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11.ちょっと待て

 家具やブランケット、その他諸々修理したおかげでだいぶ快適になってきた。


 何かを作るのは大変だけど今までの生活を思い出してみると、今の方が幾分も楽しく送れていると思う。


 実際、三人とも楽しく暮らせているし。


 やっぱり人間らしく生活してほしいって思っている部分もあるから、少し申し訳無さもあるけれど。



「ミーア……お前絶対わざと俺に向かって蹴りを入れてるだろ」



「わざとじゃないよ! ごめんね!」



 俺は今日もミーアの蹴りによって目を覚ました。


 今の生活は大好きだけど、毎朝ミーアの蹴りによって起きるのは不満である。



「ご、ご飯できてます!」



「できてるわよ」



 頭をかきながら、平謝りするミーアと相対していると奥の方から声が聞こえてきた。


 あれ、そう言えば俺が毎回ご飯を用意していたから初めての経験だな。


 誰かにご飯を用意してもらうなんて何年ぶりだろう。


 少しばかり感動しながら、ミーアを引き連れて机を置いている部屋へと向かう。



「スレイさんと違って器用なことはできないので、イノシシのお肉ですが……」



「いや、十分嬉しいよ。二人が作ってくれたんだろ? ありがとうな」



「……ふん」



「そう言ってもらえると嬉しいです!」



 昨日取ってきた木材の余った素材で作られただろうお皿に、巨大なお肉が乗っている。


 朝からお肉だなんて、普通に贅沢だな。


 狩人とかは普段、こんな食事を取っているんだろうけれど。


 俺たちは席につき、それぞれ食事を取る。


 うん、やっぱり美味しいな。


 特に調味料とかは使っていないから、お肉本来の味がする。



「そう言えば、スレイが言ってた近くの村のボス……だっけ? あれってどうなったのかなぁ?」



 ミーアが肉をかじりながら、尋ねてきた。



「あー。第三村のことな」



「第三村って言うんだ! なんか不思議な名前してるね!」



「不思議な名前というか、少し気味が悪いわね。少なくとも普通の村じゃなさそうだけれど」



「まあそう思って当然だわな。俺も普通の村だとは思っていない。多分、組織的なのに近いと思っているよ」



 村長と話をしたいって聞いたら、ボスがどうだかって答えていたし。


 普通、村長は村長って呼ぶだろうし、ボスなんて回りくどい言い方はしないだろう。



「実際襲ってきましたし……覚悟はした方が良さそうですね」



「まあ、俺が奇跡的に退かせた人たちを見るに危険性が高いのは間違いないと思う」



 村に付いてきてもらうからには、俺が彼女たちを守らなければならない。


 もう一度あのような戦い方をしろって言われると、できるかどうかなんて分からないけれど。


 三人を守るためなら、少しだけなら勇気は持てる。


 もし、彼女たちに危害を加えようとするなら絶対に許さない。



「……!」



 イヴがちらりと窓の方を見た。


 瞬間、バンっと破裂音が響いてきた。



「お呼び出しか」



 イヴがいち早く反応するのすごいな、と思いつつ机から立ち上がる。


 俺は近くに置いてあったナイフを腰に下げ、ふうと息を吐く。



「場所は分かっているの?」



「もちろん。地図も貰ってるしな」



 地図を広げてみると、イブたちが覗き込んでくる。



「意外と近いね!」



「なるほど……だから人が近くにいたんですね」



「ああ。この森から下りるとすぐってところだね」



 これほど近ければ、人間に見つかってしまうのにも納得が行く。


 御者さんもいちいち村の場所なんて把握していないだろうから、今回のアクシデントは避けようがなかった。


 まあ、それもプラスの方向に持っていければ問題ない。


 これでも商人をやっていたんだ。


 ある程度の交渉には慣れている。



「んじゃ向かうか。俺から離れないようにな」



「分かった!」



「了解しました」



「でもスレイ、あたしたちも何かあったら戦うからね? 絶対大丈夫だから」



「少し心配だけど、万が一何かあったら頼んだよ」



 心配なのには変わりないが、彼女たちの力も今は必須だろう。


 簡単な魔物の討伐はできているから、ある程度戦えるはずだ。


 姑息な人間相手だからどこまで通用するか……ってのが問題だけど。


 俺たちは家を出て、地図を見ながら村まで歩き始めた。


 俺はというと、この周辺の土地勘はないので探索しているミーアたちに確認をしながら進んでいる。


 しかし、この森って相変わらず不気味だな。


 木々のせいで、少ししか日光が入ってこないし。



 ――ガサッ



 どこからともなく、音が聞こえてきた。


 風が吹いたとかではなく、明らかに生物が動いた音である。



「どっかに魔物がいるのか……!」



 俺はナイフを引き抜き、周囲を見渡す。


 どこだ、一体どこに……。



「くんくん。あ、こっちだね!」



「見つけた」



「やりましょう」



 俺が焦っていると、冷静な声音が隣から聞こえてきた。



「見つけたのか――っ!?」



 瞬間、ミーアとイヴが地面を蹴り飛ばして草木の中に飛び込む。


 レイレイはその場で、無詠唱で何か魔法を放った。



「え……?」



 一瞬であった。



「終わり! ハイウルフだった!」



「あたしたちを狙うなんて甘いわね」



「ふう、終わりですね」



 嘘だろ。


 姿どころか、場所すらも俺ではわからなかったのに。


 あの一瞬で討伐したのか……?



「あれ、どうしたのスレイ?」



 ミーアが不思議な顔で聞いてくる。



「い、いや。なんでもない」



 ちょっと待て。


 もしかして俺が勘違いしているだけで、やっぱりこの子たちめちゃくちゃ強いんじゃないのか?

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