25.疲れた……
「頼むから起きないでくれよ……」
「起きないわよ。あたし、渾身の一撃、決めてるから」
「そうだよ! 超クリティカルヒット!」
「それはそれで心配だな」
この子たちの渾身の一撃って……想像するだけで痛い。
というか震える。
ちらりと気絶している男たちを見て、乾いた笑いを浮かべてしまう。
ははは……まあレイレイを狙ったのが間違いだったんだ。
残念だったな山賊たち。
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「おお! お主ら、山賊たちをぶっ飛ばしたんじゃな!」
第三村まで来た俺は荷車をボタン邸前に止めて、報告をしに来ていた。
男たちは相変わらずぐっすりと眠っている。
さすがは渾身の一撃……恐ろしい。
「ほほう。五人……全員捕らえたのか! ふふふ、素晴らしいのじゃ! 褒めてやろう!」
ボタンは腰に手を当て、ガハハと満足気に笑う。
男たちをじーっと見た後、後方に向かって叫ぶ。
すると、部下たちが急ぎ足でやってきて荷車をどこかに運んでいった。
「ちなみに彼らはどうするんだ」
俺は疲れた体をほぐしながら、ボタンさんに尋ねる。
一応は確認しておこうと思ったからだ。
これで万が一全員地獄行き……なんてことになると、俺は俺で不安だ。
しかし、ボタンさんは俺をからかうように笑う。
「安心せい。全員、山賊たちが拠点としている場所に返す。もちろん、色々と交渉してな」
「まあ殺さないなら俺は構わないよ。身柄は任せる」
「うむ! あ、お礼に何かいるか? なんでもよいぞ!」
お、マジか。
それは嬉しいな。
「だってよ三人とも」
俺は背後で待機していたミーアたちに聞く。
「あー、大丈夫ならインフラを整えたいかな。水道は難しいだろうから、火を起こす魔道具をいただけると嬉しいわ」
「私はご飯! ご飯がいい!」
「わ、わたしはお任せします」
「えーと、大丈夫?」
「大丈夫じゃ! 水道は難しいが、火を起こす魔道具ならあるぞ! それと食料も安心せい! 全部用意してやる!」
本当にありがたい。
ボタンにはお世話になってばかりだな。
「妾の部下に送ってやるよう指示しておくから、お主らは先に帰って休んでおれ! 遠慮するな!」
「マジでありがとう! また何かあったら俺も手伝うからいつでも連絡してくれ」
「じゃあねー!」
そう言って、俺たちは帰路に着いた。
「ああ~本当に疲れた。やっぱ俺、戦うのには向いてないな」
「あたしは向いていると思うけどね」
「私も! スレイが戦うの格好いいよ!」
「で、ですです」
「そういう問題じゃないんだよな……」
まあ、褒められて嬉しくないってことはないけど。




