31.すごいな……
「しかし、本当にこっから釣り竿ができるのかね」
「どうなるか分からないよね! レイレイが言うなら絶対作れるんだろうけど、一体どうなるんだろう!」
俺たちは枝を振り回しながら、森の中を歩いていた。
にしても、釣りだなんて初めてかもしれない。
俺はこういう遊びはしたことがなかった。
理由としては……まあ家庭の事情だ。
昔から、俺はこういうスローライフ的なこととは縁がなかった。
今でこそ、こういう機会が与えられているが昔はそんな余裕なかったからな。
そう思うと、今はかなり充実していると言える。
少し……嬉しいな。
そんなことを考えていると、家にすぐ到着した。
外では、イヴとレイレイが資材を持って話し込んでいるようだった。
こちらに気がついたようで、手を振ってくる。
「ミーアさん! スレイさん! こっちです!」
「はいはーい!」
「ほいほい」
俺たちはレイレイの方まで歩いて行く。
どうやら、彼女も彼女で必要な素材を集めてきたらしい。
「諸々の素材は物置にありましたから、余裕で作れますよ!」
そう言いながら、レイレイは糸や針を見せてくる。
「でも、かなり劣化しているように見えるけど大丈夫?」
見たところ、かなり昔のものらしい。
糸は少し刺激をすればちぎれそうだし、針は明らかに釣り用ではない。
ここからどうするのか、あまり想像できなかった。
「どうするのか……そう思っていますね?」
「ああ、もしかして何か考えがあるのか?」
「ふふふ。わたしはこう見えて、色々とすごいのです」
言って、レイレイは糸をこちらに見せてくる。
「皆さん。これはただボロボロの糸ですね?」
「ええ。ボロボロだわ」
「ボロボロ!」
「ああ。そうだな」
「しかしー」
レイレイは用意していた机の上に糸を置いて、手のひらを向ける。
すると、魔方陣が浮かび上がったかと思うとパッと光った。
少し眩しくて目を細める。
「……そして、こうなります」
俺はゆっくりと目を開くと、そこにはさながら新品のような糸があった。
「……すげえ! さっきまでボロボロだった糸が新品みたいだ!」
「すごいわね……これもレイレイの魔法?」
「すっごい! どうなのどうなの?」
全員が興奮した様子で、レイレイに尋ねる。
すると、彼女は胸を張ってにっこりと笑う。
「そう……魔法です!」
すごいな……。
多分、修復魔法なのだろうがここまでの技術力は見たことがない。
ともあれ、俺が魔法に疎いってのもある。
が、それでもすごいと思う。
「お次は針ですが……これは私がするよりミーアさんかイヴさんに任せましょうか。私より力のある方がやった方がいいと思いますし」
レイレイは幸せそうな表情を浮かべて、ミーアとイヴをちらりと見た。
ふむ。確かに怪力と言えば二人の方がいいだろう。
なんだか若干不安だが、気になる。




