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5.責任取ってよね

「あたし……もうダメ。汚れちゃったわ……」



「そう落ち込むなってイヴ。別にゴブリンを食べたくらいだろ?」



「そうだよ! 美味しかったじゃん! ね、レイレイ?」



「美味しかったです! やっぱり珍味なだけありますね!」



 しゃがみ込み、ひくひくと泣いているイヴを囲いながら俺たちは声をかけ続ける。


 ちなみにゴブリンは美味しくいただいた。


 エルフの国の珍味と言われるだけあって、意外と味はしっかりしていた。


 もちろん抵抗はあったが、生きるためだ。仕方がない。


 ついでにミーアには気合いの火起こしをしてもらい、明かりも確保。


 空き家もあるから、これでひとまず今日は助かった。



「もうダメ……汚れたからお嫁に行けない……」



「そこまでじゃないって。お前ならゴブリン食べたってお嫁に行けるから」



 嘆息しながら肩をポンポンと叩いてやると、涙目で俺のことをじっと見てくる。


 ……なんだ。なんだこの無言の圧は。



「責任取ってよね」



「へ?」



「話は以上。もういい」



「待て待て! どういう意味だ!?」



 すっと立ち上がり、空き家の中へと入っていくイヴ。


 いやいや、だから責任取ってってどういう意味で言ってるんだ!?



「うわー。とりあえず今日は我慢だけど、明日は掃除しないとね」



「イヴ! だからどういう意味――」



 瞬間、イブの目が赤く輝く。


 じっと俺の瞳を覗き込んできて、顔を近づけてくる。



「これ以上乙女に言わせないでよね?」



「は、はいぃ」



 こっわ……何故か全く体が動かなくなったんだけど。


 これがイヴの能力……もろに食らったら何もできなくなる……。


 怒らせないようにしよう。うん、彼女の言っていることも一度忘れよう。



「楽しそうだね!」



「ミーア、これが楽しそうに見えるのか……?」



「だってお嫁さんになるってことでしょ? あ、でもでも私も負けないよ!」



「……わたしも」



「え、ええ……!?」



 二人の発言を聞いて、一気に頬が熱くなるのを感じる。


 しかし、すぐに頬の暑さは冷たさに変わった。


 背後から圧力を感じたのだ。



「お二人共? とりあえず明日のこと、これからのことを考えない? ね、スレイもそう思うでしょ?」



 振り向けねえ。怖くて俺、後ろ見れねえよ。


 とりあえず、振り向かずにこくりと頷いた。



「分かった! イヴって頼りになるね!」



 ミーア、お前はもう少し色々と考えたほうがいい。


 お兄さん心配だよ。



「た、大変ですね」



「レイレイは分かってくれるか……」



「分かります! もちろん! コレデコウカンドアップ……」



 なんか小声で聞こえたぞ?


 全く聞き取れなかったけど、流れ的にあまりよろしくない発言をしている気がする。


 まあいいか。これ以上考えてもイヴに殺されるか、無自覚なミーアに殺されるかの違いである。


 空き家の中に入ると、小さなランプにミーアが火を灯していた。


 魔物の住処ということもあって、決して綺麗とは言えないが以前住んでいたであろう人間が残した物資がわりと残っている。


 これなら掃除をすれば、ここを拠点にするのも不可能ではないだろう。


 床に腰を下ろし、四人でランプを囲う。



「とりあえず食料調達はあたしがすることでいいわよね。これだけは譲れないから」



「もちろん構わないよ。そっちの方がイヴも安心だろうしさ」



 でも大丈夫だろうか。


 女の子一人で……ゴブリンは倒すことができたかもしれないが、他は別だろうし。



「あとあと! ここら辺危ないから、皆で魔物とか倒そうよ! 絶対楽しいよ!」



「あたしは賛成」



「わ、わたしも!」



「えっと……危なくないか? 今回はゴブリンだったからどうにかなったかもしれないが、基本的に魔物って危ないよ? もう少し考えた方が――」



 俺が止めに入ろうとすると、三人は口を揃えて。



「「「絶対大丈夫」」」



「うーん……でも……」



 やっぱり心配である。


 彼女たちに万が一のことがあったら、俺は死んでも死にきれない。



「大丈夫! 私たちが勝手にやっちゃうよ!」



「心配しないでも、あたしたち強いわよ?」



「あまり自信はありませんが、多少は戦えます」



「勝手にって……むむ!?」



 俺が反論しようとすると、ミーアが口を塞いできた。



「とりあえず決定! 今日はもう寝ようよ! 眠たーい!」



「そうね。今日は休みましょ」



「わたしも疲れました……」



 そう言って、ミーアとイヴが俺の隣に並んでくる。


 肩を当てて、俺に体重を預けてきた。



「おいおい……もしかして俺にもたれかかって寝る気か?」



「うん! おやすみ!」



「…………」



 イヴは無視かよ。



「ず、ずるい」



 レイレイは羨ましそうな目で見てきてるし。


 はぁ……振り回されてばっかだな。


 嫌じゃないけどさ。



「もういいや。それじゃ、おやすみ」



 レイレイがミーアの隣に寝転んだのを確認した後、俺はランプの火を消した。


 まさか、明日から色々と本番が始まるとも知らずに。

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