「竜道!」」


 ルナからバフを受けた二人が一度刀を納めてから、刀戦技を発動させる。

 派手目なエフェクトが発生して、そのエフェクト自体が斬撃となってグランドーンの体を撫でつける。

 エフェクトが走った箇所には鋭いもので斬られたような傷ができており、竜を斬るための戦技だからかダメージが高めになっているらしい。

 というか、ちゃんと書かれているわけではないが多分竜特効があるのだろう。


”刀を持った和装美少女ってだけで大好物なのに、アニメみたいな派手なエフェクトでより大好物に”

”サクラちゃんがかなり楽しそうな顔をしてて大満足”

”カナタちゃんはちょっと違和感感じてるっぽいね。やっぱ戦技には慣れてないか”

”むしろなんで一年以上も戦技なしでここまで来てるんですかね、このJKたち”

”二人の抜刀術の美しさはマジで芸術級だな”

”元々アーネストですら抜刀術は間合いで使わせちゃダメって言わせてるのに、そんな反則級の抜刀術の間合いを拡張する戦技とか相性よすぎ”

”今後アーネストかなりやりにくくなるんじゃないか?”


 夢想の雷霆の二人が戦技を使っただけでコメント欄が大いに盛り上がる。

 確かにかっこいいし、カナタもサクラも美人だし絵になるから盛り上がるのも分かる。分かるのだが、他の女の子に注目していると思うとちょっともやる。

 もう男とは言えないくらい女の子になってしまっていることをすぐに自覚し、軽く頭を振ってからブリッツグライフェンを戦斧から刀に変形させる。


 地面に降りてから刀を霞に構えて初動を検知させ、ド派手なエフェクトを発生させる。

 そのエフェクトが龍の形になった途端、体がシステムによって強制的に動かされたので抗わずにむしろ流れに乗って加速するように自らも動き出す。


竜顎(リンガク)!」


 地面を抉りながら龍のエフェクトと共に突進していき、刀を首に叩き込む。

 刀の熟練度は高いがスキルの熟練度が低いため威力はそこまで出なかったが、今の一撃でエネルギーが満タンになった。


「『ウェポンアウェイク・全放出(フルバースト)』───『雷切・武御雷』!」


 一度離れてから鞘に納め、チャージを行ってから全開放する。

 電磁加速抜刀術で放たれた刀は音を置き去りにして首に叩きこまれ、さらにそこから強烈な雷を追撃でぶちかます。

 早々に終わらせてしまいたいので首を狙ったのだが、流石は三原色の眷属。そう簡単に首を落とさせてはくれない。

 だが傷はできた。あとは、攻撃に注意しながら立ち回って、同じ場所を繰り返し攻撃し続ければその内落とせる。


「派手な戦技だな! ヨミ、今度君が戦った妖鎧武者がいた場所に連れて行ってはくれないか!?」

「だからなんでそんなことを今言うんだ!? 第一、同じ個体がいるとは限らないんだぞ!」

「いなかったら君と戦う!」

「戦闘狂めぇ!」


”戦闘狂のヨミちゃんでも戦闘狂と言ってしまうくらい、酷い戦闘狂だよなアーネストって”

”ほんと、顔も性格もいいイケメンクソ野郎なのに、戦闘狂すぎることがマイナスなんだよな”

”女子にモテないワイらからすれば、そのマイナスがありがたいんだけどな”

”マイナスになっても他がデカすぎるくらいプラスだから、結局女子にモテるという”

”美少女たちとこんなに仲よくなれてる時点で勝ち組だよこいつ”

”なんでよのイケメンどもは美女や美少女と仲良かったり、婚約してたり美人な姉や妹持ってんだよぉ……!”

”ノエルちゃんもシエルくんのお姉ちゃんだし、ヨミちゃんはシエルくんの幼馴染だし。あれ、今すぐにでもぶちのめしに行きたくなってきたぞ”


 だんだんコメント欄が変な方に向かって暴走し始めるのが見えたが、それについてツッコミを入れる余裕はないので何も言わないでおく。

 グランドーンからの追撃を避けるように下がりながら、血魔術を放ってダメージを入れ、ルナとトーチが特大火力の魔術をぶちかまし、ノエルが残りのMPを使い切って固有戦技を叩き込み、アーネストがヨミの付けた首の傷に『湖光の聖剣(アロンダイト)』ぶち込み、美琴がチャージし終えた雷を開放して御雷一閃を食らわせた。


 動きが鈍く、人数が多く地形操作を使わせなかったためスムーズに一本目のHPを削り切り、二本目に突入。

 こうしてパーティーを組んでやるのは楽しいなと思っていると、グランドーンが超特大の咆哮を上げてそれを至近距離で聞いてしまい、体が僅かに硬直。

 すぐにその硬直も解けたが一瞬が致命的な隙となってしまい、回避する間もなく槍のように突き出された地面にお腹を貫かれてしまい、HPを全損。

 体から力が抜けて、地面に倒れてしまった。

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