32.あっ
「針を……どうするんだ?」
レイレイは机の上に針を置いて、ニコニコとしている。
この針、見たところ明らかに釣り用ではない。
どちらかと言えば裁縫用に見える。
これを釣り用に作り替えるだなんて、ミーアやイヴにできるのだろうか。
「どうすればいいの!?」
「どうしたら?」
「いい具合に曲げてください。ええと、U字型一歩手前程度に」
そう言うと、二人は針を持ってお互い見つめ合う。
小首を傾げ、しばらく考えた後針を曲げた。
そしてへし折った。
「折れたけど!? 本当にこの子たちに任せていいのか!?」
俺は声を大にして叫ぶ。
確かにこの二人は力がある。
だが、力がありすぎるとも言える。
普通の人間の数百倍は平気であるだろう。
そんな子たちの力が針に加わったら簡単にポキッといってしまう。
「あー慎重に慎重に。優しくいい具合に曲げてください」
「引き続き任せるのか!?」
「まあまあ。みんなで頑張ってこそです。あ、スレイさんもやりますか?」
言って、レイレイが俺に針を手渡してくる。
……いや、俺にはできない。
「わー! スレイが曲げるところ見てみたい!」
「待てミーア。お前、俺は人間ってことを忘れていないか?」
「わーわー。スレイが曲げるところ見たーい」
「イヴ。お前は嫌がらせだな? 俺をいじめようとしているよな?」
「わーわー!!」
「わーわー」
…………。
「やってやろうじゃねえかぁぁぁぁぁ!!」
俺はそう言いながら、針を思い切り曲げようと――。
ザクっ。
「あ――」




