34.ちなみに餌は?
指が痛い。
めちゃくちゃ痛いのだけれど、時には我慢するのも大切だ。
「行こうか……! 釣りに……!」
俺は指をさすりながら立ち上がり、三人に伝える。
「だ、大丈夫そうです?」
レイレイが心配した表情で聞いてきた。
それもそうか。
なんせ、俺は今涙目になっていると思う。
この中で一番の年長者なのに、俺は泣く一歩手前だった。
「問題ない! 確かに痛むけど、これくらいなら問題ないよ」
事実、我慢できるレベルの痛みだった。
昔からなのだが、俺は多少我慢しようとするとすぐ涙目になってしまう。
恥ずかしながら……なのだけれども。
「それじゃあ行きますか! 釣りへ!」
レイレイが満面の笑みで言うと、後ろで待機していたイヴとミーアが拳を突き上げる。
「釣りだ!」
「待ってたわ!」
最高に楽しみ、といった具合である。
まあ、ここ最近は色々と忙しかったからな。
大変なことばかりだったから、時にはこういう息抜きもしたいところだろう。
俺もそうだ。
少しは息抜きをしたいところである。
「あ、ところで」
俺たちは釣り竿を持ち、森の中にある池へと歩きだした時のこと。
レイレイは立ち止まって、違う方向を指さした。
「餌取りもしないといけないので、寄り道しますよ」
ああ。確かに餌がないな。
「分かった。ちなみに、餌ってなんなんだ?」
俺が尋ねると、レイレイは微笑を浮かべる。
「ミミズです!」
「は……?」
その瞬間、イヴが釣り竿を落とした。




